転生悪役令嬢の前途多難な没落計画

一花八華

文字の大きさ
89 / 113
令嬢執事ハンスの受難

受難4~屈折~

しおりを挟む


 注文を済ませ店をでる。装飾品は、バレッタにした。それならお嬢様の負担にならないし、身につけやすいだろう。

俺の用が済んだ。学園に戻るか話しをしようとしたら、ルーファはルビアナ嬢に交際を申し込んだ。俺の目の前でするので、反応に困った。しかも、「嫁に来て下さい!」って・・・いきなり求婚する馬鹿が何処にいる!っと突っ込みたかったが、我慢した。そういやお嬢様もいきなりの求婚だったな・・・・俺は、当時、理解が追いつかず固まってたっけ。

 ーっと思い出し苦笑していたら、ルビアナ嬢は、案の定困惑し固まっていた。

「ごめんなさい。私、ルーファ君の事よく知らないし、それに・・・・」
「なら、これから知って欲しイ!友達!友達としてでもいいから、オレの事知っていって!お願い!」

 ルーファの勢いに押され、ルビアナ嬢は思わず頷いてしまっている。このままアルテの街を回るというので、俺はそこで二人と別れた。

 予定もないので、学園に戻ろう。できればお嬢様を探したかったが、アルテの街で見つけるのは至難の技だ。頭の中では、四六時中お嬢様の事を考えてしまう。初めて会ったあの日。あのキラキラと輝く碧瞳に見つめられたあの時から、俺の中をお嬢様が陣取って、出ていってくれない。



「ハーンスは、ヴィクっちが好きなんだよネ?」

 装飾品の相談をしていた時に、ルーファにそう問われた。無言でいたら、

「両想いな癖に、なんで付き合わないの?」

と問われた。

「お嬢様の想いと、俺の想いは、似ているようで違うからな。」

仕方なくそう返す。

 お嬢様の想いは、真っ直ぐでキラキラしてて、懸命で眩しい。その真っ直ぐさが、俺には眩し過ぎて・・・・直視できない。

 俺の想いは、屈折してて中は嫉妬と渇望でドロドロと汚れている。【執事】という仮面の下の俺は、醜く鬱屈とし、狂気に満ちていて・・・・

 お嬢様は、【恋に恋をしている】。俺のこんな醜い劣情を知らない。お嬢様が知れば、きっと幻滅するだろう。

「ヴィクっちは、あんなにハーンスが好きなのに?」

俺の返答に、ルーファは何故?っと更に問いかける。そんな事・・・・お前に関係無いだろ?

「・・・・俺がお嬢様と付き合う事は、ない。」

 思わずイラつき、そう断言したら・・・・ルーファはなんとも言えない顔で俺を見つめた。

「応えるつもりはないのに・・・・優しくするだなんて・・・・ハンスって案外残酷な奴だネ・・・・。」

 俺の描いたデザイン画を、指でなぞりながらルーファが呟いた。胸にその言葉が深く突き刺さる。言われた意味も、ルーファの言いたい事もわかる。俺はそれに何も返せず。黙って下を向くしかなかった。



 俺はいつでもお嬢様を想っている。想っている癖に、拒絶しきれない。幸せを願っているのに、欲してしまう。矛盾が俺の中で渦巻く。お嬢様に嫌われれば楽になれるだろうか?嫌われる勇気を持てない。



俺の世界は、お嬢様で回っている。


お嬢様に嫌われたら、俺は世界に絶望してしまうだろう。


ああ。お嬢様に早く会いたい。



馬車に揺られながら、俺はその事だけを考えていた。




しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

処理中です...