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第68話
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「僕はあなたの操り人形にはならない!」
虎千代が顔を上げて鬼斬り丸に返すと
「ならば、貴様の闇と対峙してみるがいい!」
鬼斬り丸が叫声を上げた。
鬼斬り丸を包んでいる青い焔が大きく燃え盛り火柱が祠の天を衝いた。
「貴様が閉ざした闇の扉を解放してやる、心の深淵を彷徨うがいい。ひぁはははは」
鬼斬り丸の狂気じみた声が遠ざかっていくと同時に虎千代の意識が朦朧とし、途絶えた。
虎千代が目を開くと前に幼い頃の自分が立っていた。
幼い自分は面前に居並ぶ僧や老若男女の門徒達にゆっくりと歩み寄り、次々と殺戮し始めた。
赤子を抱き震える母親の首が飛び、赤子の脳漿が破裂した。
薄ら笑いを浮かべて人々を惨殺していく幼い自分を虎千代が止めようとしても体が言うことを聞かない。
「止めて、止めるの。止めて!!!」
虎千代が叫ぼうとしても声が出ない。
目を閉じようとしても目が閉じず、嬉々して人々に襲いかかる幼い自分を注視するほか手立てがなかった。
虎千代の目から止めどなく涙が流れ落ちた。
「止めてーーーーーーー!」
喉に鑢(やすり)を掛けるようにして声を押し出した瞬間、場面が急に変わり懐かしい春日山城内が現れた。
虎千代が顔を上げて鬼斬り丸に返すと
「ならば、貴様の闇と対峙してみるがいい!」
鬼斬り丸が叫声を上げた。
鬼斬り丸を包んでいる青い焔が大きく燃え盛り火柱が祠の天を衝いた。
「貴様が閉ざした闇の扉を解放してやる、心の深淵を彷徨うがいい。ひぁはははは」
鬼斬り丸の狂気じみた声が遠ざかっていくと同時に虎千代の意識が朦朧とし、途絶えた。
虎千代が目を開くと前に幼い頃の自分が立っていた。
幼い自分は面前に居並ぶ僧や老若男女の門徒達にゆっくりと歩み寄り、次々と殺戮し始めた。
赤子を抱き震える母親の首が飛び、赤子の脳漿が破裂した。
薄ら笑いを浮かべて人々を惨殺していく幼い自分を虎千代が止めようとしても体が言うことを聞かない。
「止めて、止めるの。止めて!!!」
虎千代が叫ぼうとしても声が出ない。
目を閉じようとしても目が閉じず、嬉々して人々に襲いかかる幼い自分を注視するほか手立てがなかった。
虎千代の目から止めどなく涙が流れ落ちた。
「止めてーーーーーーー!」
喉に鑢(やすり)を掛けるようにして声を押し出した瞬間、場面が急に変わり懐かしい春日山城内が現れた。
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