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「それではギュスターヴ様にも心当たりがないのですね」
私の部屋のソファーはそんなに大きくない、とは言ってもこの屋敷にあるソファーの大きさと比較してだ。
二人が並んで座るのに丁度いい大きさのソファーが、テーブルを挟んで二つあるのに何故か今並んで座っている。
公爵家の屋敷は、王都にあるお屋敷だというのに、さすが公爵家と言えばいいのかこの屋敷の部屋はどれも大きすぎる位に大きい。
部屋の大きさに合わせて置かれている家具も皆大きいのだと思うから当然なのかもしれないけれど、応接室のソファーは私がベッドとして使ってもいいのではと考える程大きい。
この屋敷の応接室は複数あるけれど、私がベッドに出来そうな大きさのソファーが大きなテーブルを囲む様に三つ置いてあり、大きな大きな暖炉が正面にある。壁際にも何故かソファーが置いてあり飾り棚やその他様々な調度品で整えられている。
初めてこの屋敷に伺った時通された応接室の大きさと豪華さに、私が公爵家に嫁ぐのは間違いなのではないかと恐ろしくなったほどだ。
まだ屋敷の中を案内されていないけれど、どうもこの屋敷の二番目に大きな応接室に通されたらしい。
ちなみに一番大きくて豪華な部屋は、王族を迎える専用の部屋らしいから貴族を迎えるには一番いい部屋に通されたことになる。
「うん、分からない。彼と個人的に話をしたことも無いし」
「そうなのですか?」
「そうなのです……失礼移ってしまった」
恥ずかしそうにしているギュスターヴ様がなんだか可愛らしく見えて微笑ましく見つめていると、部屋の隅に控えているリンダ達も微笑みながら私達を見ていると気が付いた。
私付きになったメイド達は、私よりいくつか年上の人達ばかりで代々家族で公爵家に仕えている者ばかりらしいから、ギュスターヴ様が幼いころから近くにいて彼の成長を姉の様な気持ちで見て来たのかもしれない。
「ギュスターヴ様の可愛らしい姿を昨日から沢山拝見している様に思います。可愛いなんて殿方に思うのは失礼かもしれませんが」
猫の姿を見せたら嫌われるだろうかと不安になったり、私の言葉に一喜一憂したりしているのを見られるのはとても嬉しい。夫婦になっていて感動することではないかもしれないけれど、凄く親しくなった気がする。
「可愛いと、こんな大男に言うのはシュテフイーナくらいだと思うけれどね。君が私を嫌にならないなら、なんでもいいかな。はい、これも食べてあなたが好きな味だと思うよ」
「ありがとうございます。私がギュスターヴ様を嫌になることは無いと断言出来ますから、これからも可愛い姿を見せてくださいませね」
メイドは空気、メイドの前で夫婦が仲良くするのはむしろ良い事と、恥ずかしさを堪えて自分に言い聞かせる。
私の実家は使用人と雇っている人数がさほど多く無かったせいか私達家族と使用人の距離が近かったから、空気なんてとても思えないけれど、この屋敷ではある程度割り切って生活しないといけないとお義母様から言われている。
人と思うなとは言わないけれど、私的なことはすべて見られて当然と割り切らないといけないのだそうだ。
割り切って、見られて困る事は言わないししない。そうやって生活するのだと婚約してすぐに教えられた。
まあ、入浴の手伝いは実家でもメイド達にされていたし慣れているけれど、割り切らないと夫婦で使った寝室の片付けなんて使用人にさせられないし、ギュスターヴ様との甘々会話だって彼女達の前で出来ない。
「可愛い、あなたの方が可愛いよ。あぁ、本当にあなたとこうしていられて嬉しい。ありがとうシュテフィーナ」
ぎゅむと急に抱きしめられて、メイド達がハッと息を飲む気配がした。
ありがとう。の言葉の意味は、私が猫になる呪いを受けたギュスターヴ様を受け入れたことについてだと、私は分かっているけれど、彼女達は知らないから驚いたのだろう。
ギュスターヴ様は恰好良いけれど、何せ体が大きいしちょっと表情が厳めしいからこういう事をするようには見えないし、彼女達も初めて見たのかもしれない。
「嬉しいのは私の方です。ギュスターヴ様の妻になれて幸せですし、お義母様達に先程お祝いの言葉を頂けたのもとても嬉しいです」
呪いなんて、白い結婚になる位ならいくらでも受け入れると決意した私偉い。
自分の勇気に心の中で拍手して、ギュスターヴ様の抱擁を受けていると小さく扉を叩く音が幸せな時間を終わらせた。
「若様、若奥様、旦那様がお呼びでございます」
入室許可をギュスターヴ様が告げると、扉を開けたのは家令だった。
「分かったすぐに行く」
甘々していてあまり食べていないテーブルの上の軽食を、ちょっと未練がましく見つめながらギュスターヴ様に手を引かれて立ち上がる。
食べたようで食べていないからお腹は空いたまま、これから客人が帰るまでまともな食事が出来ないだろうことを考えると恨み以外の言葉が出て来ない。
さっさと帰らせて美味しいお食事を堪能してやるんだから、心の中で決意してギュスターヴ様のエスコートで応接室まで歩く。
私が通されたことがない辺りだと、廊下に飾られている絵画で気が付いた。
応接室がある辺りはどこも豪華に飾られているけれど、この辺りは少し飾り方が違う気がする。
「ギュスターヴ様、この辺りって」
「まだ屋敷の案内をしていなかったね、ここはちょっと訳ありの客を通す為の部屋がある」
「訳あり、ですか」
きょとりと首を傾げると、ギュスターヴ様は意味ありげに微笑んだのだった。
私の部屋のソファーはそんなに大きくない、とは言ってもこの屋敷にあるソファーの大きさと比較してだ。
二人が並んで座るのに丁度いい大きさのソファーが、テーブルを挟んで二つあるのに何故か今並んで座っている。
公爵家の屋敷は、王都にあるお屋敷だというのに、さすが公爵家と言えばいいのかこの屋敷の部屋はどれも大きすぎる位に大きい。
部屋の大きさに合わせて置かれている家具も皆大きいのだと思うから当然なのかもしれないけれど、応接室のソファーは私がベッドとして使ってもいいのではと考える程大きい。
この屋敷の応接室は複数あるけれど、私がベッドに出来そうな大きさのソファーが大きなテーブルを囲む様に三つ置いてあり、大きな大きな暖炉が正面にある。壁際にも何故かソファーが置いてあり飾り棚やその他様々な調度品で整えられている。
初めてこの屋敷に伺った時通された応接室の大きさと豪華さに、私が公爵家に嫁ぐのは間違いなのではないかと恐ろしくなったほどだ。
まだ屋敷の中を案内されていないけれど、どうもこの屋敷の二番目に大きな応接室に通されたらしい。
ちなみに一番大きくて豪華な部屋は、王族を迎える専用の部屋らしいから貴族を迎えるには一番いい部屋に通されたことになる。
「うん、分からない。彼と個人的に話をしたことも無いし」
「そうなのですか?」
「そうなのです……失礼移ってしまった」
恥ずかしそうにしているギュスターヴ様がなんだか可愛らしく見えて微笑ましく見つめていると、部屋の隅に控えているリンダ達も微笑みながら私達を見ていると気が付いた。
私付きになったメイド達は、私よりいくつか年上の人達ばかりで代々家族で公爵家に仕えている者ばかりらしいから、ギュスターヴ様が幼いころから近くにいて彼の成長を姉の様な気持ちで見て来たのかもしれない。
「ギュスターヴ様の可愛らしい姿を昨日から沢山拝見している様に思います。可愛いなんて殿方に思うのは失礼かもしれませんが」
猫の姿を見せたら嫌われるだろうかと不安になったり、私の言葉に一喜一憂したりしているのを見られるのはとても嬉しい。夫婦になっていて感動することではないかもしれないけれど、凄く親しくなった気がする。
「可愛いと、こんな大男に言うのはシュテフイーナくらいだと思うけれどね。君が私を嫌にならないなら、なんでもいいかな。はい、これも食べてあなたが好きな味だと思うよ」
「ありがとうございます。私がギュスターヴ様を嫌になることは無いと断言出来ますから、これからも可愛い姿を見せてくださいませね」
メイドは空気、メイドの前で夫婦が仲良くするのはむしろ良い事と、恥ずかしさを堪えて自分に言い聞かせる。
私の実家は使用人と雇っている人数がさほど多く無かったせいか私達家族と使用人の距離が近かったから、空気なんてとても思えないけれど、この屋敷ではある程度割り切って生活しないといけないとお義母様から言われている。
人と思うなとは言わないけれど、私的なことはすべて見られて当然と割り切らないといけないのだそうだ。
割り切って、見られて困る事は言わないししない。そうやって生活するのだと婚約してすぐに教えられた。
まあ、入浴の手伝いは実家でもメイド達にされていたし慣れているけれど、割り切らないと夫婦で使った寝室の片付けなんて使用人にさせられないし、ギュスターヴ様との甘々会話だって彼女達の前で出来ない。
「可愛い、あなたの方が可愛いよ。あぁ、本当にあなたとこうしていられて嬉しい。ありがとうシュテフィーナ」
ぎゅむと急に抱きしめられて、メイド達がハッと息を飲む気配がした。
ありがとう。の言葉の意味は、私が猫になる呪いを受けたギュスターヴ様を受け入れたことについてだと、私は分かっているけれど、彼女達は知らないから驚いたのだろう。
ギュスターヴ様は恰好良いけれど、何せ体が大きいしちょっと表情が厳めしいからこういう事をするようには見えないし、彼女達も初めて見たのかもしれない。
「嬉しいのは私の方です。ギュスターヴ様の妻になれて幸せですし、お義母様達に先程お祝いの言葉を頂けたのもとても嬉しいです」
呪いなんて、白い結婚になる位ならいくらでも受け入れると決意した私偉い。
自分の勇気に心の中で拍手して、ギュスターヴ様の抱擁を受けていると小さく扉を叩く音が幸せな時間を終わらせた。
「若様、若奥様、旦那様がお呼びでございます」
入室許可をギュスターヴ様が告げると、扉を開けたのは家令だった。
「分かったすぐに行く」
甘々していてあまり食べていないテーブルの上の軽食を、ちょっと未練がましく見つめながらギュスターヴ様に手を引かれて立ち上がる。
食べたようで食べていないからお腹は空いたまま、これから客人が帰るまでまともな食事が出来ないだろうことを考えると恨み以外の言葉が出て来ない。
さっさと帰らせて美味しいお食事を堪能してやるんだから、心の中で決意してギュスターヴ様のエスコートで応接室まで歩く。
私が通されたことがない辺りだと、廊下に飾られている絵画で気が付いた。
応接室がある辺りはどこも豪華に飾られているけれど、この辺りは少し飾り方が違う気がする。
「ギュスターヴ様、この辺りって」
「まだ屋敷の案内をしていなかったね、ここはちょっと訳ありの客を通す為の部屋がある」
「訳あり、ですか」
きょとりと首を傾げると、ギュスターヴ様は意味ありげに微笑んだのだった。
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