【完結/BL】霊力チートのΩには5人の神格αがいる

架月ひなた

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第四話、美青年陰陽師に異界を憑れ回された挙げ句に扱かれています……

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「朝陽、オレが今から言う言葉を復唱してご覧?」
「ん……分かった」
 朝陽が口を開く。
 晴明に求められるままに言葉を口にすると、朝陽の心臓のあたりから、コロコロと飴玉サイズの色の異なる玉が三個転がり落ちた。
 その内の青い玉の一つを口内にパクリと入れた晴明が、口移しで朝陽に食べさせる。
 ゆっくりと噛み砕いたが、何の味もしなかった。ただ、下っ腹の奥が熱くなり始めて、温かく包まれている錯覚に囚われる。
「朝陽、楽しみにしているよ」
 晴明は虹色に輝く桜の花びらが入った玉を噛み砕き、残った赤い玉を廊下に向けて転がしていた。
「あの玉を目で追ってみてご覧?」
 言われるままに目で追っていると、そこで視界が歪んできて、酷い眩暈がした朝陽は目を瞑った。
 グルリと体ごと回転させられ、そのまま何かに持ち上げられて移動していく。
「おい、朝陽。聞いておるのか?」
「へ?」
 博嗣の声が聞こえてきて、朝陽が咄嗟に目を開けると、元の世界に戻っていた。
 慌てて自分の体にペタペタと触れる。
 いつの間にか服も着ていた。
 白昼夢でも見せられていたのかと思ったが、足に力が入らなくて地面にへたり込んでしまった。
 ドロリと内部から溢れ出た精液が下着を汚す。
 気怠さや腰の奥の甘い疼きと鈍い痛みも、さっきまでの事が現実だったと告げている。
 膝が笑っていて上手く立てない。
 朝陽は誤魔化すように両手で己の足を摩った。
「全然聞いていなかった」
 異界にいたのだから聞ける筈もない。
 戻してくれるならもう少し前に戻して欲しかった。
 朝陽が博嗣に告げながら心の中で晴明にボヤいていると、博嗣の拳骨が飛んできて頭を抑える。
「痛いっ!」
 涙目で博嗣を見上げた。
「朝陽、いつの間に四人目と番ったんじゃ?」
「あー、さっき。向こうから勝手に呼ばれて異界に連れ出されてたんだよ。じいさんに名前を呼ばれたとこでちょうど帰されたから、じいさんの話は全く聞こえてなかった」
 相手の名は明かさずに答えた。
 ——アイツ好き勝手やりやがって。
 まだ感覚のおかしい膝と腰を交互に摩る。
「何と礼儀知らずな……」
 その礼儀知らずな相手があの安倍晴明だと知ったらまた気絶するかな、と思いながら無理矢理己の足を立たせる。
 先にトイレに向かって大量に出されたモノをかきだした。
 残すはあと一ひら。
 朝陽は博嗣の元へ戻ると目的地に向かって歩を進めた。
「ここの結界の修復じゃ」
 着いた場所にある結界は確かに緩んでいた。
 博嗣と一緒に掌を翳して、弱っている箇所の結界を張り直していく。
 すると朝陽の背後に影が生まれそこから腕が伸びてきた。
「結界を張る時はこうしてきちんと手印を結ぶといいよ」
 背後から突如現れた晴明に、朝陽はそれぞれの手を取られる。
 されるがままにやっていると、力が増幅するのが分かった。
 綻び始めていた結界が元の姿以上に張り巡らせられる。
「わっ、凄い。本当だ」
「あ、安倍晴明殿⁉︎ どういう事じゃ朝陽?」
 ギョッとした顔をして博嗣が朝陽を見る。
 どこからどう話せばいいのか分からなかったから、ザックリと説明する為に朝陽は口を開いた。
「俺の四人目の番だった」
「またか? またなのか朝陽っ⁉︎ 慣れてきた自分も恐ろしいわい」
 呆れ口調の博嗣の言葉を聞いて、朝陽はまたしても横に視線を流す。
 もう現実逃避が癖になっている気がした。
 心臓に毛が生えたらしい博嗣を見る。
 血圧が上がり過ぎたり、心不全で救急搬送される心配事が無くなったのはいい事だ、と朝陽は頷いた。



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