社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香

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前編

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 疲れた、もう寝たい。

 寮に帰ってベッドに横になりたいけれど、それは多分今日も無理だから、せめて浄化魔法で体と服を綺麗にして机に突っ伏して五分だけでも眠ろう
 ああ、でもその前にお昼休みに食堂の人に分けてもらったビスケットと水で栄養取らなきゃ。
 そうしないと死んじゃう
 私の体は疲れと眠気と空腹で限界だった、体力はもうどこにも残ってない。
 人よりはだいぶ多すぎる魔力で体と服を浄化ししたらちょっとだけすっきりしたけれど、浄化魔法じゃ体力は戻らない。
 私は癒しの魔法は使えない、補助魔法は少し使える程度で得意なのは攻撃魔法だ。それなら五属性全部使えるけれど今私に必要な魔法は攻撃魔法じゃない。

「攻撃魔法なんて得意でも、書類仕事にはなんの役にも立たないわ

 のろのろと鞄に入れていたビスケットを取り出したけれど、教科書に押し潰されてまともに形を保っているものは無かった。
 そう言えば授業の後この部屋に来るのが遅いと、あの人に鞄を取り上げられ踏みつけられたのだったと思い出した。

『疲れた顔しているわ、甘い物食べて元気だして』

 せっかくの食堂の人がそう言って手渡してくれたのに、ぐちゃぐちゃになってしまったと、ため息を吐きながら書類で埋まっている机の上で僅かに開いた場所にそれを置き、水をとってこようと立ち上がった。

「崩れていても味も彼女の好意も変わらない。s少しでも食べないと倒れてしまうわ、もう日付が変わったし体を休めないと」

 励ますように自分に言って一歩足を踏み出す、その途端視界が揺れて目の前が暗くなった。

「あ、」

 倒れないように足に力を入れたのに、ぐらりと後ろに体が倒れていく
 バタリとか、バタンとか音が小さな部屋に響いた後、ゴツンと後頭部を打ち付けた衝撃と鈍い痛みを感じたけれど体を起こす気力も体力も無かった。

「また死ぬの?」

 声にならない声、それは思わず出た言葉だった。
 でも、私は何を言ってるんだろう。また死ぬってどういう事? 私生きてますけど。
 自分で自分に突っ込みを入れてる、なんて思った後で、突っ込みってなんだろう。と思う。
 違和感を覚えながら、そのまま意識が遠くなっていく。
 椅子に座ったままじゃない眠りは久し振りだから、このまま死ねるならそれでもいいか。
 なんて、思うほどに私は疲れていたのだ。





「んん、体痛い」

 あくびをしながら体を起こすと、体がギシギシときしんでいる気がした。
 でもよく寝た、ぐっすり眠っていたのに、窓から差し込む日差しが明るくて目を覚ましてしまった
 起きたくないけど、仕事いかないとなぁと、周囲を見渡して目をこする。 

「ここって、どこ? あれ? なんか痛い?」

 もう一度周囲を見渡して、頭を抱えて後頭部が変な盛り上がりをしているところに指先が触れ鈍い痛みを感じ、昨日の事を思い出す。
 昨日の夜、日付が変わっていたからもう今日か、とにかく真夜中に私は立ち上がった途端視界が揺れて倒れた拍子に頭を打った気がする。
 会社で残業中、ドリンク剤を飲んだ後気持ちが悪くなって体に力が入らなくなって、椅子から転げ落ちて、頭を打ったのが最後の記憶だ。

「え、なんで記憶が二人分あるの? あれ? 私誰?」

 私はポローニア・ナビィ、ナビィ伯爵家の次女、茶色の髪と茶色の瞳の地味な見た目をしている。

 私は村田桐絵、ブラック会社で営業をしてる社畜だ。

「私……」

 ショックが大きすぎて、両手を床について項垂れるとサラリと茶色の髪が落ちて視界を隠す。
 茶色の髪じゃない、私、村田桐絵は黒い髪だ。美容院に行く暇がないからいつも後ろで一つにしていて、あまりにも伸びすぎた時は事務用のハサミで適当にカットしていた。
 俯いた時に、髪が落ちてきたら仕事の邪魔だし、仕事中はおろしたりしない。

「私は、ポローニア? え、それじゃなんで、桐絵の記憶が……」

 混乱していると、急にドアが開き金髪似青い瞳の男性が入ってきた。

「何やってるんだ、お前。床に座るなんて令嬢教育もまともに受けていないのか」
「あ、あの。申し訳ありません」

 反射的に立ち上がり、頭を下げながらスカートの裾を直す。
 頭の中は大混乱だ。

「それで、私の宿題は終わったんだろうな」
「宿題、あの……まだ」
「なんだと? それじゃ生徒会の仕事は」
「そちらもまだです、申し訳ありません」

 返事がスラスラと出てくる。
 今の私の頭は、間違いなくポローニアのものだと自覚する。
 この人は、私の婚約者だ。

「お前、私の命令を軽んじているだろ。焼き菓子を食べながら、適当にしていたんだな?」
「ち、違います。あれは夕食の代わりにしようとしていただけ、きゃあ!」

 目ざとく机の上のビスケットに気がついたらしく、机を指さしながら声を荒げる。
 それが恐ろしくて言い訳をしようとした途端、どんと肩を押されてそのまま後ろ向きに床に倒れ込んだ。
 いきなりだったから、手を着くことも出来ずまた後頭部を打ち付けてしまった。しかも同じ所だ。
 昨日は無事だったけれど、今度こそ危ないかもしれない。

「言い訳はいい、お前は今日は授業に出ずにそれを終わらせるんだ。さもないと、お前の出来の悪さを理由に婚約破棄してやる。勿論お前が悪いんだから、慰謝料を請求する。ホルダー家に逆らえると思うなよ」
「そ、そんなっ!」

 後頭部の痛みに耐えながら体を起こした私を睨みつけ去っていくのを、呆然と見送る。
 バタンッと閉まるドア、出ていったのはゼルカヴァ・ホルダーだ。彼はホルダー侯爵家の嫡男でポローニア・ナビィの婚約だけれど、父親が決めた婚約者を嫌っていて、自分が好き勝手していい下僕だと勘違いしている。
 頭の中にその情報がよみがえるけれど、それに私は驚き過ぎてみっともなく床に座り込み自分の茶色の髪を見つめる。

「今のって、ゼルカヴァ・ホルダー?」

 ポロ―ニアの記憶では、彼は恐ろしい婚約者だ。
 でも、村田桐絵の記憶では違う、彼は恐ろしいというより人として駄目なクズ人間だ。
 そして私ポロ―ニアは……。

「嘘でしょ、ポローニア・ナビィって、花は夢物語と恋をするに出てきて、ボロカスに婚約者から嫌われてた根暗令嬢じゃない」

 認めたくないけれど、私の名前がポローニア・ナビィで、彼はホルダー家と言っていたし、ポロ―ニアの記憶で彼は確かにゼルカヴァ・ホルダーと言う名前だと分かっている。なぜ私が転生しているか分からないけれど、やっぱりここはゲームの世界なんだろう。
 さっきの男性は、桐絵が現実逃避にやっていた乙女ゲームに出てくる攻略対象を本物の人間にした様な顔をしていた。私の顔はまだ見ていないけれど、同じくアニメ絵の顔を本物の人間にした様な顔なのだと思う。

「よりによって、ポロ―ニアなの、なんで?」

 ポローニアが当て馬の悪役令嬢になるルートでは、攻略対者が婚約者であるポローニアに生徒会の仕事も学園の宿題も押し付けて、ポロ―ニアが満足に仕事をこなせなければ容赦なく罵声を浴びせ殴る蹴るなどをしていた。

 家柄だけで生徒会役員になった他の人達は、大人しいポローニアを馬鹿にして、こちらも仕事を押し付けるようになり、いつの間にかポローニアは一人で生徒会の仕事をするようになった。
 最初はポロ―ニアの寮の私室でこっそり仕事をさせられていたが、今は校舎の中にある小さな部屋に押し込められて仕事をさせられている。
 ポロ―ニア自身の成績が下ればゼルカヴァがそれを理由に婚約破棄する脅してくるから自分の勉強は疎かに出来ないし、生徒会の大量の仕事と婚約者の宿題までやらなくてはならないから、ポローニアは寝る時間を削って働くしかなかった。
 ナビィ家は伯爵位、婚約者は侯爵位だから逆らうと家にも迷惑がかかると、ポローニアは家には何も言わず耐えるしかなかったのだ。
 ゲームのラストでヒロインはポローニアの状況を知り、助けてくれようとしてくれる。でも、ポローニアは卑屈な考え方でそれを拒否し、ヒロインを階段から突き落とそうとして逆に自分が落ちてしまう。

 そうしてポローニアはヒロインに「私があなたみたいに強かったら良かったのに」と最後の言葉を残して死んでしまうのだ。

「今は二年生、隣国の男爵令嬢ヒロインが留学してくるのは私達が三年になった時。つまり、まだまだこの辛い日々が続く」

 あのゲームは、ヒロインに恋した攻略対象がクズから真人間に変わり、ヒロイン一筋になるという展開だったから、攻略対象者は皆が何かしら欠点がある。欠点というか、どいつもこいつもクズだ。
 攻略対象者のクズさに負けずヒロインは、相手のやることなすことを注意したり叱ったりしながら、更生させていく。
 息子の悪行に頭を悩ませていた親達は息子を更生させたヒロインに感謝し、男爵令嬢でも良いから息子の婚約者にと話を進めていくと、相手は身分を隠した隣国の王女だと判明する。
 ヒロインは攻略対象者とハッピーエンドを迎えるが、攻略対象者と婚約していた令嬢は悲惨な最後を迎える。例えば王太子殿下の婚約者の場合は、ヒロインをイジメたと家を追い出され、ボローニアの場合、つまり私だ。ヒロインを階段から突き落とそうとして自分が落ちる。理由はさっき思い出した通り。報われない最後というわけだ。

「ヒロインが出てきて、あの人を奪ってくれたら感謝以外の言葉なんてないわよぉ」

 誰もいない小さな部屋で、私は頭を抱えてしまう。
 ヒロインが攻略対象者の一人と結ばれた後で、彼女に選ばれなかった攻略対象者はそれぞれの婚約者と結婚しながらヒロインを思い続ける。ここでゲームは終わる。
 恐ろしい事に、このゲームには有料の追加要素があり、前作でヒロインに選ばれなかった攻略対象者を一人選ぶと新ヒロインと攻略対象者が恋愛していくことが出来る。
 なにせ元がクズな性格な人ばかりだから、妻になった相手を蔑ろにするなんてなんとも思わない人ばかりなのだが、新ヒロインと出会うことで攻略対象者は改心して妻と離縁し新ヒロインと再婚する。
 なんでそんな酷い人しか攻略対象者にいないゲームなんて夢中になってたんだろと、今なら思うけれど当時はクズをまともにしようと自分の意見をはっきり言うヒロインに憧れていたし、理不尽なことをされても一人耐えたりせずにやり返す姿に、現実のストレスを解消してもらっていたのだ。
 何せ私は、仕事を辞めたいのに「お前みたいな人間、この会社を辞めたらどこも雇ってくれない」という上司の声に、サービス残業も休日手当もない休日出勤も耐えて従ってをしていた挙句に、死んでしまったのだから。
 元々大人しい性格で、新卒で入った会社がブラックでも理不尽な待遇は許せないなんて声をあげられるわけもなく、上司に恫喝されるのが当たり前になり過ぎて、従う以外の選択肢を持てなかった。
 私の両親は私も妹達のことも大切に育ててくれていたから、酷い会社だったと知れば辞めるのは当然だと味方になってくれただろう。
 でも、自分が情けなくて言い出せなかったのだ。そのせいで、死ぬくらいなら相談するべきだったと、今の私なら思えるのに……いいや、今の私だって婚約者に脅されてこんな目にあっているのだから、変わっていない。前世と同じだ。

「向こうの有責で婚約破棄なんて贅沢言わないから、解消したい」

 そう呟いても何も方法は思いつかない。
 ノロノロと椅子に座り、ビスケットの欠片をひとつ口に入れると、水分が無い口の中にビスケットがはりついて、情けなくて涙がこぼれてきた。

「頭痛い」

 暫く泣いて、授業開始の鐘の音に我に返る。
 授業を連絡無しに休んでしまったという罪悪感と、机の上の未処理の書類の山を処理して宿題も終わらせないといけない現実に目の前が真っ暗になる。
 こんな生活をヒロインが現れるまで続けないといけなくて、ヒロインが私の婚約者を選んでくれなければ、私は彼と結婚し不幸な生活が続行してしまう。

「でも、ヒロインが彼を選んだ場合、私は死んでしまうんだわ」

 つまり、私はどちらに転んでも不幸にしかならないんだ。
 それを知ってしまったら、やる気なんて起きるわけがない。

「お父様に相談する? でも、そうしたら家に迷惑が掛かる。私だけ我慢すれば家族は助かる?」

 何か家に迷惑を掛けずに逃げられる方法はないのだろうか、婚約を解消しても家に迷惑がかからない。そんな方法だ。

「他の攻略対象者の婚約者に相談する? でも、今まだヒロインは登場していないし。なんて言ったら信じてもらえるかしら」

 考えようとするけれど、打ち付けた後頭部の痛みが強すぎて、考えがまとまらない。

「こんなに頭が痛くて大丈夫なのかしら」

 打つけた場所が場所だけに、不安になる。
 でも、学園内の医務室には行けない。
 頭を打った理由を話したら大問題になるかもしれないし、問題になっても侯爵家の彼の方が庇われるかもしれない。
 こうなったら、こっそりと学園の外に出て、薬を買ってくるしかないかもしれない。

「待って、私お金を持ってないわ」

 私は寮に入っているし、食事は三食寮で出されるし、必要な物は家が取引している商人を呼び買い物すると、請求は家に行く。
 だからお金を使うところがないから、お金を持っていないのをすっかり忘れていた。
 それに私はそもそも買い物を自分でしたことは一度もない。この国では、貴族が一人で店に入ることは無いし、仮にその場で支払いが必要になったとしたら一緒にいる使用人が払う。
 それは男女共に同じで、だからこそ平民街の市場で、攻略対象者が護衛を置いてヒロインとデートした時、露店で買ったお菓子の支払いをヒロインがしてくれて、ヒロインは素晴らしいというエピソードが攻略対象者全てのルートにあるのだ。

「どうしよう、治療しないとまずい気がする。でも私は寮にメイドを連れてきていないし」

 本当はメイドを連れて来て良いことになっているけれど、私は彼の「一人でなんでも出来ないのは困るな」の一言で、連れてくることは出来なかった。
 勿論貴族令嬢なんだから、一人で何でもできる方が稀だ。だからこれは彼の嫌がらせなんだけど、従うしかなかった。
 幸い制服は一人で着られるし、ドレスも大変だけど一人で着ることが出来るものを持ってきた。
 食事は全て食堂だから、お茶の淹れ方とお風呂の入り方、髪の結い方と化粧の仕方を無理矢理覚えて、寮の生活を始めた。
 教えてくれたメイド達は、私の覚えが早いし器用だと褒めてくれたけれど、なんのことはない前世を思い出していなくても、前世の意識がどこかにあって、上手いこと手を動かせたのだろう。

「それにしても、どうやって……あ」

 頭痛がどんどん酷くなり、絶対に治療しないとマズイ気がしながら、ふと窓から見える景色にゲームの設定を思い出した。
 この部屋は校舎の一階、あまり人がこない場所にあり、生徒会の役員の一人が家の伝で無理矢理私の仕事部屋として用意したものだ。
 部屋には校舎の廊下に出られるドアの他、小さな窓が一つと、裏庭に出られるドアがあるし、お手洗いと小さな水場もついている珍しい造りだ。
 私はいつも深夜まで仕事が終わらないから、寮に戻るためにこの部屋のドアから裏庭に出て寮に帰る。
 夜中に校舎の中を歩いていたら、誰かに見つかるかもしれないという。有難い配慮からそういう場所が選ばれたのだ。
 迷惑な話だというのに、私は人目につかない帰り方を考えてくださりありがとうございます。とお礼を言わされた。
 家格が上の人には逆らってはいけない、そういう意識が出来上がっている私は、言われるままにお礼を言って、毎日深夜にこっそり帰る日々だったのだ。

「庭師に変装している学園長、確か王太子殿下の叔父だった人が、ヒロインのお助けキャラなのよ。彼は正義の人でヒロインを助けてくれる」

 もしもその人がいたら私は彼の身分は知らない振りをして、今お金のかわりになるもの、そうだお母様がお守りとしてくれていつも指にはめている指輪がある。
 これで、傷を治す魔法薬を買って来て欲しいとお願いしてみよう。
 魔法薬を買うには足りないかもしれないけれど、婚約者に突き飛ばされて怪我をしたので内緒で治療がしたいと相談すれば、話の流れで私が生徒会の仕事をさせられていることも話せるかもしれない。
 あのクズ男ばかりが出てくるゲームで、あのお助けキャラだけはヒロインをいつも励ましてくれる優しい人だった。
 私のあんな人が身近にいたらと、妄想で自分を良く励ましたものだ。あの人が現実にいるなら、きっと私を助けてくれると思う。 

「上手く行けば他の婚約者達も助けられるかもしれないわ」

 攻略対象者の相手は皆公爵か侯爵家のご令嬢で、私では声をかけることすら難しい。
 私の婚約者だけでなく、冷静に思い出すと生徒会役員全員がゲームの攻略対象者と同じ名前だから、つまり全員が紛れもないクズだ。だから平気で私に仕事を押し付けている。
 そんな彼らの婚約者達は、私同様様々な苦労を強いられているはずだし、どうせなら全員助けられたらいい。
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