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狐メイドは、英雄を拾う
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「で、本当の理由は 何なのですか?」
そのまま寝むりに落ちた たまもに毛布をかけると その側に腰を下ろす。セイは、たまもの髪を優しく撫でる。
「えー?何が?」
「たまもさんと…僕に接触した理由ですよ。」
その側で、椅子に股がりながら 酒瓶を煽っていたアルは 気だるげに返事を返す。
「あれは、たまたまだって。たまたま俺が生き倒れたとこに、たまたま たまちゃんが顕れて、たまたまお前に再開できたんだろ。」
「貴方が、たまたま僕の塔の近くで生き倒れていて、たまたま 僕の保護下にある たまもさんに接触した。ーそれを信じる程、僕はおめでたくないんですよ。」
セイは鋭い視線をアルに向け続ける。
「大体、貴方が【生き倒れる】なんてこと事態が、あり得ない。だって、貴方ならどんなに国に手を回されようと 裏の裏をすり抜けて、鼻歌混じりに悠々自適に生きる男だ。」
「それに、例え稼ぐ事ができなくても そこら辺の女性を捕まえて、ヒモにでもなって食い繋げるでしょ。」
「本当の理由は?」
抑揚の無い声で、問い詰められたアルは 両手を上にし 白旗を挙げる。
「王だ。」
「成る程。飼い主に命令されたから ですか。」
「勘違いするなよ。あれは 俺の主じゃない。」
「国に忠誠を誓ってたんじゃないんですか?赤の英雄殿。」
「その名と忠誠は、ドブに捨てたよ。」
そう自嘲し、アルは酒をまた煽る。
「嫌気が差してたんでね。お前の捜索命令を幸いと、そのまま王都からとんずらしてやった。」
「は?」
「ちゃんと辞表も出してるよ。正真正銘、此処にいるのはただのアルだ。王国騎士も赤い英雄の肩書きもない。反逆罪とか有ること有ることでっち上げられちまってな、王国からの追っ手も出されてる。」
「無職どころか、犯罪者ですか。」
呆れを滲ませ呟く。
「有ること有ることってところが、貴方らしいですね。」
「あー。まぁ、気に入らない貴族の一人や二人 殴ってきちまったし。王に向かって暴言も吐いてきたから?不敬罪って奴か?」
「何をしっかり喧嘩売ってきちゃってるんですか。呆れた。貴方は、もっと器用な奴だったはずでしょ。」
「親友を売れと言われて、平然としてられる程 忠犬にはなれなくてな。」
「親友?そんなモノが貴方にあったのですね。」
「おう。命がけの戦いの中、互いの背中を預けあった 無二の心友が二人ばかしな。」
裏表の無い顔で、アルは笑う。
「そいつの命と、顔も覚えてねぇような国民とか王族とかその他諸々の奴ら。比べるべくもねぇだろ。」
「赤の英雄らしくもない発言ですね。」
「俺は、ただの人殺しさ。勝手に担ぎ上げる国に、尻尾を振れる駄犬には、なりきれねぇよ。此処に来たのは、お前の安否が気になったから。ただそれだけだ。」
「馬鹿な男ひとですね…。」
暫しの沈黙が流れる。
「…というわけで。絶賛無職な俺なんだけどさ。」
「はあ。」
「セイ。」
「俺を養ってくんない?」
そのまま寝むりに落ちた たまもに毛布をかけると その側に腰を下ろす。セイは、たまもの髪を優しく撫でる。
「えー?何が?」
「たまもさんと…僕に接触した理由ですよ。」
その側で、椅子に股がりながら 酒瓶を煽っていたアルは 気だるげに返事を返す。
「あれは、たまたまだって。たまたま俺が生き倒れたとこに、たまたま たまちゃんが顕れて、たまたまお前に再開できたんだろ。」
「貴方が、たまたま僕の塔の近くで生き倒れていて、たまたま 僕の保護下にある たまもさんに接触した。ーそれを信じる程、僕はおめでたくないんですよ。」
セイは鋭い視線をアルに向け続ける。
「大体、貴方が【生き倒れる】なんてこと事態が、あり得ない。だって、貴方ならどんなに国に手を回されようと 裏の裏をすり抜けて、鼻歌混じりに悠々自適に生きる男だ。」
「それに、例え稼ぐ事ができなくても そこら辺の女性を捕まえて、ヒモにでもなって食い繋げるでしょ。」
「本当の理由は?」
抑揚の無い声で、問い詰められたアルは 両手を上にし 白旗を挙げる。
「王だ。」
「成る程。飼い主に命令されたから ですか。」
「勘違いするなよ。あれは 俺の主じゃない。」
「国に忠誠を誓ってたんじゃないんですか?赤の英雄殿。」
「その名と忠誠は、ドブに捨てたよ。」
そう自嘲し、アルは酒をまた煽る。
「嫌気が差してたんでね。お前の捜索命令を幸いと、そのまま王都からとんずらしてやった。」
「は?」
「ちゃんと辞表も出してるよ。正真正銘、此処にいるのはただのアルだ。王国騎士も赤い英雄の肩書きもない。反逆罪とか有ること有ることでっち上げられちまってな、王国からの追っ手も出されてる。」
「無職どころか、犯罪者ですか。」
呆れを滲ませ呟く。
「有ること有ることってところが、貴方らしいですね。」
「あー。まぁ、気に入らない貴族の一人や二人 殴ってきちまったし。王に向かって暴言も吐いてきたから?不敬罪って奴か?」
「何をしっかり喧嘩売ってきちゃってるんですか。呆れた。貴方は、もっと器用な奴だったはずでしょ。」
「親友を売れと言われて、平然としてられる程 忠犬にはなれなくてな。」
「親友?そんなモノが貴方にあったのですね。」
「おう。命がけの戦いの中、互いの背中を預けあった 無二の心友が二人ばかしな。」
裏表の無い顔で、アルは笑う。
「そいつの命と、顔も覚えてねぇような国民とか王族とかその他諸々の奴ら。比べるべくもねぇだろ。」
「赤の英雄らしくもない発言ですね。」
「俺は、ただの人殺しさ。勝手に担ぎ上げる国に、尻尾を振れる駄犬には、なりきれねぇよ。此処に来たのは、お前の安否が気になったから。ただそれだけだ。」
「馬鹿な男ひとですね…。」
暫しの沈黙が流れる。
「…というわけで。絶賛無職な俺なんだけどさ。」
「はあ。」
「セイ。」
「俺を養ってくんない?」
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