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二十七、助太刀 一
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翌日。
気絶したまま寝いっていた銅吉は、明け六つには目を覚した。
あやかし達の姿はなく、自分が買い集めた道具もそのまま床に置かれていた。
いつまでもあやかし達に振りまわされているわけにはいかない。まずは、腹ごしらえだ。家を出て、井戸端に進み、しゃがんで大根と人参を洗いだした。
「おはよう」
おたみの声がして、顔を上げた。ゴボウを手にしたおたみが微笑んでいる。
「おはようございます。じき終わりますから」
「いいのよ、ゆっくりで。それより、珍しいね」
「えっ、そうですか」
「だって銅吉さん、滅多にここに来ないし」
何やらうなじがむずがゆい。あやふやに笑ってすませた。
「戯作、もう書けたの」
「い、いえ、まだまだです」
そこで、すでにきれいになった大根に際限なく水をかけていることにようやく気づいた。
「そう。あたしの知りあいで、楽しみにしてるって人がいたよ」
「ありがとうございます」
それは何より励みになる。もっとそういう話をしたいが、時間は貴重だった。
「終わりました。お待たせです」
「いえ、そんな。大した時間じゃなかったし。書きあがったら教えてね」
ただの社交辞令でないのは、長年のつきあいでわかっている。
いや。
長年のつきあいとはいえ、面とむかってちゃんと話をしたのは、ここ数日からだ。にもかかわらず、真意でいってくれているのが伝わってきた。
それは、実に嬉しくやりがいの出る一幕だ。とはいえ、本当は、これからしにいくことを知って欲しい。もちろん、自分から伝えることはできない。ただ、ひょっとしたら命のやり取りになりかねないことに突きすすむことを、おたみにこそ理解して欲しかった。不可能ではあるにしても。
「はい、それじゃ」
自分の内心を捨ておき、銅吉は井戸端から去った。そして唐突に気づいた。食事の礼を、改めて述べておけば良かった。さらにいうと、今度は自分がおごるとでも持ちかけておけば。後悔先に立たず、だ。自分で自分に腹を立てたが、どうにもならなかった。
それから半刻。
簡単な朝食をすませて、一休みしてから、道具をまとめて出発した。約束の時間より、少し早めではある。段取りのまとめ役として、誰よりも先に集合場所についておきたかった。
松森寺の境内は、いつもと同様、きれいに掃除されていた。かつては、自分もほうきを手にしたものだ。
「おはよう」
輪快が、声をかけてきた。
「おはようございます」
銅吉は、我ながら気負った挨拶をした。
「夕べは良く寝たか」
「はい」
あやかしのお陰で気絶させられた。いや、今にして思えば、緊張感でなかなか寝つけないのを見こしてわざとああしむけたのではあるまいか。
「お前がまっさきに来るのは、わかっていた。そこで、一つ申し渡しておく」
「はい」
「わしの身は、少なくともお前は、心配するな。今回の仕事で、わしができることはほとんどない」
「何をおっしゃいます、現に……」
「悪霊がかかわっているのはそうじゃが、わしの力がほとんど通用しない可能性も考えておかねばならん。唯一の手だては、お前じゃ」
「私……」
まさか、銭霊に気づいたのでもあるまい。
「お前は何度も墓石に近づき、その度に何事もなく帰ってきている。具体的な理由はわしにもわからん。ただ、悪霊がお前を避けていることは、結果論的に察せられる」
輪快の洞察力は、下手なあやかしよりはるかに強く頼もしい。同時に、ある種の後ろめたさも生じた。
「お前が、どのような仕組みで悪霊から避けられているかがはっきりすれば、もっと簡単にかたがつくじゃろう。その時まで、お前は自分の身を一番に守れ」
「和尚様、太助と左門次こそ……」
「わしと上坪殿が守る」
逆にいうと、銅吉は、良くも悪くも自分をこそ最優先にせねばならない。かねがね、太助達の安全に神経を尖らせていただけに、輪快の宣言はとてもありがたく、かつ、厳しかった。
「おはよう」
「おはようございます」
上坪、太助、左門次がそろって現れた。
「おお、三人同時か」
「輪快殿、さすがにお早い」
「いや、一番早かったのは銅吉じゃ」
一同の視線が、一気に自分に集中した。銅吉は、一つ大きな唾の塊を飲みくだした。
「道具は私が持っています。出発しましょう」
簡潔に、銅吉は促した。一同が黙ってうなずくのを見届け、彼は率先して路上を目指した。
墓場までは、何の問題もなく行きついた。誰も一言も喋らないままだったが、軽口が叩ける仕事でないから当たり前だ。
持参した風呂敷包みから、銅吉は金槌と鏨をそれぞれ太助と左門次に渡した。二人はうなずき、太助はお淀の、左門次は秀秋の墓石に早速取りかかった。
いざ始まると、低く重々しい音が木の枝葉を細かく揺らした。宿場からは距離があるし、まさか第三者が来ることもなかろう。
まだ春だというのに、太助と左門次の顔からはすぐに汗が吹きだしはじめた。墓石は、彼らが腕を振るう度にほんの少しずつ砕けては散っていく。
「風が妙に生ぬるいな」
上坪が、刀の柄に右手を乗せながら呟いた。全員に対する警告なのはいうまでもない。
「二人とも、作業を絶やさないでくれ」
銅吉は辺りに気を配りながらいった。
「合点承知の助」
太助は墓石から目を離さずに応えた。
「心配無用」
左門次も一言だけ返した。
その内に、輪快が鈴を出した。軽く瞑想し、鈴を鳴らしながら口の中で読経を始める。上坪は腰を落とし、あえて肩から力を抜いた。
「わらわの屋敷に何をするかーっ」
太助が持つ鏨の切っ先が、お淀の墓碑に差しかかったとき、当人が墓石から煙のように湧いて出てきた。
「うわぁっ、出たーっ」
さすがに、太助が腰を抜かした。
「悪霊め、成敗してくれる」
上坪が刀を抜き、お淀に斬りかかった。刃が首筋に届く寸前、別な刀が邪魔をして宙で食いとめられた。
「お前の相手は俺だ、下郎」
秀秋が、自らの墓石から上半身だけ出した格好で刀を握っている。
「こ、こっちもだ」
左門次も、手が止まらざるを得ない。
「二人とも心配するな。関ヶ原の裏切者め、武士の風上にも置けぬ。下郎とはうぬのことだ」
「ふんっ、そんな台詞はせめて万石取りになってから口にしろ」
武士は一万石を領して大名となる。生前の秀秋は、五十五万石の大大名であった。
「悪霊の生前自慢ほど虚しいものはないぞ」
いいすてて、上坪は秀秋の刀をじりじりと押しさげた。
「しゃらくさい」
秀秋は、墓石から完全に姿を出した。同時に刀を滑らせるようにして上坪から離れ、お淀もまた一歩後ろへ退いた。
「お前達、わらわの力を思いしるがいい」
お淀が右手の平を太助に向けた。
「しまった、お淀も戦えるのか」
「なめるな、下郎めが。今さら気づいても手遅れだ」
上坪は秀秋にかかりきりだ。
銅吉が、組みついてでもお淀を止めようかと考えた直後。猫の喚く声がした。どこからともなく現れた猫又が、お淀の右ふくらはぎに腰巻きごと噛みついた。
「ええいっ、邪魔をするなっ」
お淀の額から二本の角が伸び、眼尻が吊りあがりながらくわっと裂けて血走った。かと思ったら、うなじの襟元に右手を伸ばし、腰巻に隠す形で背負っていた薙刀を取りだす。長さは四尺ほどで、刃の部分には布が巻かれており、柄尻には小さな金具がある。腰巻の裏に、薙刀を固定するための布か何かが縫いつけてあるのだろう。
般若と化したお淀が薙刀の刃から布を外し、軽く足を振ると、猫又は口が外れて投げ飛ばされた。血は出ていないが、腰巻には歯型がついている。
「卑しい猫又めが、よくもわらわの足に傷をつけたな。許さん」
外したばかりの布を懐に納め、薙刀で宙を一回縦に斬ると、猫又は尻尾を振りあげて全身の毛を逆だたせた。
「ね、猫又」
「落ちつけ、太助。お淀に噛みついたのだから、あれは味方だ。それより、二人とも手を休めるな」
銅吉が檄を飛ばすと、二人の顔つきが一変した。銅吉は、ここで奮いたたない人間を仲間にした覚えはない。墓石は、それまでよりはるかに早く削れはじめた。
「死ねっ、下郎」
秀秋が、まっすぐに構えた刀で上坪に突きかかった。ぱっとかわした上坪は、小手を狙って短く斬りつけたものの、秀秋は左手を柄から離して両手を広げるようにして避けた。
気絶したまま寝いっていた銅吉は、明け六つには目を覚した。
あやかし達の姿はなく、自分が買い集めた道具もそのまま床に置かれていた。
いつまでもあやかし達に振りまわされているわけにはいかない。まずは、腹ごしらえだ。家を出て、井戸端に進み、しゃがんで大根と人参を洗いだした。
「おはよう」
おたみの声がして、顔を上げた。ゴボウを手にしたおたみが微笑んでいる。
「おはようございます。じき終わりますから」
「いいのよ、ゆっくりで。それより、珍しいね」
「えっ、そうですか」
「だって銅吉さん、滅多にここに来ないし」
何やらうなじがむずがゆい。あやふやに笑ってすませた。
「戯作、もう書けたの」
「い、いえ、まだまだです」
そこで、すでにきれいになった大根に際限なく水をかけていることにようやく気づいた。
「そう。あたしの知りあいで、楽しみにしてるって人がいたよ」
「ありがとうございます」
それは何より励みになる。もっとそういう話をしたいが、時間は貴重だった。
「終わりました。お待たせです」
「いえ、そんな。大した時間じゃなかったし。書きあがったら教えてね」
ただの社交辞令でないのは、長年のつきあいでわかっている。
いや。
長年のつきあいとはいえ、面とむかってちゃんと話をしたのは、ここ数日からだ。にもかかわらず、真意でいってくれているのが伝わってきた。
それは、実に嬉しくやりがいの出る一幕だ。とはいえ、本当は、これからしにいくことを知って欲しい。もちろん、自分から伝えることはできない。ただ、ひょっとしたら命のやり取りになりかねないことに突きすすむことを、おたみにこそ理解して欲しかった。不可能ではあるにしても。
「はい、それじゃ」
自分の内心を捨ておき、銅吉は井戸端から去った。そして唐突に気づいた。食事の礼を、改めて述べておけば良かった。さらにいうと、今度は自分がおごるとでも持ちかけておけば。後悔先に立たず、だ。自分で自分に腹を立てたが、どうにもならなかった。
それから半刻。
簡単な朝食をすませて、一休みしてから、道具をまとめて出発した。約束の時間より、少し早めではある。段取りのまとめ役として、誰よりも先に集合場所についておきたかった。
松森寺の境内は、いつもと同様、きれいに掃除されていた。かつては、自分もほうきを手にしたものだ。
「おはよう」
輪快が、声をかけてきた。
「おはようございます」
銅吉は、我ながら気負った挨拶をした。
「夕べは良く寝たか」
「はい」
あやかしのお陰で気絶させられた。いや、今にして思えば、緊張感でなかなか寝つけないのを見こしてわざとああしむけたのではあるまいか。
「お前がまっさきに来るのは、わかっていた。そこで、一つ申し渡しておく」
「はい」
「わしの身は、少なくともお前は、心配するな。今回の仕事で、わしができることはほとんどない」
「何をおっしゃいます、現に……」
「悪霊がかかわっているのはそうじゃが、わしの力がほとんど通用しない可能性も考えておかねばならん。唯一の手だては、お前じゃ」
「私……」
まさか、銭霊に気づいたのでもあるまい。
「お前は何度も墓石に近づき、その度に何事もなく帰ってきている。具体的な理由はわしにもわからん。ただ、悪霊がお前を避けていることは、結果論的に察せられる」
輪快の洞察力は、下手なあやかしよりはるかに強く頼もしい。同時に、ある種の後ろめたさも生じた。
「お前が、どのような仕組みで悪霊から避けられているかがはっきりすれば、もっと簡単にかたがつくじゃろう。その時まで、お前は自分の身を一番に守れ」
「和尚様、太助と左門次こそ……」
「わしと上坪殿が守る」
逆にいうと、銅吉は、良くも悪くも自分をこそ最優先にせねばならない。かねがね、太助達の安全に神経を尖らせていただけに、輪快の宣言はとてもありがたく、かつ、厳しかった。
「おはよう」
「おはようございます」
上坪、太助、左門次がそろって現れた。
「おお、三人同時か」
「輪快殿、さすがにお早い」
「いや、一番早かったのは銅吉じゃ」
一同の視線が、一気に自分に集中した。銅吉は、一つ大きな唾の塊を飲みくだした。
「道具は私が持っています。出発しましょう」
簡潔に、銅吉は促した。一同が黙ってうなずくのを見届け、彼は率先して路上を目指した。
墓場までは、何の問題もなく行きついた。誰も一言も喋らないままだったが、軽口が叩ける仕事でないから当たり前だ。
持参した風呂敷包みから、銅吉は金槌と鏨をそれぞれ太助と左門次に渡した。二人はうなずき、太助はお淀の、左門次は秀秋の墓石に早速取りかかった。
いざ始まると、低く重々しい音が木の枝葉を細かく揺らした。宿場からは距離があるし、まさか第三者が来ることもなかろう。
まだ春だというのに、太助と左門次の顔からはすぐに汗が吹きだしはじめた。墓石は、彼らが腕を振るう度にほんの少しずつ砕けては散っていく。
「風が妙に生ぬるいな」
上坪が、刀の柄に右手を乗せながら呟いた。全員に対する警告なのはいうまでもない。
「二人とも、作業を絶やさないでくれ」
銅吉は辺りに気を配りながらいった。
「合点承知の助」
太助は墓石から目を離さずに応えた。
「心配無用」
左門次も一言だけ返した。
その内に、輪快が鈴を出した。軽く瞑想し、鈴を鳴らしながら口の中で読経を始める。上坪は腰を落とし、あえて肩から力を抜いた。
「わらわの屋敷に何をするかーっ」
太助が持つ鏨の切っ先が、お淀の墓碑に差しかかったとき、当人が墓石から煙のように湧いて出てきた。
「うわぁっ、出たーっ」
さすがに、太助が腰を抜かした。
「悪霊め、成敗してくれる」
上坪が刀を抜き、お淀に斬りかかった。刃が首筋に届く寸前、別な刀が邪魔をして宙で食いとめられた。
「お前の相手は俺だ、下郎」
秀秋が、自らの墓石から上半身だけ出した格好で刀を握っている。
「こ、こっちもだ」
左門次も、手が止まらざるを得ない。
「二人とも心配するな。関ヶ原の裏切者め、武士の風上にも置けぬ。下郎とはうぬのことだ」
「ふんっ、そんな台詞はせめて万石取りになってから口にしろ」
武士は一万石を領して大名となる。生前の秀秋は、五十五万石の大大名であった。
「悪霊の生前自慢ほど虚しいものはないぞ」
いいすてて、上坪は秀秋の刀をじりじりと押しさげた。
「しゃらくさい」
秀秋は、墓石から完全に姿を出した。同時に刀を滑らせるようにして上坪から離れ、お淀もまた一歩後ろへ退いた。
「お前達、わらわの力を思いしるがいい」
お淀が右手の平を太助に向けた。
「しまった、お淀も戦えるのか」
「なめるな、下郎めが。今さら気づいても手遅れだ」
上坪は秀秋にかかりきりだ。
銅吉が、組みついてでもお淀を止めようかと考えた直後。猫の喚く声がした。どこからともなく現れた猫又が、お淀の右ふくらはぎに腰巻きごと噛みついた。
「ええいっ、邪魔をするなっ」
お淀の額から二本の角が伸び、眼尻が吊りあがりながらくわっと裂けて血走った。かと思ったら、うなじの襟元に右手を伸ばし、腰巻に隠す形で背負っていた薙刀を取りだす。長さは四尺ほどで、刃の部分には布が巻かれており、柄尻には小さな金具がある。腰巻の裏に、薙刀を固定するための布か何かが縫いつけてあるのだろう。
般若と化したお淀が薙刀の刃から布を外し、軽く足を振ると、猫又は口が外れて投げ飛ばされた。血は出ていないが、腰巻には歯型がついている。
「卑しい猫又めが、よくもわらわの足に傷をつけたな。許さん」
外したばかりの布を懐に納め、薙刀で宙を一回縦に斬ると、猫又は尻尾を振りあげて全身の毛を逆だたせた。
「ね、猫又」
「落ちつけ、太助。お淀に噛みついたのだから、あれは味方だ。それより、二人とも手を休めるな」
銅吉が檄を飛ばすと、二人の顔つきが一変した。銅吉は、ここで奮いたたない人間を仲間にした覚えはない。墓石は、それまでよりはるかに早く削れはじめた。
「死ねっ、下郎」
秀秋が、まっすぐに構えた刀で上坪に突きかかった。ぱっとかわした上坪は、小手を狙って短く斬りつけたものの、秀秋は左手を柄から離して両手を広げるようにして避けた。
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