上 下
14 / 113
第1章

お馬鹿なわんこ

しおりを挟む
 新緑溢れる中庭の側。

 オレンジ色のレンガ造りの建物。

 「コスタ」と名付けられた学園の食堂は、中庭に抜ける扉でひとつづきになっていて、開放感あふれるワンフロアー。大きな窓から柔らかな光が差し込む…暖かな空間ですわ。

「食事していない者の姿が、多いな」

「ああ。コスタここはフリースペースやリラクゼーションスペースも充実してるからね」

「食事が終わっても、そのまま過ごす生徒も多いんだ」

「快適性や利便性の追求。だったかな?学生のさまざまな自主的活動を支える、多目的空間を目指しているようだよ」

「成程。ここで自主勉強や友人と過ごしても構わない。という事か」

 グレイ様の説明に、ハンスが相槌を打っていますわ。その側で、痺れを切らしたお馬鹿わんこがブーブー不平を漏らしてますわね。

「なー。説明とか後でいいから、なんか食おうぜー。もう昼もけっこー過ぎちまってるんだから」
「レオニダス。待て。焦るな馬鹿が」

オズワルド皇子の叱責に、レオニダスはしゅんと項垂れますわ。

レオニダス・・・・犬にしか見えませんわ。もう犬でよくなくって??

「くすくす。レオニダス君って、仔犬みたいだね」
「仔犬というか、お馬鹿わんこですわ」

ほら。ルビアナだってそう思ってるじゃないですの。

「げ!?二人揃って俺を犬って。俺ちゃんと人間だからな!それにお嬢!さりげにお馬鹿って・・・・ほんと酷っ!」

「馬鹿な駄犬であろうと、忠義な犬は俺様は好きだぞ」

「なら、飼って差し上げては?レオニダスは、騎士を目指していましてよ?」

「そうだね。・・・・役に立つなら、オズは使ってくれるよ?」

それって暗に、使えない駄犬はいらないって言ってますわよね。腹黒。


 ー・・・・しかしあれですわね。
お昼が過ぎて、人もまばらですけれども

攻略対象イケメンが、三人も揃ってますと、その・・・・視線がすごいですわね。

ご令嬢方の熱い視線。
ー居心地が悪くってよ。



「ヴィー。私・・・・隠れたい。」

ルビアナが半泣きですわ。可哀想に。
私の服の裾をキユッと掴み、震える姿が萌えますわ。うふふ。

私がルビアナの土壁になりますわ。ええ。守ってみせますわよ。ルビアナ!

「大丈夫?ルビアナ嬢。僕の後ろにおいで?」
「・・・・いやです」
「そう。残念」

その様子を見て、ちょくちょく腹黒が声を掛けてきますわ。鬱陶しい!

グレイ様悪魔。貴方わざとルビアナ天使にちょっかいかけてますわね?このドS!貴方、お呼びでなくってよ!?

私の目が黒い内は、貴方の好きなようにはさせなくってよ!ルビアナを守るのは私よ!!

ーって私の目・・・・碧でしたわー。


「なんだか。アクヤック嬢に敵意を持たれてる気がするなー。」
「敵意なんて、そんな生易しいモノではありませんわよ?グレイ様」

ええ。そんな生易しい想いを抱いてなどいませんわ!悪即斬!今すぐ貴方を浄化して差し上げたくってよ!!

「へー。そんなに熱烈に僕の事思ってくれてるなんて。光栄だな」
「オホホホホホ。今すぐ清らかな水で、貴方を清めて差し上げたいくらいですわ」

ーあはははは。
ーオホホホホホ。



「グレイとお嬢。いつの間にか仲良くなってるな。気が合うみたいで良かったな!」



レオニダス。貴方・・・・腕の良い目の医師を紹介しましょうか?

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,008pt お気に入り:3,806

王子に買われた妹と隣国に売られた私

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:2,743

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,643pt お気に入り:3,568

1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,219pt お気に入り:3,763

最初に私を蔑ろにしたのは殿下の方でしょう?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:15,870pt お気に入り:1,964

とげとげウィリー

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:7

婚約破棄されましたが、幼馴染の彼は諦めませんでした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,968pt お気に入り:281

処理中です...