「甜麺醤」が読めなかったんです。

秋蒼

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3話「甜麺醤とは。」

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カズさんとゆたこちゃんと知り合って2ヶ月が経過……私たちのレベルも30を超えたところだった。
ほぼ毎日浮上してはレベリングしたりチャットでワイワイしたり資材集めしたり……とても楽しい日々を送っておりまする。
そんな中、ゲーム内では初の「大人数イベント」が開催されることになった。

大人数イベント……それは、いくつかのギルドたちが団結してイベントにしか登場しないモンスターを倒すという無難なクエスト。
ちなみにクリアしたらレアな武器が貰えるのだとか…?
これについて、私たち3人はチャットで話し合っていた。

カズ「この前予告されたイベント見た?」
しえ「あー、例の討伐クエ?」
カズ「そうそう、レアな武器欲しくない?」
ゆたこ「私すごく欲しい……」
しえ「でも、武器の種類とかは一切情報ないんでしょ?」
カズ「そうなんだけど、やっぱり欲しいじゃん…?」
しえ「……欲しい。」
ゆたこ「参加しましょ!?」
カズ「しーえー」
しえ「わかったわかった!やるって!」

武器の情報はないけれども、モンスターの詳細は出ていたので仕方なく参加することになりました……


それから3日後。


モンスターが現れるという草原に集まる多数のギルド。
私たち3人も準備を終わらせ待機していた…

「しえ、今何時?」

「えーっと、20時57分だよ」

「あと3分ですね……」

クエスト開始は21時から。
ほかのギルドメンバーたちも緊張してきたのか、チャットがかなりのスピードで更新されていた。

「たしか、短刀から打刀までが先制攻撃可能みたいだから、しえとゆたこがいけるんだっけ」

「はい、そこから敵の攻撃が来たら太刀以上が攻撃を受け止める役割をするとか聞いたような……」

「ひとまず、臨機応変に動いてたらいいと思うよ?」

私はそう言うと辺りを見回す。
その瞬間に空気が変わった……

エリアに鳴り響く鐘の音、それと共に空から何かが降ってきた。
それは、赤い鎧を纏った高さ3メートルくらいの武士だった。

名前「名も無き武士」
武器「大太刀」

頭上に簡単なステータスが現れたのを確認すると、作戦通りに短刀から打刀を装備したプレイヤーたちが斬りかかりにいく。

「せあっ!!」

短刀を装備した別のギルドメンバーが攻撃を初ヒットさせると武士はバランスを崩しその場に倒れた。
その瞬間に脇差を装備したゆたこちゃん含めた数人が攻めに行く。

「行きますよっ!!」

そういうとゆたこちゃんは武士の脇あたりの鎧の隙間へと突き攻撃を試みる。
ちなみに、ゆたこちゃんはスピード重視の装備を重ねているので脇差メンバーの中では最初に武士へ攻撃が出来た。

そして追いついた私を含めた打刀メンバーが頭をメインに斬りかかる。

「オラァっ!!」

男性プレイヤーが勢いよく突っ込むと打刀を水平に構えて斬撃を放つ。
……が。
武士はタイミング悪く起き上がり、斬撃を己の大太刀を振って消し去った。

「……チッ。」

ここから戦闘は長期戦となった。


~20分後~


初めは50人ほどいたのに、現在エリアに残ったプレイヤーはわずか8人。
私たちは誰一人死んでいないが、他のところでは1人になった人もいるようで……
とあるプレイヤーが武士に突っ込むと打刀を振り上げて一気にそれを振り下ろす。
武士は大太刀で攻撃を受け止めるとプレイヤーごとこちらに跳ね返した。

「おっと……」

運良くカズさんがプレイヤーを受け止めたおかげで、ダメージは軽減されていた。

「まだ、いけるかい?」

「…はい、ありがとうございます。」

そのプレイヤーは立ち上がると私たちを見た。

「私は、強くなりたくて1人でこのクエストに参加しましたが……なかなか難しいですね。」

「……なら、ここの4人でかけるかい?」

「カズさん?」

カズさんはニコリと笑うと武士を指さした。

「しえとゆたこはスピード高いし、二人で先に武士の足を狙う。そこからワイとこの人で頭を狙う……いけるでしょ?」

カズさん以外の3人はそれぞれの顔を見るとしばらく考えて……

「ま、カズさんが言うならやりますか。」

「やっちゃいましょ!」

「……協力させてもらいます!」

意見はまとまった。
あとは実行するのみ…!!

「じゃ……行ってこい!!」

カズさんの声が聞こえた瞬間私とゆたこちゃんは一気に走り出す。
武士の大太刀振り下ろし攻撃をあっさり避けると狙い通り足を狙う。

が、倒れない……

そして、私たちは武士の蹴り技を近距離から受けて飛ばされる。
体力残り2……回復しないと、でも今したら次仮に攻撃されたら防御出来ない……どうすr…

「ちょっと失礼!!」

「え!?」

「「ん!?」」

後ろの方で聞こえた声、振り向くとそこにはプレイヤーが1人立っているだけで……って、カズさんは?

『ギャァァアアア!!』

今度は武士が今までになかった雄叫びをあげた。
さらに振り向くと、そこには倒れた武士と地面に転がってるカズさんの姿が……

「今……何があったの?」

私が聞くと、プレイヤーがこちらに近づいてきた。

「私がカズさん?を武士まで投げました。」

「「投げた!?!?」」

私とゆたこちゃんが驚愕しているとカズさんが起き上がってこちらを見た。

「初対面のプレイヤー投げるとかすごいなもう……まぁ、倒せたみたいでよかったけど。」

その言葉を待っていたかのように、私たち含めた8人にメールが届いた。
そのメールにはアイテムも同封されており、見てみると例のレア武器のようだ……けど……

「これって……」

「このゲームって……」

「え……?」

このゲームは刀がメインのゲームのはず。
なのに同封されていた武器のジャンルは……

「銃(長距離型)」


「「「なんで!?」」」


3人が困惑してる中で、プレイヤーはすでにそれを装備していた。

「……これいいですね。」

見た目はどうやらスナイパーライフルと似たものらしく、銃にはスコープがついていた。

「せっかくだから、しばらく使ってみようと思います、あっ……ついでにこれ渡しておきますね」

プレイヤーは私たちに名刺を渡してきた。

プレイヤー名「ぬた」
武士「銃(長距離型)」
容姿「紫髪セミロング、水色目」

「では私はこれで……ありがとうございました…!」

と言うとぬたさんはそのまま街へ歩いていってしまう。
あっという間のこと過ぎて引き止める時間もなかった……

こうして私たちはクエストをクリアしたのだが、このゲームの行く末が心配になってきたのでした……

~続く~
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