転生悪役令嬢の前途多難な没落計画

一花八華

文字の大きさ
8 / 113
第1章

犬も走れば、フラグにぶち当たりましてよ!

しおりを挟む
ーコツコツコツコツ。

 私は今、無言で大理石の廊下を歩いていますの。少しでも急いで、教室に戻らなくてはいけませんわ!

 困りましたわ・・・・余計な事ばかり起こるので、HRに遅刻してしまっていますわ。
入学早々、遅刻、さぼりだなんて高潔淑女なヴィクトリア・アクヤックには、あり得ません事よ!?
私、品性方向な悪役令嬢でしてよ?

ほんと、嫌な攻略対象イケメンに絡まれるは、ハンスはヒロインとフラグを立てるは・・・・散々でしてよ!?

こうも、次々余計な事が起こるだなんて・・・・私、呪われているのかしら? 誰に? 運営に?

 私が、運営に何をしたっていうのかしら!? ハンス攻略に勤しんでるだけじゃない!
攻略対象イケメンとの絡みはいらないから、もっとハンスソコメンとのラブロマンスを寄越しなさい!

ああ・・・・本当に腹立たしいですわ!




「お嬢様、何をそんなに怒っていらっしゃるのですか?」

「煩くってよ。ハンス。黙って足を動かしなさい」

ハンスが、おろおろとしながら私に話かけてきますわ。

何を怒っているかですって?  
決まってるでしょう?


先程起こった、貴方のイベントに関してでしてよ!
貴方が、うっかり・・・・ヒロインとフラグなんて立てるからですわ!私とのフラグはないのに!!

だから、私憤慨してますのよ!?
それもわからないなんて!本当にハンスは、鈍感な分からず屋ですわね!!




ーええ、私の勝手な嫉妬ですわよ。


まったく私に靡かない貴方が、人たらしなヒロインと接触してるだなんて・・・・気が気でなくってよ!

貴方・・・・私には、鉄壁ディフェンスを誇る癖に、よもやヒロインに絆されてなどいないでしょうね!?

ちょっと介抱されたから落ちるなんて……チョロンスすぎますわよ!相手によって攻略難易度が違うなんて…私納得いかなくってよ!!

しかも「可愛らしいご令嬢」ですって?
貴方……私の事、一度でも褒め讃えた事がありまして?

褒め讃えるどころか、残念と慈愛が満ちた瞳で私を見つめますわよね!?

この、美しく気高き高嶺な花なヴィクトリア・アクヤックワタクシを、そのような目で見るなんて、ハンス……貴方の目は節穴ですわ!!

そうね、その節穴……拡張すれば、私の事も良く見えまして?
ふふふ。この形状記憶型高性能ドリルで、拡張して差し上げても良くってよ!ハンス!!

「お嬢様」
「煩いわ。おだまり。チョロンス。ドリルるわよ!」
「チョロンス!? ドリルる!?」

ハンスが、びくつきましたわ。
ふん。私を不快にさせるのが悪いのですわ。
もっと私の事で、困ればいいのですわ。

……でも、あまり困らせるのもいけませんわよね。
完全な私の八つ当たりですもの。
何より、私がハンスよりお兄様を優先したのがいけなかったのですわ。
ハンスが、「私は大丈夫ですので、ブルーテス様の元に……」っと微笑んだのを鵜呑みにして。

ハンスの痩せ我慢に、気付けなかった私が一番悪い。

ちゃんと謝るべきだわ。

「ハンス、ごめんなさい。私の八つ当たりでしたわ……」
「……お嬢様」

立ち止まり、ハンスと向き合う。頭を下げますわ。悪い事をしたら、ちゃんとごめんなさい。精神誠意を持って謝らなくてはいけませんわ。

「わかってますよ。お嬢様」

ハンスの優しい声がしますわ。
私、やっぱり……この声が好きですわ。

くしゃりと、ハンスの大きな手が私の頭に触れるのを感じましたの。

「俺……私は、大人ですから。わかってますよ」
「…………なによそれ」

それって私が、こどもだって事ですわよね?
せっかく謝ったというのに……どうしてかしら。
またムカムカと腹立たしく感じてきましてよ……

「ハンス、貴方……私をこども扱いしてらして? 」
「え? あっ、いや……そういうわけじゃ……わけではないでますです」
「しどろもどろになってるじゃないですの! 目も盛大に泳いでいましてよ! 」

なんですの! 少しいい雰囲気になったかしら?っと思えばこれですわ! いつもいつもいつもいつも……いつになれば、ハンスは私をちゃんと見てくれるのかしら!?

頭にきましたわ! もう、ハンスなんてほっといてさっさと教室に戻りますわ!

早足で廊下を歩きますのよ!
ハンスなんて、この学園迷宮で迷子になってしまえばいいのですわ!

急ぐ私に向かって…………ドドドドと何かが近づいてくる音がしましたの……




 
「危ない! お嬢様!! 」
「え? 」

ードゴッ!!

「きゃあ!? 」
「んぎゃ!! 」

曲がり角で、オレンジ色の何かが飛び出してきましたわ!
ハンスが私を抱き寄せてくれたので、間一髪ぶつからずにすんだけれど、危なかった!! 怖いですわ! えぇっ!?

何かしら!?
犬!?いのしし!?

突風のようにいきなりでしてよ!?

「ー良かった……お嬢様が無事で。ちゃんと周りを見て下さい。……俺が側にいたから良かったものの……」
「……ごめんなさい」

ドキドキと胸が音を立てていますわ。
あら? これってもしかして、ハンスとのフラグ? ラブロマ?

やっと私の願いが、運営様に届いたのね!! 感謝感激ですわ!!

「そこの君も大丈夫かい? 」

ソコのキミ?
あら、あのオレンジの塊は人でしたのね?
てっきり獣か何かかと思いましてよ?

「ーっつう!………ってて! 」

パラパラと頭についた壁の粉を振り落とし、ソレがこちらに向き直りましたわ。

衝突した壁に、ヒビが入っていますわ。
恐ろしいですわ……ぶつかられたのが、もし私だったら……。
嫌ですわ! 私、断罪イベ前にご臨終だなんて笑えなくってよ!  

「……大丈夫かしら」  
「あー。大丈夫。俺、石頭だし。心配してくれてありがとな!ってむっちゃ美人!」

いえ、私が心配したのは壁の方なのですけど。

「無事そうで、何よりだ。廊下は走る場所ではないぞ? 気を付けろよ」 
「あーわりぃ。つい、焦って魔力がぼーそーしちまって」

はははと無邪気に笑うオレンジ頭………。何故かしら、妙に嫌な予感が胸の辺りでいたしますわ。

「俺、方向音痴でさ。式終わったあと、便所して戻ったら…教室の場所わかんなくなっちまって」

「探しまわってたら、焦ってつい魔力が暴走しちまったみたいだ」

「あんたも、危ない目ぇ合わせて悪かったな! 」 

そう言って、オレンジが人懐っこい笑顔を浮かべ、こちらに手を差し出しますわ。

「俺は、レオニダス・フラム! 騎士を目指してる。属性は、風だ! 宜しくな! 」

キラッキラと笑顔を溢しながら、白い歯をニッと輝かせ、レオニダスが笑いかけてきますわ。


あーなるほど。そうくると思ってましてよ。ハンスラブロマで、すっかり騙されかけましたわ。運営が、悪役令嬢ワタクシに優しい訳ないじゃありませんの!!



レオニダス・フラム……攻略対象お馬鹿わんこですわー。
おほほほほほほほほほほ。

3人目と遭遇。

運営は、鬼ね!!




私の感謝と感激を返して頂戴!


しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

処理中です...