神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです

珂里

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ライバル宣言されました

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3日後、再び教会を訪れた私は驚きの声を上げていた。

「2人とも、前髪切ったの?」

長かった前髪をバッサリ切り、青と赤のオッドアイがはっきりと見えている。

「ああ、変か?」

「そんなこと無いよ。とっても綺麗!」

私が笑顔で答えると、テックは嬉しそうに頬を赤くした。
パルラは後から部屋に入って来た龍斗さんに駆け寄り、同じように褒められて嬉しそうだ。


それから2人はお母様の授業を真剣に受けて字の勉強をしている。
元々、2人のお母さんが忙しい仕事の合間を縫って、字を少し教えてくれていたらしく覚えが早い。


「2人とも凄いねー!この調子だと、すぐに字をマスター出来ちゃうよ!」

授業が終わり、中庭で小さい子達が追いかけっこや龍斗さんの背中にしがみついて遊んでいる脇で、私はテックとパルラと地面に座り込んで話をしている。

もはや2人も、私が直に地面に座り込んでも何も言わない。

あ、あれから家に帰ってちゃんと日頃の感謝を、働いてくれている人達に言いましたとも!
みんなとっても喜んでくれたよ!

「フローラ先生とリュートさん、それにアヤナのおかげだよ。」

照れながら言うパルラは凄く可愛くて、思わずギュッと抱き締めてしまった。

「パルラ可愛い。」

「あははっ。アヤナの方が可愛いよ。」

2人でギュウギュウ抱き締め合っていると、テックが少し不貞腐れていた。

「俺は仲間外れかよ。」

そんなことを言うテックもまた可愛くて、私はテックにも抱きついた。

「そんなことないよ。テックも可愛いよー。」

「可愛いのは嫌だけど、今はまあいいや。」

テックはブツブツ呟きながらも私をギュッと抱き締め返してくれる。

「……テックが珍しいね。人と接するのあまり好きじゃないのに。」

テックを見て、パルラが目を丸くする。

パルラに言われて、テックは私を抱き締める力を強くした。

「アヤナは特別だからいいんだよ。」

「はい、そこまで~。テックはちょっとひっつき過ぎだから離れてね~。」

急に後ろから引っ張られて、私はそのままの勢いで仰向けに地面へ倒れた。

「痛ーい!何するのさっ!」

「それはこっちのセリフだ。ここにリスターがいたら大変な事になってたぞ。彩菜も、リスターが他の女と抱き締め合ってたら嫌だろ?もう小さい頃とは違うんだ。少し考えて行動しろよ。」

龍斗さんは言いながら私のおでこをペチペチと叩いた。

そうか、そうだよね。リスターが私以外と抱き合ってるのなんて想像するのも絶対に嫌だ。
リスターだって嫌に決まってるよね。
誰にでもギュッてしちゃうのは直さないと!

「龍斗さんの言う通りです。ごめんなさい。」

私がおでこをさすりながら謝ると、龍斗さんは頭をガシガシと撫でてくれた。

「リュートさん、カッコイイ!」

おや?今のはパルラの発言かな?

「そうだね、カッコイイね。オジサンだけど。」

「ちゃんと駄目なところを叱ってくれるなんて素敵だよ。」

「うん、いつも駄目な時は叱ってくれる素敵な人だよ。オジサンだけど。」

「リュートさんは結婚してるの?」

「残念ながら、結婚どころか恋人もいないんだよね。オジサンだけど。」

そこまで言うと、私のこめかみに龍斗さんの握り拳を当てられ、両手で頭をグリグリされた。

「オジサンオジサンうるせーよ。まだ若いわ。」

「イデデデデ!!痛い!龍斗さん痛いから!!」

30代は十分オジサンだと思うんですけどね!?

「リスターって誰?」

「あ?リスターは彩菜の婚約者だよ。」

眉を顰めて言うテックに、龍斗さんが答える。
私はまだ龍斗さんのグリグリ攻撃から解放されずに悶えていたから。
龍斗さんの腕をタップしてようやく攻撃する手を離してもらえた。

「……婚約者?」

「うん。とっても優しくて、カッコイイんだよ。」

私がリスターのことを笑顔で話すと、テックは一瞬ムッとした表情をしたけど、すぐにニッコリと笑った。

ん?見間違いかな?

「ふーん。まあ、今はそれでもいいや。これからどうなるかなんて、まだ分からないからな。」

声が小さくてよく聞こえなかったけど、テックがニコニコ微笑んでるから、まあいいか。

「あっちでみんなと遊ぼうよ!」

2人の手を引き、他の子達と合流してこの日は帰るまで一緒に沢山遊んだ。


傍らでは龍斗さんがずっと難しい顔をして何か考え事をしていたけど、大丈夫だったかな?

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