異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

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EP 43

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妖精の抜け道、地下の聖域、そして二重の封印
首無し暗黒騎士が遺した荘厳な宝箱。その中身を巡るレオパルド騎士団との一悶着を乗り越え、真守たちは改めて戦利品の分配(というよりは、今後の活動資金として一括管理すること)について話し合っていた。
問題は、伝説級のアイテムである「不死の華」と、山のような金銀財宝を、どうやって外にいるかもしれない騎士団の目をごまかして運び出すか、だった。
「どうしたものか……」真守が腕を組んで唸っていると、デュラスが宝箱のあった場所の床を杖でコツンと叩いた。
「マモル、これを見ろ」
デュラスが指し示した場所の石畳が、ひとりでに動き出し、下へと続く滑らかな石の階段が現れたのだ。そこからは、外の森の空気が流れてきている。
「な、なんだこれ!?隠し通路!?」
「くふふ、妾の用意したご褒美を、外で待ってるハイエナ共に横取りされるのは面白くないからのう。試練を乗り越えた者だけが使える、秘密の近道というわけじゃ!」
どこからともなく、キュルリンの楽しげな声が響き渡った。
「……あの妖精、見てたのか。どこまでお節介なんだか」真守は呆れながらも、その配慮に感謝した。「よし、時間短縮ってわけだ。ここから出よう!」
キュルリンの用意した「専用脱出ルート」は、彼女の性格を反映したかのように、遊び心に満ちていた。途中、なぜか急勾配の滑り台になっていたり、無重力のようにふわふわと浮遊する空間があったりしたが、結果的に彼らはダンジョンの入り口からかなり離れた、森の奥深くへと無事に出ることができた。
フィリアの「鷹の目」とデュラスの魔力探知で周囲を慎重に探ったが、騎士団の気配はどこにもない。どうやら、彼らとの遭遇を完全に回避できたようだ。
「よし、今のうちに『不死の華』を俺の家に持って帰って、安全な場所に保管しよう。こんな物騒なもの、持ち歩いてるだけで危険だ」
真守の提案に、仲間たちは頷いた。
「マイホーム」に戻った一行は、まっすぐに一階のパントリー(食品庫)へと向かった。
「マモル、一体どこに隠すつもりなんだい?この家が安全なのは分かるけど……」
フィリアの疑問に、真守はニヤリと笑い、パントリーの床の一角を指差した。そこには、床板と木目が完全に一致した、巧妙な隠しハッチが設えられていた。
「ここだよ。俺の家の、最後の切り札だ」
ハッチを開けると、地下へと続く螺旋階段が現れる。仲間たちが初めて足を踏み入れる、マイホームの最大の秘密――地下シェルターだ。
「こ、これは……!?」
「地下に、こんな広大な空間が……!?」
フィリアとデュラスが絶句し、エルミナも「なんと堅牢な造り……まるで天界の要塞のようですわ」と息を呑む。
長期滞在可能な居住設備、膨大な備蓄品、そして魔法とは異なる原理で動く自家発電システムや空気循環装置。その光景は、彼らの常識を再び破壊するのに十分すぎるものだった。
「さて、と」
真守は、シェルターの一番奥にある、重厚な鋼鉄製の金庫の前に立った。
「ここに『不死の華』を保管する。だが、ただ入れるだけじゃ不十分だ。デュラス、エルミナ、頼みがある」
真守の意図を即座に理解した二人は、頷き合った。
デュラスは金庫の前に立ち、その深紅の瞳に禍々しいほどの魔力を宿らせる。
「――深淵の理よ、我が契約に応えよ。視る者を惑わし、触れる者を蝕む、万劫の封印をここに刻む!」
古代魔族語の呪文と共に、デュラスの手から黒と深紅の魔力が渦を巻いて放たれ、金庫の扉に複雑怪奇な魔方陣を描き出していく。それは、探知魔法を歪め、物理的にこじ開けようとする者に呪いをもたらす、強力な封印術だった。
続いて、エルミナがデュラスの隣に立ち、祈りを捧げるように静かに目を閉じた。
「――聖なる光よ、我が祈りを聞き届けたまえ。いかなる邪悪も寄せ付けぬ、清浄なる守護の結界をここに」
彼女の全身から、清らかで温かな黄金色の神気が溢れ出し、金庫を優しく包み込む。デュラスの禍々しい魔方陣の上に、天使の翼を模した美しい光の紋様が重なるように浮かび上がった。それは、邪悪な存在の干渉を一切退ける、聖なる守りの結界。
魔族の呪術と、天使の聖術。
本来、決して交わることのないはずの相反する二つの力が、この金庫の上で奇跡的な調和を果たした。互いの弱点を補い合い、単独では決して成し得ない、解析不能にして侵入不可能な「二重封印」が完成した瞬間だった。
「ふん、これで並の探知魔法では、この金庫の存在すら感知できまい」
デュラスが、額の汗を拭いながら言う。
「はい。そして私の聖なる結界が、いかなる邪悪な存在の干渉も退けますわ」
エルミナも、少し疲れた様子ながら、満足げに微笑んだ。
「すごい……デュラスさんとエルミナさんの力が合わされば、大陸最強の金庫だね!」
フィリアは、その光景に素直な感嘆の声を上げた。
「ありがとう、二人とも。本当に助かった。これで一安心だ」
真守は、仲間たちに心からの感謝を述べた。
しかし、同時に思う。
(……こんな物騒なものを、俺たちは抱え込んでしまったんだな)
「不死の華」という、あまりにも大きすぎる「飴」。それは、彼らの立場を強固にする切り札であると同時に、新たな争いの火種になる可能性を秘めている。
ひとまずの安全を確保した一行は、地下シェルターを後にし、リビングで改めてささやかな祝杯をあげることにした。
これからこの「不死の華」をどう扱うのか。
そして、キュルリンのダンジョンをどう攻略していくのか。
彼らの冒険は、まだ始まったばかりだ。
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