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Period 1 ならまちを知りましょう。
第11話 特産品よくばり弁当 喜悦編
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早く時間が過ぎればいいと思う時ほど無常にも時の流れはゆったりと進む。しかも四時間目は古典で、さらに時間を長く感じさせる魔術師(担当のおじいちゃん先生)のせいで途方もなく感じられた。チャイムが鳴ると同時に私は教室を飛び出して一組のドアの前で通せんぼをした。
「何してるの」
初めて見る生徒に訝しげな目を向けられてしまった。ごめんなさい申し訳ない本当に。
「紗穂、いる?」
「秋月さんのこと? そこに」
指差された方向に紗穂ちゃんがいた。鞄から何やらカップ麺らしきものを取り出すのを見て、私は教室に入ってそれを止めた。
「はいはいはいはいストーップ!!」
「は?」
面食らったように紗穂ちゃんは目を見開いた。
「今日は私がお弁当作ってきたので、カップ麺は仕舞うがいい!」
「えっ? 作ってきてくれたの?」
「そうだよ。それでさ、みんなで一緒に食べない?」
紗穂ちゃんは少し迷った素振りをみせて、ややあってから猫みたいに目を細めて優しく口を開けた。
「それはいいや」
「なんでー! じゃあせめて私とはいいでしょ? 感想も聞きたいし」
「……まあ、それは分かった。中庭でいい?」
私は頷き、紗穂ちゃんの後ろに着いていった。教室を出る時に叶恋が羨ましそうな顔で見つめてくることは申し訳なく思ったが、「また今度、紗穂ちゃんの気が変わったらね」と言っておくと静かに頷いてくれた。
中庭には二羽、鶏がいるはずはなく、美しく整備された花壇に色鮮やかなパンジーやその他見ているだけで心が落ち着く。背もたれのあるクリーム色の木のベンチに腰掛け、お弁当箱を開ける。
「凄い……これ、ホントに食べていいの?」
「もっちろん。紗穂のために作ってきたんだからさ」
「ありがとう……嬉しいよ」
紗穂ちゃんはふっと柔くはにかんでぺこりと頭を下げた。もうそれはそれは天使の微笑みよりも殺傷力が高くて、天使も鼻血を出してもう一度天に召されることだろう。その笑顔に私も思わずにっこり。口角が上がって上がってしゃあないですわ。
紗穂ちゃんは綺麗な箸使いで鯛めしをすくう。私は謎のドキドキ感に苛まれ、紗穂ちゃんのことをじっと見ていた。
「あの……。じっと見られるとこっちも緊張するんだけど」
「あ、ごめん」
二人の間に妙な空気が流れる。
「じゃあ、いただきます」
一旦お箸を置いて、両手を合わせた。育ちがいいんだろうなぁと思う。
鯛めしを口に運び、もにゃもにゃと口を動かす。口の小ささの割に一口が大きいなぁと思う。案の定リスみたいに頬を膨らせている。可愛い。
「どう?」
謎に心臓が跳ねてくる。この高校の合格発表の時よりも緊張する。果たして私の鯛めし(炊飯器くん特製)は紗穂ちゃんのお口に合うのだろうか。もし合わなかったらどうしよう、なんて考えていると紗穂ちゃんがお箸を置いた。そして姿勢を正して私の方を向いてしっかりと瞳を見つめて、
「とっても美味しい。心からの感謝を申し上げます」
そう言った。
「なな、何それ。急に敬語だと逆に心配になる」
「そう? ホントに美味しかったから、つい。でもこれって鯛でしょ? しかも定食屋の娘なんだったらちゃんとしたやつなんじゃないの?」
「一応ちゃんとしたやつだけど……いいよ。ほら、二段目も食べてみて」
今度は私がちゃんと手を加えたものだ。大和地鶏のチキン南蛮は私も初めて作ったし、自分でも味は分からない。なんせ私は普段から味見とかしないから、今日も普段のくせで味見せずに作ってしまった。私も弁当箱を開けて食べ始める。遂に空腹に耐えられなくなってしまった。
「全部美味しいよ。凄いね、春夏は」
「えぇ? そんなことは、まぁありますけどぉー?」
よし、言えた。紗穂ちゃんの言葉は想定外だったが、私が気持ちよく言えたので良し。しっかし自画自賛になってしまうけれど、とても美味しい。食材が良いのはもちろんのことだが、その食材の良さを生かせていると思う。柔らかくてジューシーな肉が、特製のタルタルソースでまろやかになる。玉ねぎを入れたのは食感を出すため。それが良いアクセントになっている。
「そうそう。このタルタルソースには隠し味を入れてるんだ。なんだと思う?」
「え、なんだろ。……毒?」
「食べてから言えっ。ていうか真っ先にそれが浮かぶってどういうこと!」
紗穂ちゃんってこんな突拍子もないことも言えるんだ。一つまた勉強になった。
「えぇ……。あっ、分かった。からしだ」
「せいかーい」
そう、タルタルソースに入っていたのはからしだ。たまたま冷蔵庫で目に入ったのがからしのチューブだった。割とごっつい系のメニューなので辛くても別に大丈夫かなと思って実験的にやってみた。
「このたまご焼きも甘くて美味しい。うちのお母さんのたまご焼きは結構塩っ気が強くてそっちで慣れてたんだけど、こういう甘いのもいいね。どうやって作るの?」
そうだった、すっかりお弁当を作ることに夢中になってしまい、紗穂ちゃんがお弁当を作れるようにならなければならないことを忘れてしまっていた。私も紗穂ちゃんのお手伝いができればいいんだけど……。
「甘くするには白だしかな」
「へぇ! 砂糖でやるのかと思ってた」
「砂糖入れる人もいるけど、なんとなく古の感じがするね」
「そっかぁ……。時雨先生は砂糖派だったよ」
私たちの担任、伊納時雨先生。たまご焼きは甘い派なんだ。見た目のクールさに反して可愛いな。
「美味しいね。ご飯が進むよ」
紗穂ちゃんがまたふっと微笑んだ。昔お母さんに言われたことを思い出した。
「ご飯を食べて自然と笑顔になっちゃうって、とても素敵なことなのよ」
思わず私も口角が上がる。今、私は紗穂ちゃんのことを想って作ったお弁当で紗穂ちゃんのことを笑顔に出来ているのだ。そう思うと口角が上がりながら涙が出てきそうだ。ご飯ってこんなに尊いものなのか。幸せが生まれる瞬間って、こんなに素晴らしいのか。
「ごちそうさまでした。本当にありがとう、春夏。とっても美味しかった」
「いいえ。その言葉が一番嬉しいよ」
なんと紗穂ちゃんはその後もの凄い集中力と食べるスピードで、ものの数分で二段分をたいらげてしまった。その食べっぷり、それから最後の言葉で私は救われた気がした。そもそも紗穂ちゃんのことを想いながら作っていたから全く苦ではなかったが、朝のことは無駄じゃなかったと思わせてくれた。お母さんもお父さんも、きっとこんな気分なんだろうな。お客さんが自分の作ったご飯で笑顔になってくれる。お金なんかよりももっと大事なものに、二人は早くに気付いていたのだろう。
「春夏はさ、弓道部に入ったんだっけ」
「うん」
「あの、さ。相談なんだけど、料理部と兼部しない? ほら、金幹って兼部オッケーだし」
紗穂ちゃんは私の方を見ずに早口でまくしたてた。恐らく紗穂ちゃんからすれば相当勇気のいった台詞だったのだろう。しかし……。
「ごめん、弓道頑張ろうと思ってるんだ。お誘いには乗れない。でも急になんで?」
「その……春夏なら教えてくれそうだなって……。ご、ごめん忙しいのに」
「そんなことか。じゃあ暇な時にお家行っていい?」
「ホント? じゃあ実家の方に……って、お母さんに勝手に男を家に上げるなって言われてるんだった。恐るべき話術テクニック……」
「いや女だわ」
「あ、そっか。あまりにイケメンすぎて錯覚してた。じゃあお母さんに言っておくね」
別に私は意識しているわけではないのに、ついつい気障な台詞が出てしまう。十分にクールな紗穂ちゃんを女の顔にしてしまった。別にエロい意味ではない。エロい意味では、ない。
「そろそろ戻ろっか。今日のお弁当のレシピまたあげるよ」
「ありがと。でもいきなりこんなレベル高いのはキツイかも」
「分かってるよ。徐々にできるようになっていこう」
「了解です、師匠!」
あれ、紗穂ちゃんのイメージがどんどん崩れていく……? いや、元は紗穂ちゃんはこういう可愛い子だったのかもしれない。なんだか恵まれた環境にいるなぁとつくづく思う。
「何してるの」
初めて見る生徒に訝しげな目を向けられてしまった。ごめんなさい申し訳ない本当に。
「紗穂、いる?」
「秋月さんのこと? そこに」
指差された方向に紗穂ちゃんがいた。鞄から何やらカップ麺らしきものを取り出すのを見て、私は教室に入ってそれを止めた。
「はいはいはいはいストーップ!!」
「は?」
面食らったように紗穂ちゃんは目を見開いた。
「今日は私がお弁当作ってきたので、カップ麺は仕舞うがいい!」
「えっ? 作ってきてくれたの?」
「そうだよ。それでさ、みんなで一緒に食べない?」
紗穂ちゃんは少し迷った素振りをみせて、ややあってから猫みたいに目を細めて優しく口を開けた。
「それはいいや」
「なんでー! じゃあせめて私とはいいでしょ? 感想も聞きたいし」
「……まあ、それは分かった。中庭でいい?」
私は頷き、紗穂ちゃんの後ろに着いていった。教室を出る時に叶恋が羨ましそうな顔で見つめてくることは申し訳なく思ったが、「また今度、紗穂ちゃんの気が変わったらね」と言っておくと静かに頷いてくれた。
中庭には二羽、鶏がいるはずはなく、美しく整備された花壇に色鮮やかなパンジーやその他見ているだけで心が落ち着く。背もたれのあるクリーム色の木のベンチに腰掛け、お弁当箱を開ける。
「凄い……これ、ホントに食べていいの?」
「もっちろん。紗穂のために作ってきたんだからさ」
「ありがとう……嬉しいよ」
紗穂ちゃんはふっと柔くはにかんでぺこりと頭を下げた。もうそれはそれは天使の微笑みよりも殺傷力が高くて、天使も鼻血を出してもう一度天に召されることだろう。その笑顔に私も思わずにっこり。口角が上がって上がってしゃあないですわ。
紗穂ちゃんは綺麗な箸使いで鯛めしをすくう。私は謎のドキドキ感に苛まれ、紗穂ちゃんのことをじっと見ていた。
「あの……。じっと見られるとこっちも緊張するんだけど」
「あ、ごめん」
二人の間に妙な空気が流れる。
「じゃあ、いただきます」
一旦お箸を置いて、両手を合わせた。育ちがいいんだろうなぁと思う。
鯛めしを口に運び、もにゃもにゃと口を動かす。口の小ささの割に一口が大きいなぁと思う。案の定リスみたいに頬を膨らせている。可愛い。
「どう?」
謎に心臓が跳ねてくる。この高校の合格発表の時よりも緊張する。果たして私の鯛めし(炊飯器くん特製)は紗穂ちゃんのお口に合うのだろうか。もし合わなかったらどうしよう、なんて考えていると紗穂ちゃんがお箸を置いた。そして姿勢を正して私の方を向いてしっかりと瞳を見つめて、
「とっても美味しい。心からの感謝を申し上げます」
そう言った。
「なな、何それ。急に敬語だと逆に心配になる」
「そう? ホントに美味しかったから、つい。でもこれって鯛でしょ? しかも定食屋の娘なんだったらちゃんとしたやつなんじゃないの?」
「一応ちゃんとしたやつだけど……いいよ。ほら、二段目も食べてみて」
今度は私がちゃんと手を加えたものだ。大和地鶏のチキン南蛮は私も初めて作ったし、自分でも味は分からない。なんせ私は普段から味見とかしないから、今日も普段のくせで味見せずに作ってしまった。私も弁当箱を開けて食べ始める。遂に空腹に耐えられなくなってしまった。
「全部美味しいよ。凄いね、春夏は」
「えぇ? そんなことは、まぁありますけどぉー?」
よし、言えた。紗穂ちゃんの言葉は想定外だったが、私が気持ちよく言えたので良し。しっかし自画自賛になってしまうけれど、とても美味しい。食材が良いのはもちろんのことだが、その食材の良さを生かせていると思う。柔らかくてジューシーな肉が、特製のタルタルソースでまろやかになる。玉ねぎを入れたのは食感を出すため。それが良いアクセントになっている。
「そうそう。このタルタルソースには隠し味を入れてるんだ。なんだと思う?」
「え、なんだろ。……毒?」
「食べてから言えっ。ていうか真っ先にそれが浮かぶってどういうこと!」
紗穂ちゃんってこんな突拍子もないことも言えるんだ。一つまた勉強になった。
「えぇ……。あっ、分かった。からしだ」
「せいかーい」
そう、タルタルソースに入っていたのはからしだ。たまたま冷蔵庫で目に入ったのがからしのチューブだった。割とごっつい系のメニューなので辛くても別に大丈夫かなと思って実験的にやってみた。
「このたまご焼きも甘くて美味しい。うちのお母さんのたまご焼きは結構塩っ気が強くてそっちで慣れてたんだけど、こういう甘いのもいいね。どうやって作るの?」
そうだった、すっかりお弁当を作ることに夢中になってしまい、紗穂ちゃんがお弁当を作れるようにならなければならないことを忘れてしまっていた。私も紗穂ちゃんのお手伝いができればいいんだけど……。
「甘くするには白だしかな」
「へぇ! 砂糖でやるのかと思ってた」
「砂糖入れる人もいるけど、なんとなく古の感じがするね」
「そっかぁ……。時雨先生は砂糖派だったよ」
私たちの担任、伊納時雨先生。たまご焼きは甘い派なんだ。見た目のクールさに反して可愛いな。
「美味しいね。ご飯が進むよ」
紗穂ちゃんがまたふっと微笑んだ。昔お母さんに言われたことを思い出した。
「ご飯を食べて自然と笑顔になっちゃうって、とても素敵なことなのよ」
思わず私も口角が上がる。今、私は紗穂ちゃんのことを想って作ったお弁当で紗穂ちゃんのことを笑顔に出来ているのだ。そう思うと口角が上がりながら涙が出てきそうだ。ご飯ってこんなに尊いものなのか。幸せが生まれる瞬間って、こんなに素晴らしいのか。
「ごちそうさまでした。本当にありがとう、春夏。とっても美味しかった」
「いいえ。その言葉が一番嬉しいよ」
なんと紗穂ちゃんはその後もの凄い集中力と食べるスピードで、ものの数分で二段分をたいらげてしまった。その食べっぷり、それから最後の言葉で私は救われた気がした。そもそも紗穂ちゃんのことを想いながら作っていたから全く苦ではなかったが、朝のことは無駄じゃなかったと思わせてくれた。お母さんもお父さんも、きっとこんな気分なんだろうな。お客さんが自分の作ったご飯で笑顔になってくれる。お金なんかよりももっと大事なものに、二人は早くに気付いていたのだろう。
「春夏はさ、弓道部に入ったんだっけ」
「うん」
「あの、さ。相談なんだけど、料理部と兼部しない? ほら、金幹って兼部オッケーだし」
紗穂ちゃんは私の方を見ずに早口でまくしたてた。恐らく紗穂ちゃんからすれば相当勇気のいった台詞だったのだろう。しかし……。
「ごめん、弓道頑張ろうと思ってるんだ。お誘いには乗れない。でも急になんで?」
「その……春夏なら教えてくれそうだなって……。ご、ごめん忙しいのに」
「そんなことか。じゃあ暇な時にお家行っていい?」
「ホント? じゃあ実家の方に……って、お母さんに勝手に男を家に上げるなって言われてるんだった。恐るべき話術テクニック……」
「いや女だわ」
「あ、そっか。あまりにイケメンすぎて錯覚してた。じゃあお母さんに言っておくね」
別に私は意識しているわけではないのに、ついつい気障な台詞が出てしまう。十分にクールな紗穂ちゃんを女の顔にしてしまった。別にエロい意味ではない。エロい意味では、ない。
「そろそろ戻ろっか。今日のお弁当のレシピまたあげるよ」
「ありがと。でもいきなりこんなレベル高いのはキツイかも」
「分かってるよ。徐々にできるようになっていこう」
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