狐メイドは 絆されない

一花八華

文字の大きさ
15 / 26
狐メイドは、英雄を拾う

7

しおりを挟む
「セイ~。いいじゃないか~。俺とお前の仲だろ~ん。」
「くっ。離しなさい。嫌です。無理です。断固拒否です。」
「ちょっとだけ。ちょっとだけでいいんだよ~。俺を受け入れてくれよ~。」
「少しでも許せば最後、気付いたら婚姻届けに判を押して、子どもも3人生まれてました。的な事をしれっとしでかしそうな男を受け入れる気は、毛頭ありません。」
「お堅い奴だなぁ。いいから、俺の溢れんばかりの愛を受け止め…うぎゃっ!」
「この酔っぱらいが!目を覚ましなさい!」
「相変わらず激しい奴だなぁ。はっはっは。」
「くっ。水竜砲撃アクアネードごときじゃ、びくともしませんか…」



「ええっ…と…なんじゃコレは…」

 儂が目を覚ますと、其処は混沌カオスじゃった。 
ぐでんぐでんに酔っぱらい、セイに迫る?絡む?アルに、魔法で応戦するセイ。
 上級魔法を受けながら、ケタケタ笑い迫るアルに、若干恐怖を感じる。赤い…悪魔じゃ…。

「おや。」

「たまちゃんおきたの~。」

 酔っぱらいの据わった目が、こちらに向いた。にへらと笑う顔が怖い。

「うぇっへっへ。たまちゃんでもいっか~。」

 儂でもいいってどういう意味じゃ?んん?なんとなく生命の危機を感じるぞ。

「たまもさん!逃げて!すぐに!」

 セイの余裕の無い声がする。おお。このように焦るセイを見るのは、始めてじゃな。逃げるといっても、すでにこの酔っぱらいに腕を掴まれてしまっておるのじゃが…。どうしろと?

「うんうん。たまちゃんでいっかー。俺もどうせなら、将来の美女の方がいいし。」

 1人へらへらと笑いながら喋る酔っぱらいアル

「ちょっと!アル!たまもさんに何をする気です!?」

「たまちゃん。手だして。うん。これでよし。はーい。俺の目をみてねー。」

 儂の元で、片膝を付き 何やらアルがぶつぶつと呟いておる。酔っぱらいよ。何かの懺悔か?儂を女神像か何かと勘違いしておらぬか?酒の力を借りて、過去の過ちを悔いた所で 罪は償えるものでは、ないぞ?

「アル!まさか貴方!」

 何かに気付き、セイが儂とアルを引き離そうと手を出す。
が、その手は 白い光に弾かれた。

「もう。遅い。」

そうやって、ニヤリと口元を歪め アルは 儂に向き直る。

「我、アルフレッドは、御霊の名において 生涯をかけて たまちゃんに忠誠を誓う。」

 そう言って、儂の右手の甲に口付けを落とす。


 白い光が、儂とアルを包むのを 呆然とした顔でセイが見つめる。


「契約…かんりょー。」

 そう言って、満足そうに酔っぱらいは、真後ろに倒れた。
残された セイは、うつむき頭を抱え。儂は、右手に刻まれた模様に困惑しながらセイとアルを交互に見るしかなかった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

【完結】偽りの華は後宮に咲く〜義賊の娘は冷徹義兄と食えない暗愚皇帝に振り回される〜

降魔 鬼灯
キャラ文芸
 義賊である養父を助けるため大貴族の屋敷に忍び込んだ燕燕は若き当主王蒼月に捕まる。  危うく殺されかけた燕燕だが、その顔が逃げた妹、王珠蘭に似ていることに気付いた蒼月により取引を持ちかけられる。  逃げた妹の代わりに顔だけは綺麗な暗君である皇帝の妃を決める選秀女試験に出て不合格になれば父の解放を約束するという密約を交わした。    記憶力抜群、運動神経抜群、音楽的才能壊滅の主人公が父のために無難な成績での選秀女試験不合格を勝ち取れるのか。  実は食えない性格の皇帝と冷徹だがマメな義兄蒼月に振り回され溺愛される燕燕は無事2人から解放されるのか。  後宮コメディストーリー  完結済  

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...