猫耳少女と文学少年

谷先 霄

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猫耳少女と文学少年

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 一人の少年━久神 瘡冶くがみ そうや━が学校から帰宅し、自室に入った瞬間に一つの異様な存在が目に飛び込んできたからだ。その異様な存在とは、付け物とは思えないような質感の猫耳を頭から生やした、一人の女の子である。

「えっと・・・え・・・?」

 まさかの光景に瘡冶は驚きの声を漏らした。

「んぁ~・・・あぁ、瘡ちゃん。おかえりぃ~」

 猫耳少女が言葉を発したが、瘡冶は頭が追いつかず、5秒ほどその場で静止していた。

「・・・・・・あ、ただいま。え、てか、君は・・・誰?」

 瘡冶が問うと、少女が答える。

「私? 私ねぇ~・・・う~ん・・・そうだね、翠華すいか・・・かな?」

「翠華さんは、ナゼに僕の部屋で寝てたのか・・・」

「良いじゃない、少しぐらい~」

 そう言うと翠華の口角がクイっと上がる。その表情に瘡冶が嫌な気がし、話を遮ろうとしたが間に合わず、翠華が「それと・・・」と話を続ける。

「ありがとうね、ご主人さま」

 翠華の口から発せられた言葉に、思わず瘡冶は手に持っていたバッグを床に落としてしまう。

「え? 今何て?」

 瘡冶が問うが、翠華は笑ったまま何も言葉を発しない。すると、ペタペタと一定のリズムの足音が近づいてくる。

(まさか、翠華の事がバレて母さんが怒りに来たのか・・・!?)

 足音が近づいてくる度に瘡冶の顔が青ざめていく。部屋のドアがノックされ、ドア越しに声が掛けられる。

「ソーヤ。そろそろご飯できたから降りてきな~」

 その主は瘡冶の母であった。瘡冶が「わかった~。今行く~」と答えると、一定のリズムの足音が少しずつ遠ざかっていく。

「はぁ~・・・良かったぁ・・・」

 瘡冶は安心してその場に倒れ込む。その光景を見てか、翠華が近づいて来る。

「ご主人さま~、大丈夫~?」

 そう言うと翠華は瘡冶の頬を舐めだした。 一人の少年━久神 瘡冶くがみ そうや━が学校から帰宅し、自室に入った瞬間に一つの異様な存在が目に飛び込んできた。その異様な存在とは、付け物とは思えないような質感の猫耳を頭から生やした、一人の女の子である。

「えっと・・・え・・・?」

 まさかの光景に瘡冶は驚きの声を漏らした。

「んぁ~・・・あぁ、瘡そうちゃん。おかえりぃ~」

 猫耳少女が言葉を発したが、瘡冶は頭が追いつかず、5秒ほどその場で静止していた。

「・・・・・・あ、ただいま。え、てか、君は・・・誰?」

 瘡冶が問うと、少女が答える。

「私? 私ねぇ~・・・う~ん・・・そうだね、翠華すいか・・・かな?」

「翠華さんは、ナゼに僕の部屋で寝てたのか・・・」

「良いじゃない、少しぐらい~」

 そう言うと翠華の口角がクイっと上がる。その表情に瘡冶が嫌な気がし、話を遮ろうとしたが間に合わず、翠華が「それと・・・」と話を続ける。

「ありがとうね、ご主人」

 翠華の口から発せられた言葉に、思わず瘡冶は手に持っていたバッグを床に落としてしまう。

「え? 今何て?」

 瘡冶が問うが、翠華は笑ったまま何も言葉を発しない。すると、ペタペタと一定のリズムの足音が近づいてくる。

(まさか、翠華の事がバレて母さんが怒りに来たのか・・・!?)

 足音が近づいてくる度に瘡冶の顔が青ざめていく。部屋のドアがノックされ、ドア越しに声が掛けられる。

「ソーヤ。そろそろご飯できたから降りてきな~」

 その主は瘡冶の母であった。瘡冶が「わかった~。今行く~」と答えると、一定のリズムの足音が少しずつ遠ざかっていく。

「はぁ~・・・良かったぁ・・・」

 瘡冶は安心してその場に倒れ込む。その光景を見てか、翠華が近づいて来る。

「ご主人~、大丈夫~?」

 そう言うと翠華は瘡冶の頬を舐めだした。

「っ・・・!」

 急に頬を舐められた瘡冶は声が出ず、その場に凍りついてしまった。その反応を不思議に思って、翠華は瘡冶に問う。

「急に止まってどうしたの~? ご主人~?」

 その声色は全く理解できていないようだった。

「ソーヤ~、早く降りてきなさ~い!!」

 瘡冶が答えようと口を開いたが、一回の方から母の声が聞こえてきたので翠華に「そこで動かず待っててね」とだけ言い、自室を出ていった。



 家族で机を囲み食事を始めようとしていると、二階へと上がる階段の方からトンットンッと、跳ねながら階段を降りるような足音がリビングに鳴り響く。

(まさか、翠華のヤツ降りてきやがったのか?!)と考えを巡らせたが、結果が出る前に真実が降りてきた。

 足音の主が目に入るや否や瘡冶は顔をそらした。

 瘡冶の耳に入ってきた声は、悲鳴や疑いを含んだ声ではなく、ペットに対する“愛おしい”という感情の含まれた優しい声だった。

「あら、スーちゃん。何処どこ行ってたのかと思ったら2階に居たのね~」

(・・・え?)

 聞こえてきた声に驚き、ゆっくりと、しかし確実に目を開いていく。その目に写ったのは、久神家で飼っている猫のスーちゃんであった。その光景に瘡冶は胸を撫で下ろす。

「なんだ~・・・スーちゃんだったか~・・・」

 瘡冶の声に母が反応して声をかける。

「どしたの? ソーヤ」

「いや、なんでも無い。ただの独り言」と、瘡冶は答え、「それより、」と言葉を繋げる。

「早く食べよ。ご飯が冷める前にさ」

「そうね」そう言うと、久神家の全員が手を合わせ同時に、「いただきま~す」と言った。



 *~*



 「ごちそうさまでした~」とリビングに瘡冶達、久神家全員の声が谺する。

 それから数秒経ってから、母が立ち上がりながら瘡冶に話しかける。

「ソーヤ。あなた先に風呂はいっちゃいなさいな」

 「わかった」と返事をしようとすると、「あ、あと・・・」と母が話しを続ける。

「スーちゃんもついでに洗っといてくれる?」

「ん、わかった」

 そう答えると、瘡冶は風呂場に向かう。(それにしても、風呂が好きな猫って珍しいよなぁ・・・)等と考えながら。

 ご飯中にいつの間にか居なくなっていたスーは、既に風呂場に居たようだ。

 瘡冶が服を脱ぎ浴室に入ると、それについてくるようにスーも入ろうとしたが、頭と体を洗い終わるまでは、脱衣所で待ってもらう。

 瘡冶が体の各部位を洗い終わり、スーを浴室内に入れると、浴室のドアを締めると同時に、スーの体から眩い光と純白の煙が出る。

 発光が終わり目を開けられるようになったのは、約10秒後だった。

「なに・・・今の・・・」

 瘡冶が目を開けると、浴室内に煙が充満しておりスーの姿は見えなかった。だが、スーではない人の影が見えた。

 煙が晴れて、その影の正体がはっきりと認識できるように鳴るのと同時に、瘡冶は驚きと恐怖の入り混じっ知った、声にも鳴らない悲鳴を上げた。

 その影の正体が、まさかの翠華だったからだ。

「な、なんで君が此処に居るんだ~!?」

 その瘡冶の問いかけに対して、翠華はとても疑問そうに答えた。

「なんでって・・・ご主人が私を入れたからじゃん。も~、おっちょこちょいなんだから~」

「入れたって、君を此処に入れた記憶は僕には無いんだけど・・・」

「え~? でもさっき、何分か私をそこの脱衣所で待たせてから入れてくれたじゃん」

「え・・・・あぁ!」

 瘡冶は何かに気付いたのか、指をパチンと鳴らし「まさか、」と続ける。

「君は・・・ペットのスーなのか?」

 その言葉を聞いて、翠華はとても嬉しそうな顔をして「そうだよ~」と答え、「てか、」と続ける。

「今まで気付いてなかったの~?」

「いや、でも、滅茶苦茶人の姿してるし。それに、自分のこと『スー』じゃなくて『翠華』って名乗ってたし・・・」

 瘡冶に対して反論するように翠華が答える。

「人の見た目なのは私でもわからないや。それに、私を拾ってくれた時他の皆は『猫ちゃん』としか私のこと呼ばなかったど、ご主人だけ私のことを『翠華』って呼んでくれたじゃん。それが嬉しくて今でも覚えてるの。それで名乗るときに翠華って言ったの」

「そうだったのか・・・何か今まで気づかなくてゴメンね。それでも、なんで人の見た目になったんだろうね」

 瘡冶のその疑問を聞いて翠華は俯いて、小さな声で答える。「多分・・・ご主人と一緒が良いって私が願ったからだと思います」と。

 だが、その返答は瘡冶の耳には届かなかった。

 翠華は気を取り直して「そんなことより」と瘡冶に対して話し出す。

「私の体洗ってよ~。やり方解んないから」

「え、いや・・・でも・・・」

 瘡冶が急にモジモジしだす。

「? なにか問題でもあるんですか?」

「いや・・・ むしろ問題しか無いというか・・・」

「そっか~。ならこっちなら良い?」

 そう言うと、翠華は体から白い煙を出しながら人の姿から猫の姿へと体を変えへゆく。

「まぁ、その姿かな良い・・・かな?」

 その後は、瘡冶がスーを洗い、洗われたスーは翠華の姿に戻り、瘡冶との短い入浴の時間を楽しんだ。



 *~*



 瘡冶の部屋で、翠華と瘡冶で今後スーが翠華になれることをどうするかについて話し合っていた。

翠華が瘡冶に問う。

「それで結局、私はママ様達には人になれることは話したら駄目なの?」

「まぁ、説明とか面倒くさいし、できれば言わないほうが良いかな」

と、瘡冶が答えると翠華が目を輝かせて言う。

「じゃぁ、このことは私達だけの秘密ってことだね!」

 瘡冶は静かにうなずく。

 あぁ、そうだ。これは、この事はスーと・・・いや、翠華と僕だけの誰にも知られてはいけない、たった二人だけの間の秘密なんだ。
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