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EP 39
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首無しの騎士、絶望の剣技、そして砕けぬ闘志
数多の罠と、悪趣味なモンスターの群れを連携で突破してきた真守たち一行は、ついにダンジョン第一階層の最深部と思しき、巨大な黒曜石の扉の前にたどり着いた。扉には、禍々しくも美しい、泣き叫ぶ天使と嘲笑う悪魔が絡み合うレリーフが刻まれており、その奥から漏れ出す冷気は、これまでの通路とは比較にならないほど濃密な魔力を帯びている。
「……ここから先が、ボスって奴か」
真守は「王帝」を握り直し、ゴクリと唾を飲んだ。
デュラスは、扉にそっと手を触れ、その魔力の質を分析していた。
「ああ。ギルドの情報によれば、この扉の先に到達したパーティはまだ一つもいない。この奥に何が待ち構えているか、完全に未知数だ」
その言葉に、エルミナはぎゅっと盾を握りしめた。
「怖い、ですわ……。でも、マモル様たちと一緒なら、きっと勇気が湧いてきます!」
「そうだよ!ここまで来たんだもん、私達にかかれば、どんなボスだって簡単よ~!」
フィリアは、あえて明るく、自信満々にそう言って仲間たちを鼓舞した。
「よ、よし……行くか!」
真守の決意の言葉と共に、四人は巨大な黒曜石の扉を押し開けた。
その先は、広大な円形の闘技場のような空間だった。天井はドーム状に高く、壁際には不気味な石像が並び、等間隔に置かれた燭台の炎が、ゆらゆらと不気味な影を踊らせている。
そして、その中央に――ソレは立っていた。
全身を、怨念が染み付いたかのような漆黒の鎧で覆った、一体の騎士。しかし、その肩の上にあるはずの頭部が存在しなかった。首の切断面からは、時折、黒い霧のようなものがゆらめき、その手には、両刃の巨大な魔剣が握られている。
「な、何だ……?頭が、ない……」
真守が呆然と呟いた、その瞬間だった。
「――来るぞ!」
デュラスの鋭い警告が響く。
首無し騎士は、音もなく、しかし恐るべき速度で真守たちとの距離を詰めていた!その動きには一切の予備動作がなく、まるで滑るように移動してくる。
「はぁっ!」
真っ先に反応したのはエルミナだった。彼女は聖盾を構え、騎士の振り下ろす魔剣を正面から受け止める。
ガギィィィィィンッ!!
凄まじい金属音と衝撃。
「くっ……!?」
エルミナは、その一撃の重さに顔を歪ませ、数歩後ずさった。聖騎士である彼女の防御を、いとも簡単に押し込むほどのパワー。
真守も即座に「王帝」で追撃を仕掛けるが、首無し騎士は死角のない完璧な剣技でそれを弾き、返す刃で鋭い斬撃を繰り出してきた。
「つ、強い!剣筋が全く読めない!」
感情も、視線も、重心移動の癖もない。ただ純粋な「殺意」だけが込められた剣技に、相手の力を利用する合気道の理合が通用しづらく、真守は防戦一方に追い込まれる。
前衛の二人が苦戦している間に、後方でフィリアが弓を引き絞っていた。彼女の「鷹の目」が、高速で動く騎士の鎧の、僅かな継ぎ目を捉えている。全神経を集中させ、闘気を矢に込めていく。矢の先端が、螺旋状の眩い光を纏った。
「エルミナさん、マモル!一瞬だけ、動きを止めて!」
フィリアの叫びに応え、エルミナと真守が同時に騎士の動きを牽制する。
「――今っ!」
その一瞬の隙を見逃さず、フィリアが叫んだ。
「喰らいなさいっ! スパイラルアローッ!!」
放たれた闘気の矢は、空気を切り裂き、寸分の狂いもなく首無し騎士の胸の中心――鎧の継ぎ目を貫いた!
ガシャァン!という確かな手応え。
「やった!」
フィリアが勝利を確信した、その時だった。
胸を貫かれ、矢が突き立ったままの首無し騎士は、しかし、全く怯んだ様子を見せない。それどころか、その身から放たれる黒い霧をさらに増し、先程よりも激しい剣技でエルミナと真守に襲いかかってきたのだ。
「何ぃ!?死なないのか!?」
真守の驚愕の声が響く。
「厄介ですわ……!物理的なダメージが、ほとんど通じていないようです!」
エルミナも、必死に魔剣を受け止めながら叫んだ。
デュラスは、後方で冷静に戦況を分析していた。
(首がない、つまり脳も心臓もない。生命活動によって動いているのではない。これは、強大な魔力か呪いによって動かされている一種の『魔法生物』……あるいは、この鎧そのものが本体か!)
フィリアの会心の一撃ですら、決定打にならない。ただのアンデッドではない、この不死の番人を前に、真守たちは初めて、S級ダンジョンの本当の恐ろしさを味わうことになった。
キュルリンの創り出した悪趣味な傑作は、挑戦者たちに問いかける。
――どうやって、死なない敵を、殺すのか?と。
絶望的な強さを誇る最初の門番を前に、真守たちの真の連携と知略が、今、試されようとしていた。
数多の罠と、悪趣味なモンスターの群れを連携で突破してきた真守たち一行は、ついにダンジョン第一階層の最深部と思しき、巨大な黒曜石の扉の前にたどり着いた。扉には、禍々しくも美しい、泣き叫ぶ天使と嘲笑う悪魔が絡み合うレリーフが刻まれており、その奥から漏れ出す冷気は、これまでの通路とは比較にならないほど濃密な魔力を帯びている。
「……ここから先が、ボスって奴か」
真守は「王帝」を握り直し、ゴクリと唾を飲んだ。
デュラスは、扉にそっと手を触れ、その魔力の質を分析していた。
「ああ。ギルドの情報によれば、この扉の先に到達したパーティはまだ一つもいない。この奥に何が待ち構えているか、完全に未知数だ」
その言葉に、エルミナはぎゅっと盾を握りしめた。
「怖い、ですわ……。でも、マモル様たちと一緒なら、きっと勇気が湧いてきます!」
「そうだよ!ここまで来たんだもん、私達にかかれば、どんなボスだって簡単よ~!」
フィリアは、あえて明るく、自信満々にそう言って仲間たちを鼓舞した。
「よ、よし……行くか!」
真守の決意の言葉と共に、四人は巨大な黒曜石の扉を押し開けた。
その先は、広大な円形の闘技場のような空間だった。天井はドーム状に高く、壁際には不気味な石像が並び、等間隔に置かれた燭台の炎が、ゆらゆらと不気味な影を踊らせている。
そして、その中央に――ソレは立っていた。
全身を、怨念が染み付いたかのような漆黒の鎧で覆った、一体の騎士。しかし、その肩の上にあるはずの頭部が存在しなかった。首の切断面からは、時折、黒い霧のようなものがゆらめき、その手には、両刃の巨大な魔剣が握られている。
「な、何だ……?頭が、ない……」
真守が呆然と呟いた、その瞬間だった。
「――来るぞ!」
デュラスの鋭い警告が響く。
首無し騎士は、音もなく、しかし恐るべき速度で真守たちとの距離を詰めていた!その動きには一切の予備動作がなく、まるで滑るように移動してくる。
「はぁっ!」
真っ先に反応したのはエルミナだった。彼女は聖盾を構え、騎士の振り下ろす魔剣を正面から受け止める。
ガギィィィィィンッ!!
凄まじい金属音と衝撃。
「くっ……!?」
エルミナは、その一撃の重さに顔を歪ませ、数歩後ずさった。聖騎士である彼女の防御を、いとも簡単に押し込むほどのパワー。
真守も即座に「王帝」で追撃を仕掛けるが、首無し騎士は死角のない完璧な剣技でそれを弾き、返す刃で鋭い斬撃を繰り出してきた。
「つ、強い!剣筋が全く読めない!」
感情も、視線も、重心移動の癖もない。ただ純粋な「殺意」だけが込められた剣技に、相手の力を利用する合気道の理合が通用しづらく、真守は防戦一方に追い込まれる。
前衛の二人が苦戦している間に、後方でフィリアが弓を引き絞っていた。彼女の「鷹の目」が、高速で動く騎士の鎧の、僅かな継ぎ目を捉えている。全神経を集中させ、闘気を矢に込めていく。矢の先端が、螺旋状の眩い光を纏った。
「エルミナさん、マモル!一瞬だけ、動きを止めて!」
フィリアの叫びに応え、エルミナと真守が同時に騎士の動きを牽制する。
「――今っ!」
その一瞬の隙を見逃さず、フィリアが叫んだ。
「喰らいなさいっ! スパイラルアローッ!!」
放たれた闘気の矢は、空気を切り裂き、寸分の狂いもなく首無し騎士の胸の中心――鎧の継ぎ目を貫いた!
ガシャァン!という確かな手応え。
「やった!」
フィリアが勝利を確信した、その時だった。
胸を貫かれ、矢が突き立ったままの首無し騎士は、しかし、全く怯んだ様子を見せない。それどころか、その身から放たれる黒い霧をさらに増し、先程よりも激しい剣技でエルミナと真守に襲いかかってきたのだ。
「何ぃ!?死なないのか!?」
真守の驚愕の声が響く。
「厄介ですわ……!物理的なダメージが、ほとんど通じていないようです!」
エルミナも、必死に魔剣を受け止めながら叫んだ。
デュラスは、後方で冷静に戦況を分析していた。
(首がない、つまり脳も心臓もない。生命活動によって動いているのではない。これは、強大な魔力か呪いによって動かされている一種の『魔法生物』……あるいは、この鎧そのものが本体か!)
フィリアの会心の一撃ですら、決定打にならない。ただのアンデッドではない、この不死の番人を前に、真守たちは初めて、S級ダンジョンの本当の恐ろしさを味わうことになった。
キュルリンの創り出した悪趣味な傑作は、挑戦者たちに問いかける。
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