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後日談と言う名のおまけ
その後の俺たちは4(拓視点)
「うぅっ、やばかった」
清々しい筈の朝、べっとりと汚れた手を拭いたウェットティッシュをゴミ箱に捨て、ベッドから立ち上がると、小窓を開けて独特の臭いを外へ出そうと、雑誌で空気を扇ぐ真似をする。
「蛍が来なきゃ平気かな」
ルームスプレーをシューシューと何度も振り、クンクンと臭いを確認する。
ゴミ箱に丸めて捨てたウェットティッシュは、五味に取り付けていたビニール袋の口をぎゅっと縛ってから、ゴミ箱の底に畳んで入れていたビニール袋を一枚取り出して、縛ったばかりの袋を入れて厳重に袋の口を縛る。
「証拠隠滅」
ゴミ箱には新しくビニール袋を取り付けてから、シーツと枕カバーを取り外し、毛布は広げて消臭スプレーを吹き付ける。
「なんかいい匂いする」
洗濯物を入れるプラ籠に、シーツと枕カバーを突っ込んで部屋を出ると、味噌汁の様な匂いと油の匂いがした。
「蛍おはよ。洗濯機とシャワー使っていいか?」
リビングまで行かないのは、まだ手を洗えていないからだ。
自室のドアのところで、リビングに向かって声を上げると「おはよー! 俺は洗濯終わったから大丈夫だよー!」と呑気な声が上がる。
「サンキュー」
蛍の洗濯は、俺の服とか下着も含んでいる。
俺の洗濯は、シーツとか枕カバー、パジャマとして着てるスウェットとかだ。
蛍は俺のワイシャツとかハンカチにアイロン掛けもしてくれるから、頭が上がらない。
プラ籠を抱えて、洗濯機置き場兼脱衣所に入るなり洗濯機の中に諸々を放り込み、着ているものを全部脱いでマッパになる。
「タオル使ってから洗濯機回すか」
洗濯機の並びにあるドアを開きトイレに入って用をたし、洗面台でハンドソープを使い念入りに手を洗い、ついつい手の臭いをクンクンとチェックしてから、洗面台の下の収納に置いてあるトイレ掃除シートでトイレのドアノブを拭き清める。
こんなの気になるなら、そもそもするなよと自己嫌悪に陥るけれど、生理現象は止められない。
「夢の中でも可愛いとか、困る」
ダメ押しで手を洗い、吊り棚に置いた籠からバスタオルを一枚出して、棚の下に置いてあるミニ箪笥から下着を出す。
バスタオルと下着だけは風呂入ってすぐに使えるように近くに収納している。
こんなことが出来るのは、余裕のある造りのファミリータイプの部屋ならではだろう。
「煩悩消えろ」
夢に蛍が出てきた。
エロいことして、幸せ気分で目を覚ましたら、当然とばかりに現実の俺はやる気に満ちていた。
申し訳ない気持ちで、昨日俺に甘えてくれた蛍を思い出しつつ発散し、賢者タイムの今絶賛後悔してる。
バスルームに入り、反省とばかりに水のシャワーを浴びる。
こんなことなら、昨日我慢せずにキスとかすれば良かった。
なんか甘えてきて、なんか無防備に見えた昨日の晩の蛍。
肩とか腰とか抱いて、そのままいけるじゃないかと舞い上がったけど、浮かれる俺は自分自身に待ったを掛けた。
昨日、俺が風呂に入ろうと脱衣所で服を脱いでた時、少しドアの閉め方が足りずに隙間が空いてたんだろう。
蛍の「怖い」という声が聞こえて来たんだ。
あれがどういう意味の怖いなのか、何となくだけど想像がつく。
告白してからこっち、俺といい雰囲気になると蛍は挙動不審になるし、逃げようとして話題を変えようとしてる。
気持ち悪いとか、好きだと言ったのは間違いだったと思ってるんじゃないんだと、そう思ってたけれど、まさか怖いって思ってたとは、衝撃だった。
「あの怖いは、アレの時の話なのか」
昨日風呂に入りながら考えて、蛍と映画見ながらも考えて、そのまま悶々としながら寝てエロい夢を見た。
キスすらしてない俺達の、エロい行為。
俺の下で喘いでいる蛍は、エロ可愛かった。
俺、蛍は俺に抱かれる方だと思ってたし、蛍が怖いというのは、蛍自身もそう思っているってことなんだろう。
「怖い……そりゃ怖いか」
やり方は何度も何度も調べた。
だから、男との経験は無いけどやり方は完璧だと思う。
想像でも俺は抱く側で、逆は無理だなって思ってたけど、それは怖いからじゃなくて本能的にそう思っただけだ。
「蛍、普通に怖がりだしな」
蛍は、優しいしよく気がつくし繊細だ。
二人で暮らすこの部屋を住み良く整えてくれて、旨いもの作ってくれる。
俺なんて手伝い程度しかしてないのに、蛍はニコニコとそれを許してくれる。
「蛍の嫌なことはさせたくないよなあ」
体がいいかげん冷えてから、ボディーソープで体を洗い、今度は熱いシャワーで流す。
「なら逆はどうなんだ?」
無理だなって思ってたけど、大好きな蛍が怖いと言うなら逆でまずやってみるのはどうだろう。
「それでも駄目なら、最後までしないとか」
俺は蛍といちゃいちゃしたいだけなんだ。
最後まで出来なくても、別にいい。
大事なのは、蛍を怖がらせたり悲しませたりしないで、いちゃいちゃするってことなんだから。
蛍の怖い発言のショックで、俺は迷走しまくってたんだ。
清々しい筈の朝、べっとりと汚れた手を拭いたウェットティッシュをゴミ箱に捨て、ベッドから立ち上がると、小窓を開けて独特の臭いを外へ出そうと、雑誌で空気を扇ぐ真似をする。
「蛍が来なきゃ平気かな」
ルームスプレーをシューシューと何度も振り、クンクンと臭いを確認する。
ゴミ箱に丸めて捨てたウェットティッシュは、五味に取り付けていたビニール袋の口をぎゅっと縛ってから、ゴミ箱の底に畳んで入れていたビニール袋を一枚取り出して、縛ったばかりの袋を入れて厳重に袋の口を縛る。
「証拠隠滅」
ゴミ箱には新しくビニール袋を取り付けてから、シーツと枕カバーを取り外し、毛布は広げて消臭スプレーを吹き付ける。
「なんかいい匂いする」
洗濯物を入れるプラ籠に、シーツと枕カバーを突っ込んで部屋を出ると、味噌汁の様な匂いと油の匂いがした。
「蛍おはよ。洗濯機とシャワー使っていいか?」
リビングまで行かないのは、まだ手を洗えていないからだ。
自室のドアのところで、リビングに向かって声を上げると「おはよー! 俺は洗濯終わったから大丈夫だよー!」と呑気な声が上がる。
「サンキュー」
蛍の洗濯は、俺の服とか下着も含んでいる。
俺の洗濯は、シーツとか枕カバー、パジャマとして着てるスウェットとかだ。
蛍は俺のワイシャツとかハンカチにアイロン掛けもしてくれるから、頭が上がらない。
プラ籠を抱えて、洗濯機置き場兼脱衣所に入るなり洗濯機の中に諸々を放り込み、着ているものを全部脱いでマッパになる。
「タオル使ってから洗濯機回すか」
洗濯機の並びにあるドアを開きトイレに入って用をたし、洗面台でハンドソープを使い念入りに手を洗い、ついつい手の臭いをクンクンとチェックしてから、洗面台の下の収納に置いてあるトイレ掃除シートでトイレのドアノブを拭き清める。
こんなの気になるなら、そもそもするなよと自己嫌悪に陥るけれど、生理現象は止められない。
「夢の中でも可愛いとか、困る」
ダメ押しで手を洗い、吊り棚に置いた籠からバスタオルを一枚出して、棚の下に置いてあるミニ箪笥から下着を出す。
バスタオルと下着だけは風呂入ってすぐに使えるように近くに収納している。
こんなことが出来るのは、余裕のある造りのファミリータイプの部屋ならではだろう。
「煩悩消えろ」
夢に蛍が出てきた。
エロいことして、幸せ気分で目を覚ましたら、当然とばかりに現実の俺はやる気に満ちていた。
申し訳ない気持ちで、昨日俺に甘えてくれた蛍を思い出しつつ発散し、賢者タイムの今絶賛後悔してる。
バスルームに入り、反省とばかりに水のシャワーを浴びる。
こんなことなら、昨日我慢せずにキスとかすれば良かった。
なんか甘えてきて、なんか無防備に見えた昨日の晩の蛍。
肩とか腰とか抱いて、そのままいけるじゃないかと舞い上がったけど、浮かれる俺は自分自身に待ったを掛けた。
昨日、俺が風呂に入ろうと脱衣所で服を脱いでた時、少しドアの閉め方が足りずに隙間が空いてたんだろう。
蛍の「怖い」という声が聞こえて来たんだ。
あれがどういう意味の怖いなのか、何となくだけど想像がつく。
告白してからこっち、俺といい雰囲気になると蛍は挙動不審になるし、逃げようとして話題を変えようとしてる。
気持ち悪いとか、好きだと言ったのは間違いだったと思ってるんじゃないんだと、そう思ってたけれど、まさか怖いって思ってたとは、衝撃だった。
「あの怖いは、アレの時の話なのか」
昨日風呂に入りながら考えて、蛍と映画見ながらも考えて、そのまま悶々としながら寝てエロい夢を見た。
キスすらしてない俺達の、エロい行為。
俺の下で喘いでいる蛍は、エロ可愛かった。
俺、蛍は俺に抱かれる方だと思ってたし、蛍が怖いというのは、蛍自身もそう思っているってことなんだろう。
「怖い……そりゃ怖いか」
やり方は何度も何度も調べた。
だから、男との経験は無いけどやり方は完璧だと思う。
想像でも俺は抱く側で、逆は無理だなって思ってたけど、それは怖いからじゃなくて本能的にそう思っただけだ。
「蛍、普通に怖がりだしな」
蛍は、優しいしよく気がつくし繊細だ。
二人で暮らすこの部屋を住み良く整えてくれて、旨いもの作ってくれる。
俺なんて手伝い程度しかしてないのに、蛍はニコニコとそれを許してくれる。
「蛍の嫌なことはさせたくないよなあ」
体がいいかげん冷えてから、ボディーソープで体を洗い、今度は熱いシャワーで流す。
「なら逆はどうなんだ?」
無理だなって思ってたけど、大好きな蛍が怖いと言うなら逆でまずやってみるのはどうだろう。
「それでも駄目なら、最後までしないとか」
俺は蛍といちゃいちゃしたいだけなんだ。
最後まで出来なくても、別にいい。
大事なのは、蛍を怖がらせたり悲しませたりしないで、いちゃいちゃするってことなんだから。
蛍の怖い発言のショックで、俺は迷走しまくってたんだ。
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