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衝動
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「オリビア様!!!」
私は咄嗟に叫んだ。
「え?どうしたの?」
叫び声にピクリと肩を震わせたオリビア様は、カップをテーブルに置いて私を見る。
良かった。まだお茶に口を付けてはいなかったみたいだ。
私は再度胸を撫で下ろすも、この後をどうするか考えずに叫んでしまった為にプチパニック状態だった。
考えようとすればするほど頭が真っ白になって何も思い浮かばない。
「フフッ、なーに?そんな大きな声を出して。」
オリビア様は笑いながら置いたカップにまた手をかける。
ーーああ、駄目!それは飲まないで!!
「オ、オリビア様!私、そのお茶が飲みたいんです。それ私にください!」
「え?これ?いいけど皆同じだと思うわよ?」
「ありがとうございます。オリビア様のお茶がいいんです。」
「フフッ、変な子ねー?」
オリビア様は首を傾げながらも私のカップと自分のを交換してくれた。
ーーホッ。良かった。これでオリビア様が死ぬ事件を回避出来たのかな?
チラリとルーカスを見れば、ルーカスも私と同様に胸を撫で下ろしているのが分かって安心したけど、その横ではお母様が鬼の形相で私を睨んでいた。
ーー怖い。メチャクチャ怒ってる。
カタカタと震える手をテーブルの下に隠してドレスを握り締める。
そうして必死に恐怖に耐えている私に氷のような冷たい言葉を浴びせるのは、やはり氷のような冷たい目をしたお母様だった。
「飲まないの?」
「…………え?」
こちらを見るお母様と目が合い、私の恐怖心はピークに達する。
ーーお母様は笑っていた。
冷たい目はそのままに、ニヤッと口角を上げて薄気味悪いほど綺麗に笑っていたのだ。
「せっかく我儘を言って換えてもらったのだから飲まないと……ねえ?」
「っ!!」
「お母様!!」
私はサッと青褪め、ルーカスは今にもお母様に掴み掛かろうかという勢で叫んだ。
ルーカスの様子から、ルーカスもお母様の企みを知っていると気付いたに違いない。
けれどお母様はルーカスを一瞥することも無く私をジッと見据え、薄気味悪い笑みを浮かべたまま私の動向を伺っていた。
「さあ、お飲みなさい。」
「…………」
私は蛇に睨まれた蛙のように微動だに出来ず、お母様から目を逸らすことすらままならない。
お母様にとって、私はいてもいなくてもいい存在。私がどうなろうと、どうでもいいのだ。
お母様の薄気味悪い笑みを浮かべたその表情から、それがハッキリと感じられる。
「シャーロット!」
私達の異様な雰囲気に何かを察したお兄様が、私の名前を呼び立ち上がった。
ーーこのままこのお茶を飲まなければ、お母様やその仲間達が上手く証拠隠滅をしてしまうかもしれない。
けれど、私がこれを飲めば……?私がこの場で毒に倒れれば、状況を察したお兄様や護衛の人達がすぐに証拠を押収してくれるだろう。
もしそれが駄目でも私の体内に残った毒を調べれば、毒の出どころが分かるかもしれない。
私がこれを飲んでお母様や隣国の悪事が露見されるのであれば御の字ではないか。
こんな私でも、少しはお兄様の役に立てるはず。
そう思ったら不思議と先程までの恐怖心が和らぎ、体が動かせるようになった。
ティーカップを手に取り、そこに淹れられたお茶をジッと見つめる。
「「「シャーロット!!」」」
「お姉様!!!」
覚悟を決めた私は顔を上げ、驚愕する皆にニッコリと微笑んだ。
ーーゴクン。
「……あ……ぁっ……」
一口飲めば体内が焼けるように熱く、たちまち呼吸をするのが難しくなった。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい…………。
「お姉様ー!!!」
「シャーロット!!!」
視界がボヤける中、ルーカスとお兄様がこちらにへ向かって必死に手を伸ばす姿が映し出されたけれど…………私はそれに応えることが出来ず、パタリとその場に倒れた。
私は咄嗟に叫んだ。
「え?どうしたの?」
叫び声にピクリと肩を震わせたオリビア様は、カップをテーブルに置いて私を見る。
良かった。まだお茶に口を付けてはいなかったみたいだ。
私は再度胸を撫で下ろすも、この後をどうするか考えずに叫んでしまった為にプチパニック状態だった。
考えようとすればするほど頭が真っ白になって何も思い浮かばない。
「フフッ、なーに?そんな大きな声を出して。」
オリビア様は笑いながら置いたカップにまた手をかける。
ーーああ、駄目!それは飲まないで!!
「オ、オリビア様!私、そのお茶が飲みたいんです。それ私にください!」
「え?これ?いいけど皆同じだと思うわよ?」
「ありがとうございます。オリビア様のお茶がいいんです。」
「フフッ、変な子ねー?」
オリビア様は首を傾げながらも私のカップと自分のを交換してくれた。
ーーホッ。良かった。これでオリビア様が死ぬ事件を回避出来たのかな?
チラリとルーカスを見れば、ルーカスも私と同様に胸を撫で下ろしているのが分かって安心したけど、その横ではお母様が鬼の形相で私を睨んでいた。
ーー怖い。メチャクチャ怒ってる。
カタカタと震える手をテーブルの下に隠してドレスを握り締める。
そうして必死に恐怖に耐えている私に氷のような冷たい言葉を浴びせるのは、やはり氷のような冷たい目をしたお母様だった。
「飲まないの?」
「…………え?」
こちらを見るお母様と目が合い、私の恐怖心はピークに達する。
ーーお母様は笑っていた。
冷たい目はそのままに、ニヤッと口角を上げて薄気味悪いほど綺麗に笑っていたのだ。
「せっかく我儘を言って換えてもらったのだから飲まないと……ねえ?」
「っ!!」
「お母様!!」
私はサッと青褪め、ルーカスは今にもお母様に掴み掛かろうかという勢で叫んだ。
ルーカスの様子から、ルーカスもお母様の企みを知っていると気付いたに違いない。
けれどお母様はルーカスを一瞥することも無く私をジッと見据え、薄気味悪い笑みを浮かべたまま私の動向を伺っていた。
「さあ、お飲みなさい。」
「…………」
私は蛇に睨まれた蛙のように微動だに出来ず、お母様から目を逸らすことすらままならない。
お母様にとって、私はいてもいなくてもいい存在。私がどうなろうと、どうでもいいのだ。
お母様の薄気味悪い笑みを浮かべたその表情から、それがハッキリと感じられる。
「シャーロット!」
私達の異様な雰囲気に何かを察したお兄様が、私の名前を呼び立ち上がった。
ーーこのままこのお茶を飲まなければ、お母様やその仲間達が上手く証拠隠滅をしてしまうかもしれない。
けれど、私がこれを飲めば……?私がこの場で毒に倒れれば、状況を察したお兄様や護衛の人達がすぐに証拠を押収してくれるだろう。
もしそれが駄目でも私の体内に残った毒を調べれば、毒の出どころが分かるかもしれない。
私がこれを飲んでお母様や隣国の悪事が露見されるのであれば御の字ではないか。
こんな私でも、少しはお兄様の役に立てるはず。
そう思ったら不思議と先程までの恐怖心が和らぎ、体が動かせるようになった。
ティーカップを手に取り、そこに淹れられたお茶をジッと見つめる。
「「「シャーロット!!」」」
「お姉様!!!」
覚悟を決めた私は顔を上げ、驚愕する皆にニッコリと微笑んだ。
ーーゴクン。
「……あ……ぁっ……」
一口飲めば体内が焼けるように熱く、たちまち呼吸をするのが難しくなった。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい…………。
「お姉様ー!!!」
「シャーロット!!!」
視界がボヤける中、ルーカスとお兄様がこちらにへ向かって必死に手を伸ばす姿が映し出されたけれど…………私はそれに応えることが出来ず、パタリとその場に倒れた。
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