異世界転生×ユニークスキル 地球ショッピングで無双する!?【感謝!第四章 大陸への戦火 開幕!】

月神世一

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第二章 マルシア帝国へ

EP 36

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竜の意地と獅子の誇り
キャルルの試合から数試合後、コロッセオ・アウストラの一角が、ひときわ大きな歓声に包まれた。掲示板に、次の対戦カードが映し出されたのだ。
【第四闘技場 第七試合:イグニス・ドラグーン 対 ライオット】
「うおおお!」「いきなり優勝候補同士の潰し合いか!」「どっちが勝つんだ!?」
観客のボルテージは最高潮に達している。選手待機エリアでその組み合わせを知った勇太と、治療を終えたキャルル、そして観客席のリーシャの顔にも緊張が走る。
闘技場の中央で、竜人のイグニスと獅子耳族のライオットが対峙する。模擬武器とはいえ、イグニスの持つ巨大な戦斧と大盾、そしてライオットが肩に担ぐ両手剣は、凄まじい威圧感を放っていた。
「始め!」
審判の合図と同時に、二つの巨体が激突した。
イグニスは、持ち前のパワーを活かして戦斧を振り回すが、ライオットはそれを軽々と、しかし確実に見切り、両手剣で受け流していく。ライオットの桁外れの動体視力は、イグニスの直線的な攻撃の軌道を完全に見抜いていた。
「遅い! 重い! そんな攻撃が俺に当たるか!」
ライオットはイグニスの攻撃を捌きながら、逆に両手剣で猛烈な反撃を開始する。その一撃一撃は、イグニスのパワーに勝るとも劣らない重さを持っていた。
「ぐっ……!」
イグニスは大盾で必死に防ぐが、徐々に後退させられていく。最初は、明らかにライオットがイグニスを押していた。
(くそっ……強い! こいつ、俺様と同じ……いや、それ以上のパワーファイターだ! それに、動きが全部読まれてやがる……!)
焦りと、じりじりと追い詰められる屈辱。その時、イグニスの脳裏に、先ほど勇太の胸で泣いていたキャルルの姿が浮かんだ。
そうだ、俺は……!
「悪いがよぉ……! 俺は、キャルルの分まで、仲間の分迄、絶対に勝たなきゃいけないんだよ!」
イグニスは、獣のような咆哮を上げた。そして、彼は信じられない行動に出る。
ゴオオオッ!
彼は、構えた戦斧を手放し、自らの口から吐き出した灼熱の火炎を、己の体へと浴びせかけたのだ!
「なっ!?」
選手待機エリアで見ていた勇太たちが息をのむ。
「馬鹿な!? 自分のブレスを浴びるだと!? 死ぬぞ!?」
対峙していたライオットも、その常軌を逸した行動に驚愕の声を上げた。
だが、イグニスは燃え盛る炎の中で、苦痛に顔を歪めながらも、確かに笑っていた。炎は彼の闘気と混じり合い、やがて彼の全身に、血のように燃え盛る紅蓮の闘気を纏わせる。竜人族に伝わる、命を削る禁じ手だった。
「うるせぇぇぇぇ! 死ぬかどうかは、俺が決める!!」
紅蓮の闘気を纏ったイグニスは、地面に落ちていた戦斧を再び拾い上げ、その刃に炎と闘気の全てを集中させる。
「行くぜえええええ! イグニス・ブレイクッッ!!」
もはやそれは、技とは呼べないほどの、純粋な破壊の意思そのものだった。
イグニスは、紅蓮の流星となってライオットに突進し、その巨大な斬りをぶちかました。
ライオットは、その超人的な動体視力で反応し、両手剣で防御の体勢を取った。だが、命を燃やして放たれた一撃の、あまりにも圧倒的な質量と熱量を、受け止めきることはできなかった。
バギィィィンッ!という凄まじい音と共に、鉄木製の両手剣が砕け散り、ライオットの巨体は、まるで木の葉のように吹き飛ばされ、闘技場の壁に叩きつけられた。
「ぐあああっ……!」
ライオットは、短い呻き声を上げて気を失う。
闘技場は、一瞬の静寂に包まれた。そして、目の前の光景が信じられないといった様子で立ち尽くしていた審判が、震える声で叫んだ。
「し、しょ、勝者、イグニス・ドラグーーン!!」
その言葉を合図に、観客から、この日一番の大歓声が響き渡る。
紅蓮の闘気がゆっくりと消え、全身から煙を上げながらも、イグニスは天に向かって勝利の雄叫びを上げた。その姿は、まさに傷だらけの竜王のようだった。
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