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204話
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「よくも、よくも!」
穣姫は両眼から紫の涙を流して、謙信に飛びかかった。穣姫の鋭く尖った爪が謙信に振り降ろされる。
ガギ。間一髪、鬼斬り丸で穣姫の爪を受け止めたが、鬼斬り丸は先ほどまで放っていた光を無くし、錆ついた鈍ら刀となっていた。ぽろぽろと鬼斬り丸の刃が零れ落ち、柄のみとなる。
「どうなってんだ?」
謙信は舌を打って、柄を穣姫に投げつけた。
「自慢の刀もそれじゃ、どうしようもないね」
薄ら笑いを浮かべて、穣姫が爪を構える。謙信は脇差を抜いて、切っ先を穣姫に向けた。
「死ね!謙信!!!」
穣姫の爪が謙信の顔に赤線を描く。防御しながらも一手、二手、と謙信が刀を繰り出すも、穣姫はひらりひらりと交わして、刃先が空を切るばかり。
謙信のもろ出しになった白い肌を少しずつ、少しずつ切り裂いていく。爪先が謙信の眼球を抉ろうと目前まで迫る。
「うわああああ」
謙信が必死にはなった一閃で、爪先が黒目に少し触れたところで、ピタリと止まった。
ボタリ。突き上げた脇差が、穣姫の片腕を切り落とした。
ブーーン。穣姫は平然と、もう片方の爪で謙信を斬りつけた。謙信は即座に後退して爪をかわす。
穣姫は跳躍し、卵を産んでいた石台の前に降り立った。
「フン」
と穣姫が石台に手を翳すと、石台は独りでに立ち上がり始めた。
闇色の霧が石台の下から巻き上がり、石台を覆った。
「見るがいい、貴様が犯した罪だ」
石台が完全に立ち上がるとそこには、
「……段蔵さん?」
右半身を闇に呑まれた、段蔵の姿があった。
穣姫は両眼から紫の涙を流して、謙信に飛びかかった。穣姫の鋭く尖った爪が謙信に振り降ろされる。
ガギ。間一髪、鬼斬り丸で穣姫の爪を受け止めたが、鬼斬り丸は先ほどまで放っていた光を無くし、錆ついた鈍ら刀となっていた。ぽろぽろと鬼斬り丸の刃が零れ落ち、柄のみとなる。
「どうなってんだ?」
謙信は舌を打って、柄を穣姫に投げつけた。
「自慢の刀もそれじゃ、どうしようもないね」
薄ら笑いを浮かべて、穣姫が爪を構える。謙信は脇差を抜いて、切っ先を穣姫に向けた。
「死ね!謙信!!!」
穣姫の爪が謙信の顔に赤線を描く。防御しながらも一手、二手、と謙信が刀を繰り出すも、穣姫はひらりひらりと交わして、刃先が空を切るばかり。
謙信のもろ出しになった白い肌を少しずつ、少しずつ切り裂いていく。爪先が謙信の眼球を抉ろうと目前まで迫る。
「うわああああ」
謙信が必死にはなった一閃で、爪先が黒目に少し触れたところで、ピタリと止まった。
ボタリ。突き上げた脇差が、穣姫の片腕を切り落とした。
ブーーン。穣姫は平然と、もう片方の爪で謙信を斬りつけた。謙信は即座に後退して爪をかわす。
穣姫は跳躍し、卵を産んでいた石台の前に降り立った。
「フン」
と穣姫が石台に手を翳すと、石台は独りでに立ち上がり始めた。
闇色の霧が石台の下から巻き上がり、石台を覆った。
「見るがいい、貴様が犯した罪だ」
石台が完全に立ち上がるとそこには、
「……段蔵さん?」
右半身を闇に呑まれた、段蔵の姿があった。
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