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真実は知らない方が良かった!
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ん?でも、なんでセディがありがとうって言うの?王女と友達なのかな?
そんな事を考えながらセディをジッと見ていると、顔を上げたセディとバチッと目が合った。
セディに微笑まれて、急に恥ずかしくなった私は、キスされた手をサッと引っ込めて、ぎこちなく笑う。
「え、えへへっ。こんな事されるの初めてだから照れちゃうね。」
「フフッ。じゃあ、僕がエリーヌの初めての人なんだね。」
いや、言い方!!!
前の人生から恋愛経験が乏しい私は、異性に対しての免疫ゼロなの!!
凄く恥ずかしいから、そういうのいりません!!
顔を真っ赤にする私を見てクスクスと嬉しそうに笑うセディ。
ーーもう嫌だ。早く帰ろう。
「じゃあ、セディ。元気でね!」
「ちょっと待った。」
そそくさとこの場を去ろうとする私の手を、セディがガシッと掴んで私を動けなくする。
もう、何よっ!
「元気でねって何?まるでもう会えないみたいな言い方なんだけど。」
「え?あーっ、そっかぁ!そういえば、前にまた来てね!って別荘で言った気がする……。すっかり忘れてたよ。」
「すっかり忘れてって……忘れてたの?ショックだなぁ。僕はまたエリーヌに会えるのを楽しみにしてたのに。」
「そうなの?ごめんごめん。でも、今日会えたからいいじゃん。また会えて良かったよ。」
アハハッて笑って誤魔化そうとしたら、セディにジトッとした目を向けられてしまった。
「じゃあ、もう行こうかな。まだ暫くは別荘にいるから、また遊びに来てね!バイバイ!」
今度こそセディに手を振って、馬車のある方へ駆け出す。
「絶対遊びに行くから!」
後ろからセディの声がして後ろを振り返ると、セディが大きく手を振っていたから、私ももう一度大きく手を振って別れた。
その後、無事?に別荘へ帰った私には、夜に案の定、父様の呼び出しがかかった。
「エリーヌ、今日は王女と派手にやり合ったようだね?」
部屋に入って早々、父様にそう言われた私は深々と頭を下げる。
「はい。お騒がせした事は謝ります。すみませんでした。」
「騒がせた事は?他に謝る事は無いと?」
「うん、全く。これっぽっちも無いよ。」
父様にジッと見つめられ、私も真っ直ぐに父様を見つめ返す。
暫く見つめ合っていると、父様が小さく息を吐いた。
「事情はその場にいた侍女が全て話してくれたよ。国王と王太子、それに私の目の前で、エリーヌは悪くないから責めないでくれと、涙ながらに訴えていた。」
「その侍女も悪くないから。」
私はギロリと父様を睨む。
「分かっているよ。侍女には何もお咎めは無かったから安心しなさい。今回の件は国王も怒っていてね。珍しく王女を叱っていたよ。アイツがいつも甘やかすだけ甘やかしていたから、王女もあんな感じになってしまったんだ。親なら、子供が駄目な事をした時はしっかり怒らないとな。」
ごもっともです。父様も私達に甘いけど、怒ると怖いもんね。
私がウンウンと頷いて同意していると、父様は、ふと思い出したように私に爆弾発言をした。
「そういえば、エリーヌはいつ王太子と知り合いになったんだ?あんなに会うのを嫌がっていたのに、仲が良いらしいじゃないか。」
「は?いやいや、王太子なんて知らないし。会ったことも無いよ。」
身に覚えの無い私は首を傾げる。
そんな私を見て、父様も首を傾げた。
「おや?違うのか?今日、中庭でいつも冷静沈着な王太子が、珍しく声を上げて笑う姿を見たと城の者が言っていてな。その横にいたという少女の特徴がエリーヌのようだったから、てっきりお前だと思ったんだが……。」
「うん?確かに中庭には行ったけど……そこではセディにしか会ってないよ。人違いじゃない?」
私がそう言うと、父様は一瞬目を瞠るが、すぐにまた私を残念な子を見るような目で見つめてくる。
「……エリーヌ。まさか、王太子の名前を知らなかったのか?……王太子の名前はセドリック。セディは王太子の愛称だよ。」
「……え?…………えーー!?」
私は驚きのあまり叫んだ口を、暫くポカンと開けたまま閉じることが出来なかった……。
そんな事を考えながらセディをジッと見ていると、顔を上げたセディとバチッと目が合った。
セディに微笑まれて、急に恥ずかしくなった私は、キスされた手をサッと引っ込めて、ぎこちなく笑う。
「え、えへへっ。こんな事されるの初めてだから照れちゃうね。」
「フフッ。じゃあ、僕がエリーヌの初めての人なんだね。」
いや、言い方!!!
前の人生から恋愛経験が乏しい私は、異性に対しての免疫ゼロなの!!
凄く恥ずかしいから、そういうのいりません!!
顔を真っ赤にする私を見てクスクスと嬉しそうに笑うセディ。
ーーもう嫌だ。早く帰ろう。
「じゃあ、セディ。元気でね!」
「ちょっと待った。」
そそくさとこの場を去ろうとする私の手を、セディがガシッと掴んで私を動けなくする。
もう、何よっ!
「元気でねって何?まるでもう会えないみたいな言い方なんだけど。」
「え?あーっ、そっかぁ!そういえば、前にまた来てね!って別荘で言った気がする……。すっかり忘れてたよ。」
「すっかり忘れてって……忘れてたの?ショックだなぁ。僕はまたエリーヌに会えるのを楽しみにしてたのに。」
「そうなの?ごめんごめん。でも、今日会えたからいいじゃん。また会えて良かったよ。」
アハハッて笑って誤魔化そうとしたら、セディにジトッとした目を向けられてしまった。
「じゃあ、もう行こうかな。まだ暫くは別荘にいるから、また遊びに来てね!バイバイ!」
今度こそセディに手を振って、馬車のある方へ駆け出す。
「絶対遊びに行くから!」
後ろからセディの声がして後ろを振り返ると、セディが大きく手を振っていたから、私ももう一度大きく手を振って別れた。
その後、無事?に別荘へ帰った私には、夜に案の定、父様の呼び出しがかかった。
「エリーヌ、今日は王女と派手にやり合ったようだね?」
部屋に入って早々、父様にそう言われた私は深々と頭を下げる。
「はい。お騒がせした事は謝ります。すみませんでした。」
「騒がせた事は?他に謝る事は無いと?」
「うん、全く。これっぽっちも無いよ。」
父様にジッと見つめられ、私も真っ直ぐに父様を見つめ返す。
暫く見つめ合っていると、父様が小さく息を吐いた。
「事情はその場にいた侍女が全て話してくれたよ。国王と王太子、それに私の目の前で、エリーヌは悪くないから責めないでくれと、涙ながらに訴えていた。」
「その侍女も悪くないから。」
私はギロリと父様を睨む。
「分かっているよ。侍女には何もお咎めは無かったから安心しなさい。今回の件は国王も怒っていてね。珍しく王女を叱っていたよ。アイツがいつも甘やかすだけ甘やかしていたから、王女もあんな感じになってしまったんだ。親なら、子供が駄目な事をした時はしっかり怒らないとな。」
ごもっともです。父様も私達に甘いけど、怒ると怖いもんね。
私がウンウンと頷いて同意していると、父様は、ふと思い出したように私に爆弾発言をした。
「そういえば、エリーヌはいつ王太子と知り合いになったんだ?あんなに会うのを嫌がっていたのに、仲が良いらしいじゃないか。」
「は?いやいや、王太子なんて知らないし。会ったことも無いよ。」
身に覚えの無い私は首を傾げる。
そんな私を見て、父様も首を傾げた。
「おや?違うのか?今日、中庭でいつも冷静沈着な王太子が、珍しく声を上げて笑う姿を見たと城の者が言っていてな。その横にいたという少女の特徴がエリーヌのようだったから、てっきりお前だと思ったんだが……。」
「うん?確かに中庭には行ったけど……そこではセディにしか会ってないよ。人違いじゃない?」
私がそう言うと、父様は一瞬目を瞠るが、すぐにまた私を残念な子を見るような目で見つめてくる。
「……エリーヌ。まさか、王太子の名前を知らなかったのか?……王太子の名前はセドリック。セディは王太子の愛称だよ。」
「……え?…………えーー!?」
私は驚きのあまり叫んだ口を、暫くポカンと開けたまま閉じることが出来なかった……。
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