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令嬢執事ハンスの受難
受難3~生暖かい気持ちで見守って下さい~
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そういった経緯で、俺はルーファとルビアナ嬢と共にアルテに来た。
「ごめんなさい。先日は誤解しちゃって。」
顔を赤らめながら話すルビアナ嬢。あれからどうにか誤解を解き、お嬢様への燃料投下は免れた。それでも何故か、ルビアナ嬢は時折俺の方を見ては、目を逸らす。・・・・俺は何かしてしまったのだろうか。身に覚えがない。微妙に避けられてる気がする。何故だ?
「ルビちん。その服。かわいーネ!」
ルビアナ嬢の横を、ルーファが嬉しそうに歩く。顔が緩みっぱなしだぞ。お前。わかりやすい奴だな。どうやら好意を隠す気もないらしい。もっと狡猾に打算的に、外堀から埋めて行くタイプと思っていたが違うのか。その好意。残念ながら、微塵もルビアナ嬢には届いてないようだが。
「あっ。ありがとう。ルーファ君。」
ルーファの言葉にお礼を言いながら、ルビアナ嬢はまた俺を見る。なんだろう。俺の顔に何か付いてるのだろうか?はっきり言われないのは、正直しんどい。思い付いた事は何でも言ってしまうお嬢様と、ルビアナ嬢は真逆だな・・・・っとしみじみ思う。
「あの・・・・ハンスさんは・・・・」
「ん?」
「ハンスさんは・・・・どう思っ・・・・」
「いえ・・・・何でもありません。」
溜息を漏らしながら、ルビアナ嬢がまた下を向く。最近、こういったやり取りが多い気がする。レクリエーションからか?それまでは、普通に会話もしてた気がするんだが・・・・。俺は知らぬ内に彼女が嫌がる事でもしてしまったのだろうか?お嬢様の大切な友人を、傷付ける事はしないように気を付けていたのだが・・・・。
「ルビちん!今日は、ありがとうネ!付き合ってくれて!」
徐にルーファが大きな声で話しかける。
「あ、ううん。あれだよね?ハンスさんの大切な用事だっけ。私なんかで役に立てるかな?」
「ああ。できれば、女性の意見も欲しかったんだ。」
そう。今日アルテに来たのは、お嬢様から預かった 【乙女の祝福】を加工する為だ。最初はピアスに加工し、お嬢様にお渡ししようかと思っていたのだが・・・・お嬢様の耳に傷を付けるなど、考えただけでも胸がムカムカしたのでやめた。身につけれて、お嬢様の負担にもならない物で・・・・何か装飾品に・・・・商人の息子で色々と伝もあるルーファに相談した。
指輪、ネックレス、ブローチ、バレッタ・・・・色々と案を出してくれ、デザインにも協力してくれた。商人の目からの助言は、有難かった。石の加工に職人を紹介してくれる。ルーファの申し出も助かった。それが善意からなら、手放しでこいつを友人として好きになっただろう。
「アルテに職人がいるからサ。一緒に行こう。ルビちんも誘うから。迷ってるんでしょ?どのアクセサリーに加工するか。ルビちんにも意見貰って決めようョ。」
ニコニコと笑って喋るルーファ。
「・・・・それ、お前がルビアナ嬢と一緒に街に行きたいから・・・・だよな?」
意見を聞くだけなら、学園で聞けばいい。正直、一緒にアルテに行く必要はない。むしろルビアナ嬢には、俺とルーファでなく、レオニダス、お嬢様、フィロス嬢の方へ付いて欲しい。大人しく、しっかりしたルビアナ嬢が一緒なら危険度も下がるというのに・・・・
「そうだョ?だって、オレが誘っても100%断られるし。ハーンスが一緒なら、絶対断られないかラ。」
「等価交換だョ。」っと笑うルーファに、俺は「好きにしろ。」っと返した。まさか、その足でルビアナ嬢を誘うと思わなかった。色々と必死だな・・・・と、横で懸命にルビアナ嬢に話しかけるルーファを見て、生暖かい気持ちが宿る。
「指輪だと・・・・結婚に贈りあったりしますよね。」
ぽつりとルビアナ嬢が呟く。結婚・・・・結婚の証に、互いの左手の薬指に指輪を贈り合う。そんな習わしがある。私には、伴侶がいます。そう周りに知らしめると共に、私の心は貴方のものです。と相手への愛を示す。そんな意味がある。それは、互いの瞳の色の石で作る。
手元にある【乙女の祝福】を見る。深い碧は、まるでお嬢様の瞳のようで・・・・綺麗だ。
「そーだネ。指輪だと重いかもしれないネ。なら、ネックレスとかブローチ?あーでも、ブローチだと服によっては付けられないよネ。」
重い。・・・・ルーファの言葉に思わず固まる。自覚はしてるんだ。俺の想いは重いと・・・・。お嬢様に引かれないよう、気を付けてるが・・・・。無意識で見つめていた、自分の薬指から視線を外す。
いやいやいやいや。
ないだろ。
有り得ない。
碧い石の嵌められた指輪を、自身の薬指に付ける妄想をした事に気付く。
今なら羞恥で死ねる。
「ごめんなさい。先日は誤解しちゃって。」
顔を赤らめながら話すルビアナ嬢。あれからどうにか誤解を解き、お嬢様への燃料投下は免れた。それでも何故か、ルビアナ嬢は時折俺の方を見ては、目を逸らす。・・・・俺は何かしてしまったのだろうか。身に覚えがない。微妙に避けられてる気がする。何故だ?
「ルビちん。その服。かわいーネ!」
ルビアナ嬢の横を、ルーファが嬉しそうに歩く。顔が緩みっぱなしだぞ。お前。わかりやすい奴だな。どうやら好意を隠す気もないらしい。もっと狡猾に打算的に、外堀から埋めて行くタイプと思っていたが違うのか。その好意。残念ながら、微塵もルビアナ嬢には届いてないようだが。
「あっ。ありがとう。ルーファ君。」
ルーファの言葉にお礼を言いながら、ルビアナ嬢はまた俺を見る。なんだろう。俺の顔に何か付いてるのだろうか?はっきり言われないのは、正直しんどい。思い付いた事は何でも言ってしまうお嬢様と、ルビアナ嬢は真逆だな・・・・っとしみじみ思う。
「あの・・・・ハンスさんは・・・・」
「ん?」
「ハンスさんは・・・・どう思っ・・・・」
「いえ・・・・何でもありません。」
溜息を漏らしながら、ルビアナ嬢がまた下を向く。最近、こういったやり取りが多い気がする。レクリエーションからか?それまでは、普通に会話もしてた気がするんだが・・・・。俺は知らぬ内に彼女が嫌がる事でもしてしまったのだろうか?お嬢様の大切な友人を、傷付ける事はしないように気を付けていたのだが・・・・。
「ルビちん!今日は、ありがとうネ!付き合ってくれて!」
徐にルーファが大きな声で話しかける。
「あ、ううん。あれだよね?ハンスさんの大切な用事だっけ。私なんかで役に立てるかな?」
「ああ。できれば、女性の意見も欲しかったんだ。」
そう。今日アルテに来たのは、お嬢様から預かった 【乙女の祝福】を加工する為だ。最初はピアスに加工し、お嬢様にお渡ししようかと思っていたのだが・・・・お嬢様の耳に傷を付けるなど、考えただけでも胸がムカムカしたのでやめた。身につけれて、お嬢様の負担にもならない物で・・・・何か装飾品に・・・・商人の息子で色々と伝もあるルーファに相談した。
指輪、ネックレス、ブローチ、バレッタ・・・・色々と案を出してくれ、デザインにも協力してくれた。商人の目からの助言は、有難かった。石の加工に職人を紹介してくれる。ルーファの申し出も助かった。それが善意からなら、手放しでこいつを友人として好きになっただろう。
「アルテに職人がいるからサ。一緒に行こう。ルビちんも誘うから。迷ってるんでしょ?どのアクセサリーに加工するか。ルビちんにも意見貰って決めようョ。」
ニコニコと笑って喋るルーファ。
「・・・・それ、お前がルビアナ嬢と一緒に街に行きたいから・・・・だよな?」
意見を聞くだけなら、学園で聞けばいい。正直、一緒にアルテに行く必要はない。むしろルビアナ嬢には、俺とルーファでなく、レオニダス、お嬢様、フィロス嬢の方へ付いて欲しい。大人しく、しっかりしたルビアナ嬢が一緒なら危険度も下がるというのに・・・・
「そうだョ?だって、オレが誘っても100%断られるし。ハーンスが一緒なら、絶対断られないかラ。」
「等価交換だョ。」っと笑うルーファに、俺は「好きにしろ。」っと返した。まさか、その足でルビアナ嬢を誘うと思わなかった。色々と必死だな・・・・と、横で懸命にルビアナ嬢に話しかけるルーファを見て、生暖かい気持ちが宿る。
「指輪だと・・・・結婚に贈りあったりしますよね。」
ぽつりとルビアナ嬢が呟く。結婚・・・・結婚の証に、互いの左手の薬指に指輪を贈り合う。そんな習わしがある。私には、伴侶がいます。そう周りに知らしめると共に、私の心は貴方のものです。と相手への愛を示す。そんな意味がある。それは、互いの瞳の色の石で作る。
手元にある【乙女の祝福】を見る。深い碧は、まるでお嬢様の瞳のようで・・・・綺麗だ。
「そーだネ。指輪だと重いかもしれないネ。なら、ネックレスとかブローチ?あーでも、ブローチだと服によっては付けられないよネ。」
重い。・・・・ルーファの言葉に思わず固まる。自覚はしてるんだ。俺の想いは重いと・・・・。お嬢様に引かれないよう、気を付けてるが・・・・。無意識で見つめていた、自分の薬指から視線を外す。
いやいやいやいや。
ないだろ。
有り得ない。
碧い石の嵌められた指輪を、自身の薬指に付ける妄想をした事に気付く。
今なら羞恥で死ねる。
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