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179話
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「親父殿がどう動くかが問題です」
「親父殿?」
「はい。初代風魔小太郎。またの名を風魔玄風齋。父は風魔を守る為ならば妻や我が子までも殺してしまわれるようなお方」
「小太郎はどこに?」
「分かりませぬ。風のように現れ、霧のように去ってしまう。神出鬼没。今ここに訊き耳を立てていても、おかしくないような人なのです」
家臣の一人がばたばたと慌てた様子で廊下を踏み鳴らす。
「何事だ!」
神五郎が襖の向こうにいるだろう家臣に叫んだ。
「武田晴信公より火急の用があると。使いのものが参りました」
「相分かった」
神五郎は謙信に視線を移す。謙信はうむと頷く。
「直ぐに通せ」
「武田晴信」
千代女は顔を曇らせ、嫌悪を露わにする。
「分かっておる。お登勢殿は兼続を連れて別の場所へ」
神五郎が襖を開け、供の者に言いつけ、お登勢を連れて行かせた。
「火急とは穏やかではないな。直ぐに使いの物を通せ」
しばらくすると、神五郎は勘助を客間に連れてきた。
「勘助殿ではないか」
謙信の言葉に勘助はひれ伏して、挨拶を返した。
「ご無沙汰しております」
「火急とな。どのような用件であるか」
「晴信公よりの書状がこれに」
勘助は懐より取り出した書状を謙信に手渡した。謙信は書状を神五郎に手渡し、読めという風に、顎をしゃくった。
「親父殿?」
「はい。初代風魔小太郎。またの名を風魔玄風齋。父は風魔を守る為ならば妻や我が子までも殺してしまわれるようなお方」
「小太郎はどこに?」
「分かりませぬ。風のように現れ、霧のように去ってしまう。神出鬼没。今ここに訊き耳を立てていても、おかしくないような人なのです」
家臣の一人がばたばたと慌てた様子で廊下を踏み鳴らす。
「何事だ!」
神五郎が襖の向こうにいるだろう家臣に叫んだ。
「武田晴信公より火急の用があると。使いのものが参りました」
「相分かった」
神五郎は謙信に視線を移す。謙信はうむと頷く。
「直ぐに通せ」
「武田晴信」
千代女は顔を曇らせ、嫌悪を露わにする。
「分かっておる。お登勢殿は兼続を連れて別の場所へ」
神五郎が襖を開け、供の者に言いつけ、お登勢を連れて行かせた。
「火急とは穏やかではないな。直ぐに使いの物を通せ」
しばらくすると、神五郎は勘助を客間に連れてきた。
「勘助殿ではないか」
謙信の言葉に勘助はひれ伏して、挨拶を返した。
「ご無沙汰しております」
「火急とな。どのような用件であるか」
「晴信公よりの書状がこれに」
勘助は懐より取り出した書状を謙信に手渡した。謙信は書状を神五郎に手渡し、読めという風に、顎をしゃくった。
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