【完結/R15BL】人格が破綻したあたおか勇者の愛が重すぎるんだが……?(加筆修正版)

架月ひなた

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本編のその後

え、アフェクシオン!?(カプリスside)

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※本編の続きみたいな、とある日常。
※カプリス視点です。
※アフェクシオンが積極的です。
※R18部分はカットして濁してるのでR15でもいける筈……はず!





「で? どうしてアフェクシオンがこんなにグデングデンに酔ってるんですか? 確か、ハイエルフの祝福を受けたいからと呼ばれた筈ですよね?」

「いやぁー、コレは酔ってる……つうかなんつうか……」

 アフェクシオンに肩を貸しながら困り顔で転移魔法で飛んで来たのはタナリサースだった。
 そのタナリサースを不機嫌を押し隠しもせずに見据え、問いかける。

 アフェクシオンは今日王宮に呼ばれていた。今後の国の発展と魔族や魔獣たちの協定の為に、ハイエルフの祝福を受けたいと国王陛下が直々に頭を下げに来たからだ。

 カプリスはタイミング悪くも、別国からドラゴンの討伐依頼の救助要請があった為に参加していなかった。一足先に着替える為に家に帰ってきたばかりで今に至る。

「どうも、魔王としての肉体とハイエルフとしての肉体ではアルコールの限界摂取量が違ったみたいでな。それでこの通り……」

 ぼんやりとした目をしているアフェクシオンと視線が絡む。そんな無防備な姿を曝け出している事実が腹立たしい。

「カプリス?」

「貴方も何でこんなになるまで……、むぐっ」

 よろけながらもフワリと浮いて飛び込んできたアフェクシオンからの口付けで口を覆われ、体が固まった。
 腰を両足で固定されてまで密着されれば身動きさえも取れなくなる。

 怒りも何処かへ行ってしまい、アフェクシオンにされるがままに口付けられていた。
 彼が人前でこうして絡むのは好まないのを知っているだけに驚きを隠せない。
 しかも熱烈に舌まで絡ませられて吸いあげられ、肉厚の舌から熱が伝染してきそうになった。

「ん、んぅ……カプリス……、ぁ……、カプリス」

「この通り酔ってるっていうより媚薬飲んだみたいになってる? から、慌てて連れ帰ってきたんだよ。結果オーライ?」

 自分でも驚くほどに気分が上向いていくのを感じて、カプリスはタナリサースに向けてグッと親指を上げて見せる。それを見てホッと胸を撫で下ろしたタナリサースの姿がそこから消えた。






「カプリス、カプリス……ッ、抱かれたい……、ん、ぅ、早く」

 まだハイエルフ姿をしているのもあって、透けるような白い肌が朱色に染まっているのがやたら艶かしかった。
 初めてアフェクシオンから求められた歓喜で、カプリスは自然と持ち上がってくる口角を止められずにいた。

 ベッドの上に深く上体を投げ出す形で腰掛け、その上にアフェクシオンを乗せる。欲を孕んだ金がかった黄色の瞳と視線が絡んだ。

 すぐにでもベッドに組み敷きたい欲求を抑えて、カプリスはアフェクシオンを引き寄せると焦らすように口付けた。舌同士が絡み合う濡れた音が室内に響き渡って行く。

「服を脱がせて下さい。このままじゃ貴方を抱けません」

「ん」

 僅かに視線を伏せて返事したアフェクシオンの頬をカプリスが撫でると、心地よさそうに眉尻を下げる。今日はやけに素直で従順だ。

 眩暈と共にウッカリと心臓が止まりそうになってしまった。悶えながらも何とか堪えて口を開く。

「魔法は使っちゃダメですよ?」

 頷くものの、上手く力の入らない手がもどかしいのかアフェクシオンが焦ったいというように吐息をつく。

 それがまた甘ったるく吐き出されたように感じて、顔に愉悦が滲んだのが自分でも分かった。

 上半身を脱がされた時にはアフェクシオンは既に息絶え絶えになっていて、その先の行為を求めるかのように腰が微かに揺れ始めている。

「可愛いですね、アフェクシオン」

「カプリス、腰……」

 促されるように腰を上げると下履きごとズボンを下ろされてしまった。
 受け入れる準備を自らし始めたのを一時も視線を逸らさずに見つめる。

 ——眼福です。ありがとうございます!

 内心で叫ぶ。愛おしさで胸がいっぱいになってきて、アフェクシオンの頭を撫でる。

「カプリス」

「どうかしましたか?」

 求められている事は分かっていながらあえて問いかけると、アフェクシオンが切なそうに眉根を寄せた。

「もうコレ……欲しい」

「上に乗っていいですよ? 貴方が好きなように動いて下さい」

「……っ」

 中途半端に脱いでいる服だけどうにかしてやり、ベッドの上に転がる。己の腰に跨ったアフェクシオンがその上に自らの腰を下ろしていく。

 先端を飲み込んだあたりでギュッと肉襞に締め付けられ、ビクビクと体を揺らしながら荒い息をついたアフェクシオンを見ていると歓喜で体が震えた。
 入れた直後にイッたのが分かった。下から突き上げて内部の奥まで飲み込ませる。

「カプ……リス、待て」

 口ではそういう癖にもっと奥へといざなうような内部の動きを感じて、思いのままに突き上げそうになったのを堪えた。

 動いていない間にもまた中でイったのだと悟ったが、それには気がついていないフリをしてトントンと数回のみ甘突きを繰り返す。するとまたアフェクシオンの体が戦慄く。

「やめ、嫌……だ」
「嫌ならやめましょうか?」
「ちが……っ」
「どっちですか?」

 笑いを溢して動きを止めたままでいると、懸命に小刻みに腰を動かして快楽を貪ろうとしている姿があまりにも健気で可愛く見えて、もう一度笑みが溢れた。

 快楽に貪欲になるようにアフェクシオンの体を仕上げたのは、他の誰でもない己自身だ。その事実が小気味良くて堪らず背筋がゾクゾクする。

 普段より優しく腰を揺すり上げる。感じ入りながらも、まだどこか物足りなさそうにアフェクシオンが見つめてきた。こんな生優しい動きで満足するような体にはしていないのだから当然だ。

「もっと……欲しい……っ、カプリス」

「ああ、もう。本当に可愛いですね」

 体を返して、アフェクシオンを体の下に組み敷く。快感が強かったのか、アフェクシオンの腰が逃げを打つ。その腰を掴んでひっくり返し、腰だけを高く持ち上げさせる。

「逃げちゃダメじゃないですか。もっと奥まで入るように自分で広げて見せてください」

 そんな事を言おうものならいつもは睨みつけられるが、今日はとことん快楽に忠実らしい。アフェクシオンはぼんやりとしたまま甘ったるく嬌声を上げて呼吸を整えている。

 こんな状態で自分以外の他の男の元にいたのかと思うとまた腹立たしくなってきて、とことん虐めてやりたい気持ちと、死ぬ程甘やかして抱きたい気持ちが綯い交ぜになった。

「しないなら抜きますよ?」

 おずおずと両手を伸ばして双丘の丘を左右に広げた瞬間を狙って強めに腰を打ちつける。手を離しそうになっているのを見計らってまた囁いた。

「ダメですよ、アフェクシオン。手はそのままにしていてくださいね。もっと奥にいかないと貴方が一番好きなとこ擦れないじゃないですか」

「意地の悪い事……ッやめろ」

「その言い方可愛いですね?」

 ビクビクと体を震わせながらもまた左右に割り開いてみせたアフェクシオンにご褒美だと言わんばかりに規則的に動いてみせる。

 アフェクシオンの一番感じる所を繰り返し何度も擦る。大きく体を弾ませた後にアフェクシオンの体はベッドの上に力なく弛緩していった。

「良すぎて飛んじゃいました?」

 ハイエルフの体は感じやすいらしい。魔族の体でも感度の良いアフェクシオンでは感度が良すぎてどうしていいのか分からないのかもしれない。

 一番初めの時を思い出してしまい、壊さないように一度抜こうとしたがキツイくらいに締め付けられて息を吐く。抜くのをやめて揺さぶればアフェクシオンが覚醒して、声を押し殺す事もせずに喘ぎ始めた。

「ツラいなら一度抜きましょうか?」

 拒否するように首を振られる。てっきり、辞めろと言われるかと思っていたのもあって、嬉しさを通り越して思わず笑った。

「そんなに良いですか?」

 こくこくと頷き「気持ち良い」と繰り返すアフェクシオンを見ていると理性が切れた。フッフッと息を乱しつつも、アフェクシオンがこちらを見つめる。

「カプリス……ッ、ァ、好き、だ」

「——!」

 不意打ちの告白に息を詰めた瞬間、欲を吐き出した。アフェクシオンの瞼が閉じていき、ピクリとも動かなくなる。

「え、え?」

 無理やり言わせた事はあっても、アフェクシオンの方から言われた事は無に等しい。何とも言えない充足感が胸の中に芽生えてしまった。

「ズルい人ですね、貴方は」

 言葉一つで振り回されるのは己の方だ。
 人の心を掻き乱すだけ掻き乱して突然居なくなってしまう。これまでに逃げられた時もそうだった。

 掴んだつもりでいても掴めなくて、ずっと逃げられっ放しだ。甘く囁かれた言葉に騙されて、己の元を去っていく彼を見ては落胆した。
 それでも己が一番初めに彼にした行為を考えればまだマシなのだろう。今回初めて許しを得られたが。苦笑する。

「例え騙されたとしても、私は貴方だけを愛しています」

 起きた時、彼は何と言い訳するだろうかと考える。想像するだけで楽しくなってきたカプリスは、アフェクシオンの横に身を横たえた。




 アフェクシオンの瞼が震えて、ゆっくりとその双眸が開いていく。間近でずっと観察していたカプリスは言葉を発した。

「おはようございますアフェクシオン。昨日は凄く大胆に乱れてましたね」

 わざとこちらから話題をふると、始めはぼんやりした視線を向けていたアフェクシオンの目が徐々に見開いていった。

「~~~~!」

 全て覚えているのだろう。冷や汗をかきながら顔色が青色になったかと思いきや、今までかつて見た事がないくらいに真っ赤に染まっていく。

 気まずそうに眉間に皺を寄せて視線を泳がせるアフェクシオンを見るのは初めてで目を瞠った。

 そんな顔をされると虐めたくなってしまう。腕で顔を隠そうとしてくるアフェクシオンをベッドの上に縫い付けてマジマジとその顔を見つめた。

「照れてるアフェクシオン可愛いです!!」

「やめろ、見るなっ。離せっ!」

「嫌ですけど? まさかこんなに照れて可愛い顔をしてくれるなんて思ってもなかったので堪能したいです。それに、ほら……元気になっちゃいました」

「は?」

 下半身を押し当てると、アフェクシオンが焦ったように暴れ出す。

「カプリス、やめろ!」

「すみません、ムリです」

 そのまま朝から情事にもつれ込んで、その日は一日中ベッドの中で過ごす羽目になってしまった。



【了】


 
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