転生悪役令嬢の前途多難な没落計画

一花八華

文字の大きさ
45 / 113
第2章

レクリエーション4/7

しおりを挟む
 擬態魔獣のトレントをレオニダスが物理で撃破し、ハイドさん監修の元セージやセボリー、ローズマリー、ラベンダー、ベルベーヌを採取しましたわ。

魔獣の観察や森の中の植物の調査もミッションに含まれていたので、それの筆記も。私がやろうとしたのに「ヴィーちゃんの絵って・・・・芸術だね・・・・」とフィロスが言葉を詰まらせましたわ。「絵は、僕が描くねぇ」っとトリフォリウムさんの役割になってしまったので、私の役目は筆記のみですわ。・・・・解せぬ。


 接近戦のレオニダス、ハイドさん。近~中距離のフィロス。中~遠距離のトリフォリウムさん。後方支援の私。

・・・・扇子では戦いようがありませんわ。
手持ち無沙汰ですわ~。
ひーまーでーすーわー。

ブツブツ不満を口にしていたら、「ヴィーちゃんは、戦わなくてもいいんだよー。女の子なんだから」っと手を握られましたわ。

貴女も女の子ではなくって!?フィロス!ヒロインの貴女が最前線に飛び込んだり・・・・貴女本当に乙女ゲームヒロインのフィロス・インカですの!?今流行りの戦うヒロインって奴ですの!?でもナイフ片手に飛び回るヒロインは、乙女ゲームヒロインではない気がしますわ!ええ!何かが大きく間違ってましてよーー!?

 ーという私の不満と混乱をよそに、湖に辿りつきましたわ。



「ここまでで二時間経過か」

 ハイドさんがぽつりと呟きましたわ。もうそんなに経過したのですわね。

「おっ?一番のり?他の班はいないようだな!」
「森の中では、何組かとすれ違ったりしてたけどね」

 レオニダスの声に、フィロスが反応しますわ。
すれ違い?まったく気付きませんでしたわ。今時のヒロインは、気配も読めるのですわね。

「多分、ユニコーンは、皆諦めてるんだろうねぇ」
「え?何故ですの?」

ポイントが高いのよね?やる前から諦めるだなんて、諦めては、試合はそこで終了ですのよ?

「うーん。ユニコーンは幻獣だからね。滅多に逢えないよぉ」

 え?

「まじか!なら、此処で待っててもミッションクリアにならないんじゃないか!?」
 
 慌てるレオニダス。私も同意見ですわ。

「なら、今から他のミッションめざして移動する?それとも森の中だし、ニトロ茸とかマヒ茸とか探す?ネンチャク草とかネムリツタの採取もいけるかもー」

「鉱石の発掘に行くなら、この先の岸壁か渓流だな。移動だけで30分。・・・・採掘で見つかると限らない。他の班がすでに採掘しているだろうしな」

 フィロスとハイドさんは、冷静ですわね。なんというか、こういう事態に慣れてるみたい。

「俺は、ここで釣りでもいいけど?メンドイワシとかブチギレアジとか釣れるだろ?」

「僕は此処で釣りや採取しながら待つのでいいと思うよ。逢える時は逢える。逢えない時は逢えない。それも運命だよねぇ」

 トリフォリウムさんがほやりと笑いますわ。場が和みますわね。

「できる事を、できる範囲でするしかないしねー。それでいーんじゃないかなー?」

「ええ。そうですわね。」

悩んでも仕方ありませんわ。できる範囲でやれる事をやる。それもレクリエーションの意義ですわよね。

「よし!なら釣りしようぜ!釣り!早速釣りだー!」
「・・・・そのまま湖に入ろうとするな。道具なら作ってやるから。持ち手はさっき倒したトレントの枝を使う。釣り針はハリマジロの針を拾っていたからそれで・・ツタを取ってこい。レオニダス」
「おし!わかった!あいあいさー!」

 上着を脱ぎ、湖に飛びこもうとするお馬鹿をハイドさんが静止しますわ。素手で魚を獲るつもりだったわね。お馬鹿犬。道具・・・・ちゃんと使えるのかしら・・・・

「なら、私は餌ようにワームでも捕まえてくるねー。オンプバッタやギリギリッスもいそう。それもミッションだったよねー?」

 昆虫採取をする。とフィロスは走り去りましたわ。ういういと昆虫採集に勤しむヒロイン。・・・・何か間違っている気がするけど、今更ですわね。

「私は・・・・」
「ヴィクトリアさんは、僕と此処で魔獣観察しながらユニコーンを待とうよ。魔獣観察もミッションの一つだからねぇ」

 木陰に腰を下ろしたトリフォリウムさんが、ぽんぽんと隣に誘導してくれますわ。大きな幹の元。柔らかな苔が生えるその上に、自身のローブを広げ私に座るように微笑む。 

「ありがとう。トリフォリウムさん」
「ううん。僕の方こそ。色々ありがとうねぇ。ヴィクトリアさん」

二人で並んで座る。なんだか心がほっこりしますわね。アニマルテラピーってこういう感じかしら。

「なんか、楽しいねぇ。こうやって皆で協力できるのって」

のんびりした空気の中、トリフォリウムさんがゆっくりと話ますわ。

「そうですわね。ただ・・・・私、あまりお役に立ててない事が心苦しいですわ」
「そんな事ないよぉ。ヴィクトリアさんがいるだけで、チームが明るいし、ハイド君も馴染めてて、僕ホッとしてるんだぁ」

 さわさわと、柔らかな風が抜けますわ。木の葉の隙間から、木漏れ日が落ち。トリフォリウムさんの髪を撫でていく・・・・

「え?私、本当に何もしていませんわ?ハイドさんだって最初から協力してくれていましたし、別に馴染めてなかったわけではありませんわよ?」
「そういうところ、ヴィクトリアさんの才能だと思うなぁ」
「?」

 少し離れた場所で、「おっしゃー!とったどー!」っと騒ぐレオニダス。「騒ぐな。煩い」っとハイドさんの呆れた声も聞こえますわね。

「この班で良かった。ハイド君、人嫌いだし誤解されやすいから心配だったけど・・・・本当に良かった」

 揺れる湖面。光を反射しキラキラ輝く、ゆったりとした時間の流れを感じますわ。

「ハイドさんは、へそ曲がりな世話焼きですわよね」
「あはは。そうだねぇ。確かにそうだ」

 笑うトリフォリウムさん。なんだかとても嬉しそうですわ。

「ハイドさんとトリフォリウムさんは、仲が宜しいのですね」
「うん。同じ孤児院出身だからね。寮は別だから、それが残念なんだけど」

 そう言うとトリフォリウムさんは、私の方を向きじっと見つめてきましたわ。

「ねぇ。ヴィクトリアさん」
「なんですの?」
「ヴィクトリアさんは、孤児院出身者はどう思う? 」



しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

処理中です...