異世界転生×ユニークスキル 地球ショッピングで無双する!?【感謝!第四章 大陸への戦火 開幕!】

月神世一

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第三章 マルストア領へ

EP 41

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湯けむりの楽園と至福の宴
ドルグとダボルグ、そしてマルストアの民たちの獅子奮迅の働きにより、『マルストアの湯』は驚くべき短期間で完成した。その柿落とし(こけらおとし)の日、勇太たちは、自分たちで生み出した楽園を体験すべく、のれんをくぐった。
男湯にて
「うし、イグニス! 風呂の前に、まずはこっちだ!」
「おう!」
勇太に案内され、イグニスが足を踏み入れたのは、木の香りが満ちる高温の小部屋――サウナだった。
「ぐぅっ……! な、なんだこの部屋は! 暑い! 暑いぜぇ!」
竜人であるイグニスですら、その全身を焼くような乾いた熱気には、思わず呻き声を上げる。
「一回12分が目安だ。もちろん個人差はあるがな。いいか、イグニス。サウナとは、己の限界との戦いだぞ」
勇太が、まるで師範のように、厳かに告げる。
「はぁ……はぁ……。お、おう。自分との、戦い……。そ、そんなに奥が深いのか、サウナとは……!」
単純なイグニスの瞳に、闘志の炎が宿った。彼は、滴り落ちる汗をものともせず、仁王立ちでその熱に耐え始める。
そして、限界の12分後。
「よし、そこまで! 出るぞ! まずは汗を流して、そこの水風呂に……どぼんだ!」
「ひゃあああああああああッ!」
熱いきった体に、氷のように冷たい水が突き刺さる。イグニスの絶叫が響き渡るが、その苦痛は一瞬。次の瞬間には、全ての疲れが消え去り、頭が冴え渡るような、極上の感覚が彼を包んでいた。
「……こ、こりゃあ……最高だ……」
勇太とイグニスは、男の友情を深めながら、サウナの奥義を心ゆくまで満喫した。
女湯にて
一方、キャルルとリーシャは、薄暗く、静かで、穏やかな熱が満ちる部屋――岩盤浴で、温められた滑らかな石の上に寝そべっていた。
「あぁ~……気持ちいい~……。ぽかぽかしてて、これは体の芯から温まりますね……」
キャルルは、うっとりとした表情で、すっかりリラックスしている。
「ええ……。じんわりと汗が出てくるのが、また良いわね。これは……癖になりそうよ」
リーシャも、普段の緊張を解きほぐし、心からの安らぎに身を委ねていた。
湯上がりの宴
すっかり心身ともにリフレッシュした一行は、浴衣に着替え、広々とした食事処で合流した。
「くぅ~! 港から直送の、新鮮な活け造りだ! やっぱり風呂上がりはこれだよな、旨い旨い!」
「これに、キンキンに冷えたビールが……くぅ~~~っ! たまらんぜ!」
勇太とイグニスが、新鮮な海の幸とビールに舌鼓を打つ。
「勇太さん……。キャルル、今、とっても幸せですよぉ……」
キャルルは、火照った頬のまま、とろけるような笑顔で勇太に寄り添う。
「ふふ。勇太、私には冷酒をちょうだい。……あぁ、本当に、幸せだわ」
リーシャも、優雅に杯を傾けながら、心から満足げに微笑んだ。
自分たちの知識と努力で作り上げた楽園で、最高の仲間たちと、最高の時間を過ごす。
それは、何物にも代えがたい、至福のひとときだった。
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