転生悪役令嬢の前途多難な没落計画

一花八華

文字の大きさ
106 / 113
第3章

(目の)毒物は、焼却だぁあ! ヒャッハァ!

しおりを挟む
 BMRの部室。縄に縛られたまま、4人の男に周りを囲まれている。 助けの来ない状況。私の悲痛な叫びが響き渡る。

「人で無しぃーーー!! いつか殺ると思ってましたのよぉ! やっぱり貴方! 私の命を狙ってましたのね!だけど お生憎様! 私、 そう易々とやられたりなどしませんわよーーー!! 」

縄が絡まり身動きの取れない私に近づき、オズワルド皇子は私を亡きものにしようと手を伸ばしてきますわ。

 殺られる! このままでは殺られてしまう! 落ち着きなさい! ヴィクトリア! 属性でいえば、の方が優位ですわ! 山猿の炎など、私の水魔法で鎮火してしまえばいいのよ!

 すぐ側で感じるオズワルド皇子の熱。めらめらと揺らめく炎の幻影が見える。 まるで、RPGゲームの炎帝ボスキャラ! 無理ですわー! これに勝つビジョンが見えないー!  このままでは、確実に消し炭にされてしまうーーー!

「あー。煩い。大人しくしろ、ほら」
「ひゃあ! やめて! 火炙りendだなんて嫌ですわーー! まだ死にたくないーーー! せめて、国外追放えん……ってあら?」

ジタバタと足掻く私の腕を取り、縄に手をかけたオズワルド皇子。気付けば一瞬で縄が灰に……

「すげーー! 無詠唱だったよな! 今! 」
「お嬢様、お怪我は!? 傷は!?」

感嘆するレオニダスを押し退け、慌ててハンスが駆け寄ってくる。

「ええ。大丈夫ですわ。特に何も」

 見れば、肌に火傷は一切みられない。赤くなった縄の跡が少し痛みますけど、熱さも何も感じませんでしたわ。本当に魔法を使ったの? 一瞬すぎて分からなかったわ。

「傷付けるようなヘマをするわけないだろ 。誰だと思っているんだ? 俺様だぞ? 」

パンパンと手を叩き、どかっとソファーへ腰を下ろすオズワルド皇子。

「あっ。えっと……ありがとうございます。助かりましたわ」

助けてくれたのよね? 見苦しいという理由でしたけれど。

「構わん。それよりもお前、マヌケも度が過ぎると目もあてられん。これが悪意を持った罠だったらどうする? 助けの来ない状況なら? もう少し慎重さや警戒心を身につけろ 」

ヤレヤレといった表情で見つめられる。うぐっ。なんだか耳が痛いですわ。

「確かに、オズの言う通りだよね。ヴィクトリアは警戒心がなさすぎる。こんなんじゃ僕のやりたい放題だよ」

 いえ、貴方に対しては警戒度MAXで対応してますのよ? 悪魔に心を許すわけないじゃないですの。単に貴方の悪戯が悪質なだけですわ!

「だよなー。お嬢って色々と抜けてるからなー。ハンスも頑張ってるけど、手に余り過ぎてる感じだしな」

頭の後ろで手を組み、ハンスに同情するレオニダス。

「俺の力不足なだけだ……お嬢様は悪くない」

ハンスはというと、苦虫を噛み砕いたような顔で呟いていますわ。悪いのは私……いえ、グレイ様だと言うのに……

「いや。ハンスが悪いよ。過保護過ぎた結果じゃない。ハンスだけじゃないよね。ヴィクトリアの周りって何だかんだ言って甘過ぎるんだ」

 冷めた視線で、ハンスを見ていた悪魔。その目がゆっくりと私に向かいましたわ。そうして、私に近寄ると意地の悪い笑顔を浮かべる。

「……甘やかした結果が、コレ・・でしょ? 」

ぷにぷに。

「ちょっと、自己管理がなってなさすぎじゃないのかな? 僕は嫌いじゃないけど、色々と目の毒になってるんだよね。ハンスやオズの……君のせいで大事な所でヘマされても困るし、ちょっと厳しくさせてもらうよ? 」

そう言うグレイ様の指は、むにむにと私の二の腕をつついていて……。

「へ? はい? んん? 」

「夏休暇に部活で合宿があるからね。其処で色々と扱いてあげるから、覚悟してて」

にっこりと悪魔が、告げましたわ。

【夏休暇】? 【合宿】? 


「部員は強制参加。親御さん達からの許可ももう取ってるからね。逃がさないよ」

……
…………。

なんて事ですの。


夏休暇になれば、攻略対象イケメン共から解放されると思っていたのに……まさかの強制イベント発生!?


 私のハッピーライフが、音を立てて崩れていきますうわぁあああぁああーーーーん!!

しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

処理中です...