戦国姫 (せんごくき)

メマリー

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第127話

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牙が大犬を捕える瞬間、段蔵の炸裂弾が秀忠の耳元で爆発した。

大犬に気をとられていた秀忠は、炸裂弾を受けて、体を横に流された。

額からしたたる、己が血をペロリとなめて、秀忠は標的を段蔵に移した。

驚異的なスピードで段蔵に詰め寄る秀忠。段蔵もやすやすとは、間合いに秀忠を入れない。

縦横無尽に疾走し段蔵は、秀忠との距離を保つ。二つの黒い塊りが目にも止まらぬ速度で、景虎の前を駆け抜ける。

一撃で勝負が決まってしまうほどの強烈な攻撃を、秀忠は段蔵に繰り出している。

軒猿随一の俊足を誇る段蔵だが、攻撃をかわすので精一杯だ。

懐の炸裂弾はあと一発。

―こいつで決めなければ、こっちがやられる。

ちっと段蔵は舌打ちして、勝負に出た。がっ。大地を踏みしめて段蔵は天高く飛翔した。空中戦であれば足は止められる。

 案の定、秀忠も追随して飛んできた。

 「飛んで、俺様の動きを止めたつもりかもしれんが、条件は同じ。死ね!段蔵!!」

鋭い爪が、段蔵に振りおろされた。
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