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Period 1 ならまちを知りましょう。
第23話 岡西のコロッケ 前編
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ちゃんと聞く、とは言ったもののやっぱりどうやって聞き出そうか迷っていた。なんせ、希咲と二人きりになったことがないから。向こうに第一印象に最悪な印象を植え付けてしまったから、二人きりになるのが怖い。それに、ずっと仲がいい春夏でさえ他の人に頼るぐらいの大きなことだ。私なんかが引き受けてよかったのだろうか。
一応希咲にラインはしてみたが、本当に来てくれるのか分からない。不安だ。紗穂には春夏が言って一緒に帰ってくれることになった。周りがどんどん私が希咲と二人で帰らないといけない状況を作っていく。小さく息を吐く。もう仕方ない。
「来たけど、話って何?」
正門で待っていると、希咲の声がした。振り向くと、そこには不満げな表情を浮かべた希咲がいた。
「ホント、私のことが嫌いだよな」
「なんでそう思うわけ?」
「春夏とか紗穂の時と明らかに態度が違うじゃんか」
「そう」
だぁーーー!! なんで喧嘩腰で言っちゃうんだ! そしたら希咲もそういう気分になることぐら分かるだろー! 本当に人付き合いを分かってない、私は。ここからどう体勢を立て直すか。
「それで、今日一緒に帰ろう」
「いや、叶恋しかいないじゃん。春夏ちゃんも紗穂ちゃんも帰ったんだし」
「それもそうだな」
何を言ってるんだ私ー! あぁ、もう。この際、単刀直入に聞いてみるか?
「あのさ、希咲」
「何?」
「何か隠してることない?」
「ない」
ある時の態度だ……。知的なイメージと反して態度にはめちゃくちゃ出るのな。
「あのな、春夏が言ってるんだよ。春夏が言うんだ、何かあるんだろ? 私で良ければ相談に乗るからさ」
「何もないって言ってるでしょ。叶恋、しつこい」
「あ……ご、ごめん」
「別にいいよ。それにしても、叶恋が一緒に帰ろうって言うから何かあるんだろうなって思ってたけど、まあそういうことだよね。話はそれだけ? ならもう一人で帰るけど」
「ちょっと待って! ……その、それだけじゃないんだ。あの、いや普通に二人でどっか行きたいなって思ってるんだ」
気持ちは全然跳ねていない。希咲の方はきっと私なんかとは一緒に帰りたくないだろう。だけど、私は帰りたい。二人だけで寄り道もして、美味しいものを食べたい。希咲のこと、怖いと思いたくなんかない。春夏や紗穂と同じように、希咲のことも好きになりたい。
「ん」
希咲は私の言葉に対してその一文字だけで済ませて、自転車を漕ぎだした。素直じゃないなぁと思いながら、私も二ヤケ顔を押さえながら自転車を漕ぎだした。
一応希咲にラインはしてみたが、本当に来てくれるのか分からない。不安だ。紗穂には春夏が言って一緒に帰ってくれることになった。周りがどんどん私が希咲と二人で帰らないといけない状況を作っていく。小さく息を吐く。もう仕方ない。
「来たけど、話って何?」
正門で待っていると、希咲の声がした。振り向くと、そこには不満げな表情を浮かべた希咲がいた。
「ホント、私のことが嫌いだよな」
「なんでそう思うわけ?」
「春夏とか紗穂の時と明らかに態度が違うじゃんか」
「そう」
だぁーーー!! なんで喧嘩腰で言っちゃうんだ! そしたら希咲もそういう気分になることぐら分かるだろー! 本当に人付き合いを分かってない、私は。ここからどう体勢を立て直すか。
「それで、今日一緒に帰ろう」
「いや、叶恋しかいないじゃん。春夏ちゃんも紗穂ちゃんも帰ったんだし」
「それもそうだな」
何を言ってるんだ私ー! あぁ、もう。この際、単刀直入に聞いてみるか?
「あのさ、希咲」
「何?」
「何か隠してることない?」
「ない」
ある時の態度だ……。知的なイメージと反して態度にはめちゃくちゃ出るのな。
「あのな、春夏が言ってるんだよ。春夏が言うんだ、何かあるんだろ? 私で良ければ相談に乗るからさ」
「何もないって言ってるでしょ。叶恋、しつこい」
「あ……ご、ごめん」
「別にいいよ。それにしても、叶恋が一緒に帰ろうって言うから何かあるんだろうなって思ってたけど、まあそういうことだよね。話はそれだけ? ならもう一人で帰るけど」
「ちょっと待って! ……その、それだけじゃないんだ。あの、いや普通に二人でどっか行きたいなって思ってるんだ」
気持ちは全然跳ねていない。希咲の方はきっと私なんかとは一緒に帰りたくないだろう。だけど、私は帰りたい。二人だけで寄り道もして、美味しいものを食べたい。希咲のこと、怖いと思いたくなんかない。春夏や紗穂と同じように、希咲のことも好きになりたい。
「ん」
希咲は私の言葉に対してその一文字だけで済ませて、自転車を漕ぎだした。素直じゃないなぁと思いながら、私も二ヤケ顔を押さえながら自転車を漕ぎだした。
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