50 / 227
第50話
しおりを挟む
段蔵はとんぼ返り、攻撃をかわしながら手裏剣を三方に放散し、九十度にそびえる岩肌を蹴って体を反転させ、膝のばねを収縮させた。
「標的確保」
段蔵はにやりと笑って、極限まで縮めたばねの箍を一気に解放した。
空気抵抗を避け、一の字に飛ぶ段蔵が矢の様に空を裂いた。
次の瞬間、標的にされた山伏の首が飛び、切り離された胴から血が噴出した。
虎千代が軽業師の様に空を舞う段蔵に見とれていると、山伏の一人が虎千代の襟首を掴んだ。
「何するんだ!放せよ。僕だってやる時はやるんだからな」
虎千代は山伏の腕をポカポカと殴ってやったがビクともしない。
山伏に持ち上げられ虎千代の足が浮いた。
「こら、放せって言ってるだろ!」
足をばたつかせて抵抗したが地面から体がみるみる離されていく。
「もう、こうなったら本気出すからね」
虎千代は山伏の腕を両手で掴み、引き離そうと顔を赤くして腕を伸ばす。
襟首を掴む山伏の力が急に抜け落ち、虎千代の尻が地面に激突した。
「痛って~。ほら見たか、僕の本気を」
嬉々として万歳する虎千代の手に、重みがかかる。
虎千代が突き上げた己が腕を見上げると、胴体から切り離された山伏の腕だけが虎千代の手にしかと握られていた。
「わ~!何だこれ、コラ離れろ、この、この」
虎千代は腕を大きく上下に振って山伏の腕を振り解こうとするが、虎千代の手からなかなか腕が離れない。
「もう、離れろって言ってるだろ!」
虎千代が山伏の腕と戯れていると段蔵が虎千代の腕を掴んで山伏の腕を引き離した。
「標的確保」
段蔵はにやりと笑って、極限まで縮めたばねの箍を一気に解放した。
空気抵抗を避け、一の字に飛ぶ段蔵が矢の様に空を裂いた。
次の瞬間、標的にされた山伏の首が飛び、切り離された胴から血が噴出した。
虎千代が軽業師の様に空を舞う段蔵に見とれていると、山伏の一人が虎千代の襟首を掴んだ。
「何するんだ!放せよ。僕だってやる時はやるんだからな」
虎千代は山伏の腕をポカポカと殴ってやったがビクともしない。
山伏に持ち上げられ虎千代の足が浮いた。
「こら、放せって言ってるだろ!」
足をばたつかせて抵抗したが地面から体がみるみる離されていく。
「もう、こうなったら本気出すからね」
虎千代は山伏の腕を両手で掴み、引き離そうと顔を赤くして腕を伸ばす。
襟首を掴む山伏の力が急に抜け落ち、虎千代の尻が地面に激突した。
「痛って~。ほら見たか、僕の本気を」
嬉々として万歳する虎千代の手に、重みがかかる。
虎千代が突き上げた己が腕を見上げると、胴体から切り離された山伏の腕だけが虎千代の手にしかと握られていた。
「わ~!何だこれ、コラ離れろ、この、この」
虎千代は腕を大きく上下に振って山伏の腕を振り解こうとするが、虎千代の手からなかなか腕が離れない。
「もう、離れろって言ってるだろ!」
虎千代が山伏の腕と戯れていると段蔵が虎千代の腕を掴んで山伏の腕を引き離した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる