吸血鬼を刺殺した

きりしま つかさ

文字の大きさ
229 / 251
0200

第0288話 游撃戦:狭路に勇者が通る——勝者は?!

しおりを挟む
南華共和軍の一触即溃は、吸血鬼帝国軍の二名の仮面男爵が予想外だった——

二人は確かにこの戦いに勝利すると思っていたものの、その速さには驚かされた。

さらに彼らは生来の狡猾な性格ゆえ、一時的に疑念を抱き、追撃をためらった——南華共和軍の罠と見なし、全力で迫ろうとはしなかったからだ。

戦場の機会は瞬時に変化するもの。

その隙に彼らは最適期を見逃し、気づいた時には既に遅れが生じていた——怒りに駆られた二人は大軍を率いて撤退する共和軍を追撃した。

しかし幸いにも南華共和軍各部隊は慌てて撤退しながらも、単一方向ではなく複数の方向に分かれて逃走していた。

吸血鬼帝国軍もこれに対応し、分兵して追跡せざるを得なかった——

東8区南部の大平原で両軍は「追う者」と「追われる者」の一騎打ちを繰り広げた。

その時、何人かが数隻の吸血鬼大軍の間隙から潜り出し、新たな手を打とうとしていた——

これは周元の計画だった。

希望部隊の僅かな兵力で陣地を固守し、数十倍に及ぶ敵軍と対峙するのは不可能だという判断から——代わりにゲリラ戦法を採用し、時折敵軍に痛手を与えることで追撃速度を遅らせる作戦だった。

その日の午前中だけで、強力な希望部隊が分散した帝国軍の小規模部隊を次々と殲滅。

さらに自軍より規模の大きい敵軍にも襲撃し——狂ったように共和軍各部に追跡する帝国軍を停止させ、小部隊を集結させようとする敵を包囲しようとした。

結果として——吸血鬼帝国軍は位置を変え続ける希望部隊に対し手が出せず、ただ見守るしかなかった——

「おいおい、おっさん、予想外の快感だぜ!」

大叔は『打って走る』ゲリラ戦法を大いに気に入った様子だった。

敵が遠くで足踏みしているのに反撃できない姿を見れば、どれほど屈辱だろう——

「やはり周先輩は天才だね」阿梓も満足げに頷いた。

彼女は冷酷な小悪魔のように一線を画きながら戦っていた——

「そうだよな、ナイフの刃で踊るような刺激さ!」

肖蕾が額から流れる汗を拭いながら言った。

彼女は歩きながら仮想地図を研究し、希望三号装備の偵察兵に新たな任務を指示する準備中だった——今日敵の大半の鋭気を逃れられるのは彼女の功績だ。

B博士と武器検証班員も驚異的な光景を目撃していた——

しかし彼らがまだ会話を続けようとした時、唐突な声が響いた——

「周元!またお目にかかったぞ!」

「そして宋瑞軍!またお目にかかったわ!」

全員「!!?」

と目を丸くした。

現れたのは旧吸血鬼希望部隊七色聖闘士No.1長蛇座エリザ。

大叔の父との関係が知られていた人物——しかし彼女の顔には久々再会の喜びなどなく、冷ややかな笑みを浮かべていた。

周元「!?」

大叔「!?」

阿梓「!?」

七色聖闘士No.1長蛇座エリザは前方の林の木に降り立ち、その後ろにはNo.2室女座・角宿一、飛馬座聖闘士が続いた——

「またお前らか、前回の教訓が足りなかったのか!?」

「おい、俺のおっかない親父様に頼んでやっと許したんだぞ。

今さらこんな形で再会するとはなァ」大男は鼻を膨らませて脅し立てた。

「フン——」No.1長蛇座エリザが冷たく鼻を鳴らすと、No.3大熊星座の吸血鬼希望部隊新七色虹聖闘士を中心とした88星座虹聖闘士が林から現れた。

皆が笑みを浮かべるが──

「フン、自慢の『希望』で無敵になったと思ったのかなァ」大男は鼻をつまんで見せた。

次の瞬間、

「ハハハハハ——!?」

No.3大熊星座聖闘士が大笑いした。

大男の頬にバチバチと火花が散る。

林の中からNo.3大熊星座聖闘士の背後に金光りする88体の虹聖闘士が現れたのだ──

皆「!?」

と声を上げた。

周元らは驚きのあまり目を見開き、険しい表情になった。

「我々は新人類希望部隊八十八星座虹聖闘士だァ!」

金光りする88体が一斉に叫んだ。

ざっと数えると確かに88名。

エリザ3人、新七色虹7人を合わせると98名──

この恐ろしい数字。

もし彼ら全員が吸血鬼騎士の実力を持っているなら、想像すらできない──

大男の額に冷汗が滲む。

彼は頬を膨らませて言い放った。

「おいエリザおばさん、俺の親父様はマスク男爵に陥れられたんだぜ。

あいつと組むなんて許せないだろォ!」

「フン、そんな口先だけじゃダメよ!」

No.1長蛇星座エリザは大男を『おじさん』呼ばわりされても怒りを抑えられなかった。

彼女にとっては──恋人の子供だろうが許容範囲外だったのだ。

「深謀遠慮ならマスク男爵より西元男爵の方が上手いぜ。

マスク男爵はまだ西元男爵に騙すチャンスがあるんだろォ!」

「言うなよ、この世には永遠の敵なんてないさァ。

利益だけが続くんだァ──」

「西元男爵は資源と人脈を持ち、マスク男爵は『希望』を持ってるぜ──」

「八十八虹聖闘士こそが協力の証だァ!」

「功名を欲しいままにするなら協力するに決まってるさァ──」

「人類が内輪揉み合いしてる間に放っておくつもりかァ、ハハハハ──」

「大笑いしていいのかなァ? 馬鹿馬鹿しいぜェ」

「くっ──」大男は歯を食いしばりながらも何もできなかった。

「黙れよ。

戦うなら戦え!」

周元が大男の口を塞ぐと、彼はさらに先を見据えた。

なぜなら──

何か不穏な予感があったからだ。

だからこそ先手必勝で──

「見ろやァ! 我々の『希望』の意志を味わってみろェ!」

「準備! 『希望』にリンクせよォ!」

全員が同時に熱気が溢れ、力が『希望』と結びついた。

すると『希望』が外へ漏れ出すと共に、皆の周囲から白光が発生した!

そしてその白光を束ねて──三角形の頂点に立った人物が導くように──

「バチィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

過労死した俺、異世界で最強農業チートに目覚める。神農具で荒野を楽園に変えたら、エルフや獣人が集まって最高の国ができました

黒崎隼人
ファンタジー
「君、死んじゃったから、異世界で国、作らない?」 ブラック企業で過労死した俺、相川大地。 女神様から授かったのは、一振りで大地を耕し、一瞬で作物を育てる**最強の『神農具』**だった!? 右も左もわからない荒野でのサバイバル。 だけど、腹ペコのエルフ美少女を助け、頼れるドワーフ、元気な猫耳娘、モフモフ神狼が仲間になって、開拓生活は一気に賑やかに! 美味しいご飯とチート農具で、荒野はあっという間に**「奇跡の村」**へ。 これは、ただの農民志望だった俺が、最高の仲間たちと世界を救い、種族の壁を越えた理想の国『アグリトピア』を築き上げる物語。 農業は、世界を救う! さあ、今日も元気に、畑、耕しますか!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...