19 / 20
第20話 クレマチスの花々
しおりを挟む
「リラ、どうして泣いているの?」
「殿下が、三日も寝ていたからです。このまま目覚めなかったらどうしようかとずっと、心配で、不安だった」
「三日も? もしかして、リラはずっと、私についてくれていた?」
「もちろんです。……ルーカスの傍を離れたくなかったら」
「そうか……リラ、迷惑をかけた」
リラは小さく首を横に振った。
「こうして目覚めてくれたからいいよ」
ほほえみかけると、ルーカスの手がリラの目尻に伸びてきた。そっと、やさしく涙を拭ってくれる。
「きみは、立派だね。どこまでも主想いの騎士だ」
ルーカスの口から『騎士』と言われて、どきっとした。
リラは、こほんと咳払いを一つすると、姿勢を正した。
「殿下。わたし、殿下のことが好きです」
リラが告白すると、ルーカスの目が大きく見開かれた。彼は瞳を泳がせたあと、「ああ」とほほえんだ。
「親友としてか。ありがとう」
「……いや、殿下。ありがとうじゃなくて」
「俺も好きだよ」
ルーカスは、いつものようにさわやかな笑みを浮かべた。
やっと想いを伝えたのに、本人にちゃんと伝わっていないことは、恋愛経験が皆無のリラでもすぐにわかった。
「わたしは、ルーカスのことが好きだ」
「リラ、無理はしなくていいよ。気を遣われると悲しくなる」
「遣ってない」
どうしたら気持ちを表現できるんだろう。伝わるんだろうと考えていると、部屋のドアを強く叩く音が耳に届いた。
「リラさま、大変です! 外、見られましたか?」
ナタンのあわてる声にリラは立ち上がった。一番近くの窓から外を見る。
「うわ。なにこれ。蔓が……伸びている」
地上から伸びた蔓が、一晩で、二階にあるリラの部屋まで伸びてきていた。
見渡すかぎりの地面や壁が、蔓によって、緑色に染め上げられていた。
「まるで意思のある、生き物のようだ」
「蔓が、いきなり異常に伸びはじめたんです。このままでは、この城は、いえ、この国は蔓にすべて覆われてしまいます!」
ルーカスは、ドアに向かった。
「ナタン。総動員で、蔓の除去を」
「え、その声、ルーカス殿下ですか?」
リラがドアを開けてあげると、ナタンが転がるように部屋に入ってきた。
「殿下、回復したんですね。良かったです……!」
「すまない。昏睡していたようだ」
ルーカスを見つめるナタンは涙目だった。
「ナタン。話はあとだ」
「殿下、待って」
ルーカスがそのまま出て行こうとするのを、リラは止めた。
「ルーカスさまは三日間眠っていたんですよ。いきなり無理してはいけません」
「国が一大事だというのに、まだ寝ていろというの?」
ルーカスはリラに向かってほほえむと、静止を無視して部屋の外へ出た。リラとナタンはあわてて追った。
「殿下、どこへ行かれるんです?」
「見張り台の塔だ。蔓が王都のどこまで伸びているか、確かめに行く」
「塔ですね。ついていきます」
リラの申し出にルーカスは首を横に振った。
「塔には、ナタンと行く。リラは、すまないけど、蔓の除去作業を指揮して、手伝ってあげて」
「いいえ。わたしは殿下の傍を離れたくありません」
外の蔓が伸びていくように、ルーカスの身体を這う呪いの蔓も、じりじりと伸びている。
ルーカスが渋い顔で思案していると、ナタンが「では、こうしましょう」と割って入ってきた。
「塔にはお二人で行って下さい。私が蔓の除去を指示して、手伝って参ります」
「ナタン殿、良い案です。ルーカスさま、そうしましょう」
「……わかった・リラ、行こう」
「はいっ!」
ナタンとはそこで別れ、リラとルーカスは塔に向かって駆け出した。
二人は一旦外に出て、クレマチスの庭園へ向かった。庭を抜ければ、王都を見渡せる高い塔がある。
中庭のクレマチスも生育がよく、リラの背丈を超えるほどだった。ただ、どれもつぼみで咲いていない。
「ルーカス、大丈夫?」
胸を押さえながらルーカスは足を止めてしまった。首の蔓の紋様が、さっきよりも多く巻き付いている。
「少し、休みましょう」
東屋に着くと、ルーカスを座らせた。
リラは、ハンカチを取り出すと、ルーカスの額と頬の汗を拭っていく。
「こうしていると、幼いころ、初めて木登りをした時を思い出すね」
「わたしも今、それを思い出していました」
ルーカスはハンカチを持つリラの手をつかんだ。
「リラは、出会った時からかっこよかった。きみの騎士として成長していく姿は眩しく、戦う姿を見るのが楽しみだった。きみと出会って、王になる覚悟ができた」「私も、ルーカスと出会って、騎士になると決めた」
リラを見つめながらルーカスは目を細めた。
「この世界から戦いをなくすと決めたんだ。王太后には負けない。呪いにも、決して屈しない」
「わたしも同じ気持ちです」
リラはルーカスの手をぎゅっと握り返した。
「リラ、きみを信じている。だから、これからも騎士として、私の背を守ってくれ」
呪いで苦しいはずなのに、ルーカスはしっかりとした口調で言った。
ルーカスの思いに、ちゃんと答えようと思った。リラは彼の手を離すと、片膝を立ててしゃがんだ。頭を下げて地面を見つめる。
「ルーカスさま。わたしはもう、殿下の背を守れない」
「……理由は? どこか、怪我でもしている?」
顔を上げると、心配そうにのぞき込んでくるルーカスと目が合った。リラは彼に安心してもらおうと、ほほえみながら首を振った。
「わたし、リラ・オースティンは、王妃になるからです」
彼の目をまっすぐ見て、伝えた。
「ずっと、父みたいに強くなりたかった。騎士になって、殿下を守ることが、わたしの使命だと思っていた。ルーカスの力になれる方法が騎士以外、わからなかったからです。だけど、シャルロット姫と話して気がついた。剣を交えなくても、守れる方法があると」
「それが、王妃?」
リラは頷いた。
「王妃教育を受け、ルーカスの傍で過ごすうちに気づいたんです。国の命運と責任を、王一人に背負わせて良いんだろうかと。ルーカスの苦しみや悩みは、わたしにも分けて欲しい。一緒にみんなを幸せにしたいって思うようになりました」
リラは、ルーカスに向かって手のひらを上にして差し出した。
「ルーカスが、好きです。騎士としてあなたを護る。同時に、王妃として共に歩み、この国をもっと笑顔で溢れる、平和な世界へ変えていきたい」
想いが伝わるように見つめていると、ルーカスはリラの手にそっと触れた。
「リラ。私はリラが好きだ。きみを幸せにしたい」
ルーカスの声が、少し震えていた。
リラは、気持ちが伝わるように、彼の右手の甲にキスをした。
「わたしも、ルーカスを幸せにしたいと思ってる」
ルーカスはリラに手を伸ばすと、抱きしめた。
「リラ、愛している。この先なにがあろうと、それは変わらない」
心が震えた。ルーカスが愛しくて、リラは彼をきつく抱きしめ返した。
心臓の音が速く、耳の鼓膜を叩く。
ゆっくりと、お互いの額をくっつけ合わせると、想いがこみ上げてきて、目の前が涙でにじんだ。
ほほえむと、ルーカスもほほえみを返してくれた。
目を閉じて、やさしく唇を重ねた。
恥ずかしくて目を逸らした刹那、ルーカスの右手の呪いの紋様が強く光りはじめた。
リラはぱっと顔を上げて彼を見た。
「ルーカスさま、どうしよう。痛みますか?」
「いや、痛くない」
今までにない強い光だった。呪いがルーカスを殺すのかと焦った。
でも次の瞬間、ルーカスの蔓の紋様が金色の煙のようにゆらりと皮膚から離れた。立ちこめた光りが次々と霧散していく。
ルーカスの顔や首に刻まれていた蔓の紋様は、跡形もなく消えてしまった。
「もしかして、呪いが……解けた?」
「うん。そうみたいだね」
「ルーカス、……よかった!」
跳び上がるくらい嬉しかった。彼に抱きつく。
「リラ、見て」
言われて周りを見ると、つぼみだったクレマチスが一つ、また一つと、ふわりと咲いていく。
驚いている間に、自分たちを中心に花開いていく。
「どうして? 呪いが、解けたから?」
「リラ、行こう」
ルーカスに手を引かれ、咲き乱れる庭を駆けていく。走った傍からクレマチスの大輪が大きく揺れた。
目的の塔のらせん階段を二人で一気に駆け上がる。
息を切らせながら、塔の端にルーカスと立った。
目の前に広がるのは、オースティン王国の王都スティンだ。
地面も建物もすべて蔓で覆われて緑一色だったのが、自分たちの足元を中心に輪が広がるように、赤や白、ピンク色の花が咲いていく。
「きれいですね」
「うん。きれいだ」
繋いだままの手をぎゅっと握る。
世界が変わるくらい幸せで、彼に出会えた運命に、感謝した。
夕日で空が黄金色に染まる。華やかで美しいクレマチスの花々を、肩を寄せたまま、しばらく眺め続けた。
「殿下が、三日も寝ていたからです。このまま目覚めなかったらどうしようかとずっと、心配で、不安だった」
「三日も? もしかして、リラはずっと、私についてくれていた?」
「もちろんです。……ルーカスの傍を離れたくなかったら」
「そうか……リラ、迷惑をかけた」
リラは小さく首を横に振った。
「こうして目覚めてくれたからいいよ」
ほほえみかけると、ルーカスの手がリラの目尻に伸びてきた。そっと、やさしく涙を拭ってくれる。
「きみは、立派だね。どこまでも主想いの騎士だ」
ルーカスの口から『騎士』と言われて、どきっとした。
リラは、こほんと咳払いを一つすると、姿勢を正した。
「殿下。わたし、殿下のことが好きです」
リラが告白すると、ルーカスの目が大きく見開かれた。彼は瞳を泳がせたあと、「ああ」とほほえんだ。
「親友としてか。ありがとう」
「……いや、殿下。ありがとうじゃなくて」
「俺も好きだよ」
ルーカスは、いつものようにさわやかな笑みを浮かべた。
やっと想いを伝えたのに、本人にちゃんと伝わっていないことは、恋愛経験が皆無のリラでもすぐにわかった。
「わたしは、ルーカスのことが好きだ」
「リラ、無理はしなくていいよ。気を遣われると悲しくなる」
「遣ってない」
どうしたら気持ちを表現できるんだろう。伝わるんだろうと考えていると、部屋のドアを強く叩く音が耳に届いた。
「リラさま、大変です! 外、見られましたか?」
ナタンのあわてる声にリラは立ち上がった。一番近くの窓から外を見る。
「うわ。なにこれ。蔓が……伸びている」
地上から伸びた蔓が、一晩で、二階にあるリラの部屋まで伸びてきていた。
見渡すかぎりの地面や壁が、蔓によって、緑色に染め上げられていた。
「まるで意思のある、生き物のようだ」
「蔓が、いきなり異常に伸びはじめたんです。このままでは、この城は、いえ、この国は蔓にすべて覆われてしまいます!」
ルーカスは、ドアに向かった。
「ナタン。総動員で、蔓の除去を」
「え、その声、ルーカス殿下ですか?」
リラがドアを開けてあげると、ナタンが転がるように部屋に入ってきた。
「殿下、回復したんですね。良かったです……!」
「すまない。昏睡していたようだ」
ルーカスを見つめるナタンは涙目だった。
「ナタン。話はあとだ」
「殿下、待って」
ルーカスがそのまま出て行こうとするのを、リラは止めた。
「ルーカスさまは三日間眠っていたんですよ。いきなり無理してはいけません」
「国が一大事だというのに、まだ寝ていろというの?」
ルーカスはリラに向かってほほえむと、静止を無視して部屋の外へ出た。リラとナタンはあわてて追った。
「殿下、どこへ行かれるんです?」
「見張り台の塔だ。蔓が王都のどこまで伸びているか、確かめに行く」
「塔ですね。ついていきます」
リラの申し出にルーカスは首を横に振った。
「塔には、ナタンと行く。リラは、すまないけど、蔓の除去作業を指揮して、手伝ってあげて」
「いいえ。わたしは殿下の傍を離れたくありません」
外の蔓が伸びていくように、ルーカスの身体を這う呪いの蔓も、じりじりと伸びている。
ルーカスが渋い顔で思案していると、ナタンが「では、こうしましょう」と割って入ってきた。
「塔にはお二人で行って下さい。私が蔓の除去を指示して、手伝って参ります」
「ナタン殿、良い案です。ルーカスさま、そうしましょう」
「……わかった・リラ、行こう」
「はいっ!」
ナタンとはそこで別れ、リラとルーカスは塔に向かって駆け出した。
二人は一旦外に出て、クレマチスの庭園へ向かった。庭を抜ければ、王都を見渡せる高い塔がある。
中庭のクレマチスも生育がよく、リラの背丈を超えるほどだった。ただ、どれもつぼみで咲いていない。
「ルーカス、大丈夫?」
胸を押さえながらルーカスは足を止めてしまった。首の蔓の紋様が、さっきよりも多く巻き付いている。
「少し、休みましょう」
東屋に着くと、ルーカスを座らせた。
リラは、ハンカチを取り出すと、ルーカスの額と頬の汗を拭っていく。
「こうしていると、幼いころ、初めて木登りをした時を思い出すね」
「わたしも今、それを思い出していました」
ルーカスはハンカチを持つリラの手をつかんだ。
「リラは、出会った時からかっこよかった。きみの騎士として成長していく姿は眩しく、戦う姿を見るのが楽しみだった。きみと出会って、王になる覚悟ができた」「私も、ルーカスと出会って、騎士になると決めた」
リラを見つめながらルーカスは目を細めた。
「この世界から戦いをなくすと決めたんだ。王太后には負けない。呪いにも、決して屈しない」
「わたしも同じ気持ちです」
リラはルーカスの手をぎゅっと握り返した。
「リラ、きみを信じている。だから、これからも騎士として、私の背を守ってくれ」
呪いで苦しいはずなのに、ルーカスはしっかりとした口調で言った。
ルーカスの思いに、ちゃんと答えようと思った。リラは彼の手を離すと、片膝を立ててしゃがんだ。頭を下げて地面を見つめる。
「ルーカスさま。わたしはもう、殿下の背を守れない」
「……理由は? どこか、怪我でもしている?」
顔を上げると、心配そうにのぞき込んでくるルーカスと目が合った。リラは彼に安心してもらおうと、ほほえみながら首を振った。
「わたし、リラ・オースティンは、王妃になるからです」
彼の目をまっすぐ見て、伝えた。
「ずっと、父みたいに強くなりたかった。騎士になって、殿下を守ることが、わたしの使命だと思っていた。ルーカスの力になれる方法が騎士以外、わからなかったからです。だけど、シャルロット姫と話して気がついた。剣を交えなくても、守れる方法があると」
「それが、王妃?」
リラは頷いた。
「王妃教育を受け、ルーカスの傍で過ごすうちに気づいたんです。国の命運と責任を、王一人に背負わせて良いんだろうかと。ルーカスの苦しみや悩みは、わたしにも分けて欲しい。一緒にみんなを幸せにしたいって思うようになりました」
リラは、ルーカスに向かって手のひらを上にして差し出した。
「ルーカスが、好きです。騎士としてあなたを護る。同時に、王妃として共に歩み、この国をもっと笑顔で溢れる、平和な世界へ変えていきたい」
想いが伝わるように見つめていると、ルーカスはリラの手にそっと触れた。
「リラ。私はリラが好きだ。きみを幸せにしたい」
ルーカスの声が、少し震えていた。
リラは、気持ちが伝わるように、彼の右手の甲にキスをした。
「わたしも、ルーカスを幸せにしたいと思ってる」
ルーカスはリラに手を伸ばすと、抱きしめた。
「リラ、愛している。この先なにがあろうと、それは変わらない」
心が震えた。ルーカスが愛しくて、リラは彼をきつく抱きしめ返した。
心臓の音が速く、耳の鼓膜を叩く。
ゆっくりと、お互いの額をくっつけ合わせると、想いがこみ上げてきて、目の前が涙でにじんだ。
ほほえむと、ルーカスもほほえみを返してくれた。
目を閉じて、やさしく唇を重ねた。
恥ずかしくて目を逸らした刹那、ルーカスの右手の呪いの紋様が強く光りはじめた。
リラはぱっと顔を上げて彼を見た。
「ルーカスさま、どうしよう。痛みますか?」
「いや、痛くない」
今までにない強い光だった。呪いがルーカスを殺すのかと焦った。
でも次の瞬間、ルーカスの蔓の紋様が金色の煙のようにゆらりと皮膚から離れた。立ちこめた光りが次々と霧散していく。
ルーカスの顔や首に刻まれていた蔓の紋様は、跡形もなく消えてしまった。
「もしかして、呪いが……解けた?」
「うん。そうみたいだね」
「ルーカス、……よかった!」
跳び上がるくらい嬉しかった。彼に抱きつく。
「リラ、見て」
言われて周りを見ると、つぼみだったクレマチスが一つ、また一つと、ふわりと咲いていく。
驚いている間に、自分たちを中心に花開いていく。
「どうして? 呪いが、解けたから?」
「リラ、行こう」
ルーカスに手を引かれ、咲き乱れる庭を駆けていく。走った傍からクレマチスの大輪が大きく揺れた。
目的の塔のらせん階段を二人で一気に駆け上がる。
息を切らせながら、塔の端にルーカスと立った。
目の前に広がるのは、オースティン王国の王都スティンだ。
地面も建物もすべて蔓で覆われて緑一色だったのが、自分たちの足元を中心に輪が広がるように、赤や白、ピンク色の花が咲いていく。
「きれいですね」
「うん。きれいだ」
繋いだままの手をぎゅっと握る。
世界が変わるくらい幸せで、彼に出会えた運命に、感謝した。
夕日で空が黄金色に染まる。華やかで美しいクレマチスの花々を、肩を寄せたまま、しばらく眺め続けた。
1
あなたにおすすめの小説
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
古堂 素央
恋愛
【完結】
「なんでわたしを突き落とさないのよ」
学園の廊下で、見知らぬ女生徒に声をかけられた公爵令嬢ハナコ。
階段から転げ落ちたことをきっかけに、ハナコは自分が乙女ゲームの世界に生まれ変わったことを知る。しかもハナコは悪役令嬢のポジションで。
しかしなぜかヒロインそっちのけでぐいぐいハナコに迫ってくる攻略対象の王子。その上、王子は前世でハナコがこっぴどく振った瓶底眼鏡の山田そっくりで。
ギロチンエンドか瓶底眼鏡とゴールインするか。選択を迫られる中、他の攻略対象の好感度まで上がっていって!?
悪役令嬢? 断罪ざまぁ? いいえ、冴えない王子と結ばれるくらいなら、ノシつけてヒロインに押しつけます!
黒ヒロインの陰謀を交わしつつ、無事ハナコは王子の魔の手から逃げ切ることはできるのか!?
何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています
鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。
指示を出さない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。
それなのに――
いつの間にか屋敷は落ち着き、
使用人たちは迷わなくなり、
人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。
誰かに依存しない。
誰かを支配しない。
それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。
必要とされなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
それでも、ここにいていい。
これは、
「何もしない」ことで壊れなかった関係と、
「奪わない」ことで続いていった日常を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【完結】うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい
らんか
恋愛
前世の記憶を思い出した今なら分かる。
ヒロインだからって、簡単に王子様を手に入れていいの?
婚約者である悪役令嬢は、幼い頃から王子妃になる為に、厳しい淑女教育を受けて、頑張ってきたのに。
そりゃ、高圧的な態度を取る悪役令嬢も悪いけど、断罪するほどの事はしていないでしょ。
しかも、孤独な悪役令嬢である彼女を誰も助けようとしない。
だから私は悪役令嬢の味方なると決めた。
ゲームのあらすじ無視ちゃいますが、問題ないよね?
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる