ホームセンター店員、過労死して異世界へ。聖剣もフォークリフトも俺にはただの「道具」ですが?【ウェポンズマスター】のDIY無双

月神世一

文字の大きさ
58 / 77
第六章 ヤサイマシマシニンニクアブラカラメと紅蓮の地獄龍

EP 8

しおりを挟む
アジト強襲
​ 犯罪者集団『ナンバーズ』のアジト、司令室。
 無機質な白い壁と、最新鋭のモニター群に囲まれたその空間は、冷ややかな静寂――いや、凍りつくような沈黙に支配されていた。
​ リーダーであるナンバー0(ギアン・アルバード)は、手に持っていた高級チョコレートを口に運ぶことすら忘れ、メインモニターを凝視していた。
​「……な、なんだこれは?」
​ 画面に映し出されているのは、敵との激しい攻防ではない。
 泡を吹いて気絶し、股間を濡らして倒れている最強の部下、ナンバー1(ヴォルフ)の無様な姿だ。
 そして、その周囲には、同じく失禁して全滅した戦闘員たちの死屍累々(気絶)が転がっている。
​「戦わずして……漏らした、だと?」
​ 0の手からチョコレートが滑り落ち、床に転がった。
 理解不能だ。
 1は組織最強の戦闘力を持つ男だ。それが、魔法一発撃つこともなく、ただ上空の『何か』に怯えて自滅したというのか。
​「ありえない……。僕のシナリオに、こんな茶番は……!」
​ その時だった。
​ ウゥゥゥゥゥゥゥゥ――ッ!!
​ 司令室に、けたたましい警報音が鳴り響いた。
 照明が赤色に切り替わり、オペレーターたちの悲鳴のような報告が飛び交う。
​「こ、高エネルギー反応接近! 速度、計測不能! こっちに来ます!」
「馬鹿な! このアジトは地下深くに隠蔽されているんだぞ! 場所が特定されるはずが……」
​ 0が叫んだ、その直後。
​ ズガァァァァァァァァァァンッ!!!!
​ 天地がひっくり返るような衝撃が、アジト全体を襲った。
 モニターが爆発し、天井から瓦礫が降り注ぐ。
 0は椅子ごと床に投げ出され、無様に転がった。
​「ぐっ……!? な、何が起きた!?」
​「ほ、報告! 第一防衛ライン突破! 第二、第三も……紙切れみたいに破られていますッ! 物理障壁、魔法結界、全滅ッ!」
​ オペレーターが絶叫する。
 このアジトは、旧王国の軍事要塞を改修した鉄壁の守りを誇っていたはずだ。
 それが、わずか数秒で?
​「来る……! 本丸(ここ)に来るぞぉぉッ!」
​ メリメリメリメリッ……!
​ 頭上で、何かが引き裂かれる音がした。
 分厚いコンクリートと特殊合金でできた天井が、まるで缶詰の蓋のように、強引に『こじ開けられて』いく。
​ ギャアアアアアンッ!!
​ 金属の悲鳴と共に、天井が吹き飛んだ。
 地下深いはずの司令室に、突如として眩い『赤』が差し込んだ。
 それは太陽の光ではない。
 地獄の業火の輝きだ。
​「……ひッ」
​ 0は床を這いながら、空いた穴を見上げた。
 そこに『それ』はいた。
​ 空を覆い尽くすほどの巨大な翼。
 溶岩のように脈打つ真紅の鱗。
 そして、ビルほどもある巨大な頭部が、穴からヌッと司令室の中を覗き込んでいた。
​『……見ツケタゾ。薄汚イ害虫メ』
​ 紅蓮の地獄龍(クリムゾン・ヘル・ドラゴン)。
 その黄金の瞳が、0という小さな存在をロックオンした。
 吐き出される息だけで、室内の気温が一気に数百度まで上昇し、プラスチックの機材が溶解を始める。
​「ば……化け物……」
​ 0は震える唇で呟いた。
 Aランク? Sランク?
 いや、そんな次元ではない。これは『天災』だ。
 たかがラーメン屋の騒音トラブルへの報復にしては、あまりにも過剰すぎる戦力。
​『我ガ主ノ食事ヲ邪魔シタ罪ハ重イ。……死デ償エ』
​ 龍が口を大きく開けた。
 喉の奥で、太陽のコアのような光が凝縮されていく。
 極大ブレスの予備動作。
​「ま、待て……! 話し合おう! 僕は選ばれし者だぞ!?」
​ 0は錯乱して叫んだ。
 だが、龍は聞く耳を持たない。
 圧倒的な『死』が、秒読み段階に入っていた。
​「くそっ……! くそぉぉぉッ!!」
​ 0は最後の手段に出た。
 自身のユニークスキル、【未来予知(ラプラス)】。
 数秒先の未来を視て、この絶体絶命の状況から生き残る『正解ルート』を探し出す。
​「見えろ! 生き残る未来が! 僕が勝つ未来が!!」
​ 0の瞳が怪しく輝き、彼の脳内に無数の未来の分岐図が展開された。
 だが、それが彼にとっての本当の地獄の始まりだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます! ※AI学習禁止・無断転載禁止・無断翻訳禁止・無断朗読禁止

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...