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後日談と言う名のおまけ
その後の俺たちは1(蛍視点)
「これ美味しいっ」
夕飯の後で俺は拓が入れてくれたミルクティーを飲みつつ、拓が買ってきてくれたシュークリームを堪能している。
高校からの友達で、大学卒業後の三年間一緒に暮らしていた拓と俺蛍はついこの間想いが通じ合い、晴れてお付き合いというものを始めた。
高校の頃からずっと拓に片思いしていた俺にとって、生まれて初めて出来た恋人って奴だ。
想像でもしも拓が俺の事好きになってくれたら……なんて思ったことすら無かった俺は、はっきり言って毎日が夢の様な気持ちでいっぱいだ。
だって、好きって思ってくれてるんだよ。
両想いだぞ、両想い。
拓の事ずっと好きだったし、これから先も気持ち変わらないだろうから、俺一生一人でこの気持ち抱えてくんだって考えてたのに、両想いで、こ、恋人とか。
神様、ありがとうって感じだ。
昔から優しかった拓は恋人になってから更に優しくなり、たまに俺が好きな甘いものを会社帰りに買ってきてくれる様になった。
今日は金曜日、風呂入った後はネットで映画を観る約束をしている。
去年の末頃上映してた奴なのに、もうネットで観られる世の中って映画館が苦手な俺にはとってもありがたい。
映画館って、ずっと同じ姿勢で観なきゃいけないのが辛いんだよなあ。
でも拓と出掛ける理由になるから、今度は誘ってみようかな。確か今月末から拓の好きなドラマが映画化された奴が始まるんじゃなかったっけ?
「……そうか。美味しいなら良かったよ」
拓の土産に喜びつつ密かにデート(デートでいいんだよな?)の計画を考えてる俺を、彼はミルクティーを飲みながらにこにこと見つめている。
甘いものが苦手な拓の前にあるのは、ミルクティーをいれたマグカップだけだ。
申し訳なく思うも、俺はありがたく生クリームがたっぷりつまったシュークリームに齧り付いている。
「そんなに見られると食べにくいんだけど」
俺が甘いもの食べている時、飲み物しかない拓は暇なのか俺の顔をただ見ている。
今までは食後にお茶飲みながらスマホ弄ったりテレビ見たりしてたのに、最近の拓はスマホなんて帰ってきたら自分の部屋に置きっぱなしだ。
「嫌か?」
「嫌っていうか、なんというか」
顔を上げると拓と目が合う、俺の大好きな人が目を細めて俺を見つめてるとか、何でこんなに幸せで、嬉し恥ずかしって気持ちになるんだろう。
「だって、俺が変なこと言って蛍を誤解させていたからさ、今まで幸せ一杯な蛍の顔を見そびれてたんだろ? もうずっと見てたいんだよなぁ」
拓の殺し文句に、顔がカッーと熱くなる。
昔聞いた拓の言葉が理由で、俺は拓の前で甘いものを食べないようにしていた。
でも誤解だと分かったお陰で恋人になれて、ついでにこうして甘いものを食べられるようになったのだから、嬉しいに決まっている。
「ずっと見てられる、可愛い」
「な、何言って!」
動揺して、力加減を間違えた俺は右手に持ったままの食べかけのシュークリームを潰しかけ、はみ出た生クリームが人差し指に大量についてしまった。
「うわっ」
咄嗟に拓は立ち上がりティッシュの箱をキッチンカウンターから持ってきて、俺は条件反射で自分の手についたクリームを舐めた。
「蛍」
「ごめん、行儀が悪かった」
ティッシュの箱を持ったまま立ちすくんでいる拓に謝りながら、急いで残りを食べきった後手を洗うためキッチンに向かう。
「俺の方こそごめん」
早口で言う声に横を向くと、拓が眉尻を下げ立っていた。
「俺浮かれ過ぎだな、ずっと見てたいとか、ごめん」
それは、あの、恋人になったからって解釈で合ってるんだろうか。
「それなら、俺も浮かれてるから、同じだろ」
浮かれてるけど、実はまだキスすらしてない。
拓がそういう雰囲気出してくると、つい俺が逃げちゃうんだ。
「そっか」
「うん」
俺が逃げ腰になってるの、拓は気がついてるんだろう。
「俺、風呂入ってくる。悪いけどカップ洗ってもらっていいか?」
「りょーかい!」
ふざけて敬礼の真似すると、苦笑いして拓はキッチンから出て行ってしまった。
「……どうしよ」
一緒に暮してる、拓曰く同棲ってことだ。
それってつまり、いや、拓にどこまでの感情があるか分からないけど、でも、付き合い出したいい大人の行き着く先って、そういうのだろう。
もう、露骨に言葉にするのも頭に血が上る。
「でも、怖いんだよなあ」
恋人になれてからすぐに調べた。
スマホの検索履歴を誰にも見せられないレベルの恥ずかしい単語を並べて、調べまくった。
受と攻という言葉を、俺は最近知ったばかりだ。
生涯片思いだと思っていたから、男同士の知識なんて漫画の世界のものですら、自分の耳に入れないようにしていたから、驚愕だった。
拓と俺なら、間違いなく俺が受なんだろう。
それはつまり、そういうことで、準備とか考えるだけで貧血になりそうだった。
「上手く出来る気がしない、怖すぎる」
いつかは決心しないといけないことだけど、今はまだ無理、怖いから途中まででなんて言ったら駄目だよなあ。
ため息をつきながらマグカップを回収しにリビングに移動した俺は、自分の呟きを拓に聞かれていたと知らなかったんだ。
夕飯の後で俺は拓が入れてくれたミルクティーを飲みつつ、拓が買ってきてくれたシュークリームを堪能している。
高校からの友達で、大学卒業後の三年間一緒に暮らしていた拓と俺蛍はついこの間想いが通じ合い、晴れてお付き合いというものを始めた。
高校の頃からずっと拓に片思いしていた俺にとって、生まれて初めて出来た恋人って奴だ。
想像でもしも拓が俺の事好きになってくれたら……なんて思ったことすら無かった俺は、はっきり言って毎日が夢の様な気持ちでいっぱいだ。
だって、好きって思ってくれてるんだよ。
両想いだぞ、両想い。
拓の事ずっと好きだったし、これから先も気持ち変わらないだろうから、俺一生一人でこの気持ち抱えてくんだって考えてたのに、両想いで、こ、恋人とか。
神様、ありがとうって感じだ。
昔から優しかった拓は恋人になってから更に優しくなり、たまに俺が好きな甘いものを会社帰りに買ってきてくれる様になった。
今日は金曜日、風呂入った後はネットで映画を観る約束をしている。
去年の末頃上映してた奴なのに、もうネットで観られる世の中って映画館が苦手な俺にはとってもありがたい。
映画館って、ずっと同じ姿勢で観なきゃいけないのが辛いんだよなあ。
でも拓と出掛ける理由になるから、今度は誘ってみようかな。確か今月末から拓の好きなドラマが映画化された奴が始まるんじゃなかったっけ?
「……そうか。美味しいなら良かったよ」
拓の土産に喜びつつ密かにデート(デートでいいんだよな?)の計画を考えてる俺を、彼はミルクティーを飲みながらにこにこと見つめている。
甘いものが苦手な拓の前にあるのは、ミルクティーをいれたマグカップだけだ。
申し訳なく思うも、俺はありがたく生クリームがたっぷりつまったシュークリームに齧り付いている。
「そんなに見られると食べにくいんだけど」
俺が甘いもの食べている時、飲み物しかない拓は暇なのか俺の顔をただ見ている。
今までは食後にお茶飲みながらスマホ弄ったりテレビ見たりしてたのに、最近の拓はスマホなんて帰ってきたら自分の部屋に置きっぱなしだ。
「嫌か?」
「嫌っていうか、なんというか」
顔を上げると拓と目が合う、俺の大好きな人が目を細めて俺を見つめてるとか、何でこんなに幸せで、嬉し恥ずかしって気持ちになるんだろう。
「だって、俺が変なこと言って蛍を誤解させていたからさ、今まで幸せ一杯な蛍の顔を見そびれてたんだろ? もうずっと見てたいんだよなぁ」
拓の殺し文句に、顔がカッーと熱くなる。
昔聞いた拓の言葉が理由で、俺は拓の前で甘いものを食べないようにしていた。
でも誤解だと分かったお陰で恋人になれて、ついでにこうして甘いものを食べられるようになったのだから、嬉しいに決まっている。
「ずっと見てられる、可愛い」
「な、何言って!」
動揺して、力加減を間違えた俺は右手に持ったままの食べかけのシュークリームを潰しかけ、はみ出た生クリームが人差し指に大量についてしまった。
「うわっ」
咄嗟に拓は立ち上がりティッシュの箱をキッチンカウンターから持ってきて、俺は条件反射で自分の手についたクリームを舐めた。
「蛍」
「ごめん、行儀が悪かった」
ティッシュの箱を持ったまま立ちすくんでいる拓に謝りながら、急いで残りを食べきった後手を洗うためキッチンに向かう。
「俺の方こそごめん」
早口で言う声に横を向くと、拓が眉尻を下げ立っていた。
「俺浮かれ過ぎだな、ずっと見てたいとか、ごめん」
それは、あの、恋人になったからって解釈で合ってるんだろうか。
「それなら、俺も浮かれてるから、同じだろ」
浮かれてるけど、実はまだキスすらしてない。
拓がそういう雰囲気出してくると、つい俺が逃げちゃうんだ。
「そっか」
「うん」
俺が逃げ腰になってるの、拓は気がついてるんだろう。
「俺、風呂入ってくる。悪いけどカップ洗ってもらっていいか?」
「りょーかい!」
ふざけて敬礼の真似すると、苦笑いして拓はキッチンから出て行ってしまった。
「……どうしよ」
一緒に暮してる、拓曰く同棲ってことだ。
それってつまり、いや、拓にどこまでの感情があるか分からないけど、でも、付き合い出したいい大人の行き着く先って、そういうのだろう。
もう、露骨に言葉にするのも頭に血が上る。
「でも、怖いんだよなあ」
恋人になれてからすぐに調べた。
スマホの検索履歴を誰にも見せられないレベルの恥ずかしい単語を並べて、調べまくった。
受と攻という言葉を、俺は最近知ったばかりだ。
生涯片思いだと思っていたから、男同士の知識なんて漫画の世界のものですら、自分の耳に入れないようにしていたから、驚愕だった。
拓と俺なら、間違いなく俺が受なんだろう。
それはつまり、そういうことで、準備とか考えるだけで貧血になりそうだった。
「上手く出来る気がしない、怖すぎる」
いつかは決心しないといけないことだけど、今はまだ無理、怖いから途中まででなんて言ったら駄目だよなあ。
ため息をつきながらマグカップを回収しにリビングに移動した俺は、自分の呟きを拓に聞かれていたと知らなかったんだ。
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