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衝撃の事実
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「成程。これでエリーヌの可笑しな……不思議な言動も納得が出来る。」
家族全員に広間に集まってもらい、私が告白をし終わると、難しい顔をして私の話を聞いていた父様が深く頷いた。
ウィル兄様が父様に続いて頷く。
「湖で溺れて前世を思い出したのなら、確かに今までの事も辻褄が合いますね。あの後からエリーヌはキックボードやべっこう飴を作ったり奇行……不思議な行動をしていたので。そのせいだったのかと思えば素直に納得出来ます。」
…………もうさぁ、途中まで言っちゃってるんだから言い直さないで最後までいいなよ。
父様もウィル兄様も、普段から私のこと残念な子だとか言ってるくせに、変なところで気を使われると逆に傷つくじゃん。
「そうだよな~。エリーヌは小さい頃から可笑しな奴だったもんな。湖で溺れたりキックボード乗り回したり、普通の令嬢が絶対しないようなことをいつも平気でするもんな。アハハッ!まさに奇行だ奇行!」
…………そしてラルフ兄様は遠慮がないんかい。父様とウィル兄様が気を遣って遠回しに言ったことを、ズバッと直球で言って台無しにしちゃったよ。
さすが脳筋!!
「貴方達……。そんな事を言う前に、まずエリーヌの心配をしたらどうなの?前世の記憶を思い出したのなら、死んでしまった時の事も思い出したという事でしょう?可哀想に……。」
母様は、涙をハラハラと落としながら私を抱き締めた。
「前世でも、エリーヌが優しい子で母様は嬉しいわ。今世では、前世の分まで沢山楽しいことをしましょうね。私達家族は、いつでもどんな時でもどんなことがあっても、エリーヌの味方よ。」
「母様……!」
私もギュッと母様にしがみ付く。
……はぁ。家族の中で、母様だけが私の心のオアシスだよ。
何はともあれ、みんなに私の全てを受け入れてもらえて良かった。
…………でも……
「国王様達には、何て言おう?正直に話す訳にもいかないし……。」
「そうねえ。別に放っておけば良いんじゃないかしら?」
「そうだな。まだまだ私の休みはあるし、アイツ等も下手には動かないだろうし、暫く放っておいても問題無いだろう。」
いやいや、問題アリアリだろ。
そもそも父様って宰相じゃなかった?
宰相がこんなに休んでいいんですかね?
かれこれ10日は休んじゃってますよ?
「問題無い訳ないでしょう。父上も母上も、怒り心頭なのは十分に分かりますが、エリーヌの将来の事ですよ?真剣に考えて下さい。」
アーク兄様が困ったように眉尻を下げて父様と母様に言った。
ウィル兄様が苦笑しながら、アーク兄様の肩をポンポンと叩いて宥める。
「そうは言ってもなぁ……。3種類の魔力がある人間なんて今まで聞いたことが無いからね。父上、過去にそういう者はいましたか?」
ウィル兄様の問いかけに、父様が眉間に皺を寄せた。
「私も休みの間に色々調べてはいるのだが、今のところいないな……。人間と魔族のハーフとか、精々2種類の魔力持ちがいるくらいだ。ハーフで生まれた者の子供達は、どちらか魔力の弱い種族の魔力しか持たずに生まれてくるらしいから、実質2種類の魔力持ちはハーフしかいない。……まあ、中には例外な者もいるが、3種類の魔力持ちはエリーヌが初だろう。」
母様に抱き締められている私の頭を、父様は眉間に皺を寄せたまま撫でる。
……そっかぁ、そうだよね。神様がうっかりしちゃったんだもん。私しかいないよね……。
これからどうなっちゃうのかなぁ。
私は不安になって母様を見上げると、母様は優しく微笑んで私の額にキスを落とした。
「心配しなくても大丈夫よ。何があっても、エリーヌは私達が絶対に守るから。」
「うん……。」
私を抱き締める力を強める母様に、私も必死にしがみ付く。
襟巻き化していたクロはタイミングを見計らっていたのか、ゆっくり顔を上げると私の頬に頭をスリスリと擦り寄せた。
「エリーヌの中にある魔族の魔力は、俺から吸収した事にすればいいさ。エリーヌは少し特殊な体質らしいからな。そういう事ができるていで国王に話せばいいだろ。」
クロが父様を横目で見ながら、名案だろうと言わんばかりにドヤ顔をしている。
……何その顔。可愛いんですけど。
父様は顎に手を当て、クロをジッと見つめ暫く考えていたが、クロの意見に同意する為首を縦に振った。
「確かにそれが一番説得力はありそうだ。だが、それだけでは魔族の魔力にしか効力は無いだろう。エルフの魔力ともなると、アイツ等を騙し……納得させるのは中々難しいだろうからな。そちらをどうするか………。」
父様が再び眉間に皺を寄せて考え込む。と、マリアが静かに一歩前に出て頭を下げた。
「私の家系をお使い下さい。旦那様もご存知の通り、私の高祖母はエルフでしたので、きっとエリーヌのお役に立てることでしょう。」
「…………え?」
私がキョトンとしていると、マリアがニッコリと微笑み、もう一度衝撃の事実を口にする。
「私の高祖母……ひいひいお祖母さんはエルフでした。」
……うわぁお……。
こんな身近にエルフの血縁者がいたのね。
家族全員に広間に集まってもらい、私が告白をし終わると、難しい顔をして私の話を聞いていた父様が深く頷いた。
ウィル兄様が父様に続いて頷く。
「湖で溺れて前世を思い出したのなら、確かに今までの事も辻褄が合いますね。あの後からエリーヌはキックボードやべっこう飴を作ったり奇行……不思議な行動をしていたので。そのせいだったのかと思えば素直に納得出来ます。」
…………もうさぁ、途中まで言っちゃってるんだから言い直さないで最後までいいなよ。
父様もウィル兄様も、普段から私のこと残念な子だとか言ってるくせに、変なところで気を使われると逆に傷つくじゃん。
「そうだよな~。エリーヌは小さい頃から可笑しな奴だったもんな。湖で溺れたりキックボード乗り回したり、普通の令嬢が絶対しないようなことをいつも平気でするもんな。アハハッ!まさに奇行だ奇行!」
…………そしてラルフ兄様は遠慮がないんかい。父様とウィル兄様が気を遣って遠回しに言ったことを、ズバッと直球で言って台無しにしちゃったよ。
さすが脳筋!!
「貴方達……。そんな事を言う前に、まずエリーヌの心配をしたらどうなの?前世の記憶を思い出したのなら、死んでしまった時の事も思い出したという事でしょう?可哀想に……。」
母様は、涙をハラハラと落としながら私を抱き締めた。
「前世でも、エリーヌが優しい子で母様は嬉しいわ。今世では、前世の分まで沢山楽しいことをしましょうね。私達家族は、いつでもどんな時でもどんなことがあっても、エリーヌの味方よ。」
「母様……!」
私もギュッと母様にしがみ付く。
……はぁ。家族の中で、母様だけが私の心のオアシスだよ。
何はともあれ、みんなに私の全てを受け入れてもらえて良かった。
…………でも……
「国王様達には、何て言おう?正直に話す訳にもいかないし……。」
「そうねえ。別に放っておけば良いんじゃないかしら?」
「そうだな。まだまだ私の休みはあるし、アイツ等も下手には動かないだろうし、暫く放っておいても問題無いだろう。」
いやいや、問題アリアリだろ。
そもそも父様って宰相じゃなかった?
宰相がこんなに休んでいいんですかね?
かれこれ10日は休んじゃってますよ?
「問題無い訳ないでしょう。父上も母上も、怒り心頭なのは十分に分かりますが、エリーヌの将来の事ですよ?真剣に考えて下さい。」
アーク兄様が困ったように眉尻を下げて父様と母様に言った。
ウィル兄様が苦笑しながら、アーク兄様の肩をポンポンと叩いて宥める。
「そうは言ってもなぁ……。3種類の魔力がある人間なんて今まで聞いたことが無いからね。父上、過去にそういう者はいましたか?」
ウィル兄様の問いかけに、父様が眉間に皺を寄せた。
「私も休みの間に色々調べてはいるのだが、今のところいないな……。人間と魔族のハーフとか、精々2種類の魔力持ちがいるくらいだ。ハーフで生まれた者の子供達は、どちらか魔力の弱い種族の魔力しか持たずに生まれてくるらしいから、実質2種類の魔力持ちはハーフしかいない。……まあ、中には例外な者もいるが、3種類の魔力持ちはエリーヌが初だろう。」
母様に抱き締められている私の頭を、父様は眉間に皺を寄せたまま撫でる。
……そっかぁ、そうだよね。神様がうっかりしちゃったんだもん。私しかいないよね……。
これからどうなっちゃうのかなぁ。
私は不安になって母様を見上げると、母様は優しく微笑んで私の額にキスを落とした。
「心配しなくても大丈夫よ。何があっても、エリーヌは私達が絶対に守るから。」
「うん……。」
私を抱き締める力を強める母様に、私も必死にしがみ付く。
襟巻き化していたクロはタイミングを見計らっていたのか、ゆっくり顔を上げると私の頬に頭をスリスリと擦り寄せた。
「エリーヌの中にある魔族の魔力は、俺から吸収した事にすればいいさ。エリーヌは少し特殊な体質らしいからな。そういう事ができるていで国王に話せばいいだろ。」
クロが父様を横目で見ながら、名案だろうと言わんばかりにドヤ顔をしている。
……何その顔。可愛いんですけど。
父様は顎に手を当て、クロをジッと見つめ暫く考えていたが、クロの意見に同意する為首を縦に振った。
「確かにそれが一番説得力はありそうだ。だが、それだけでは魔族の魔力にしか効力は無いだろう。エルフの魔力ともなると、アイツ等を騙し……納得させるのは中々難しいだろうからな。そちらをどうするか………。」
父様が再び眉間に皺を寄せて考え込む。と、マリアが静かに一歩前に出て頭を下げた。
「私の家系をお使い下さい。旦那様もご存知の通り、私の高祖母はエルフでしたので、きっとエリーヌのお役に立てることでしょう。」
「…………え?」
私がキョトンとしていると、マリアがニッコリと微笑み、もう一度衝撃の事実を口にする。
「私の高祖母……ひいひいお祖母さんはエルフでした。」
……うわぁお……。
こんな身近にエルフの血縁者がいたのね。
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