異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

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第二章 神竜の守護者

EP 43

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女王様の休日、はじめてのメイク、そしてファッションショー
「さあ、セラフィナ様、ヴァルキュリア様!じっとしていてくださいましね!」
アルニアの街角は、いつの間にか、天界で最も高貴な女性たちのための、即席のメイクアップサロンと化していた。
エルミナは、すっかり美容家気取りで、その手にした「ぱふ」に「ふぇいすぱうだー」をつけ、まずはヴァルキュリアの頬に、ぽんぽん、と優しく叩き始めた。
「わ、わたくしは聖騎士、このような浮ついたことは……!」
最強の戦闘団長は、最初こそ抵抗していたが、セラフィナ様自身が「……少しだけ、試してみても、よろしくてよ」と興味津々なのを見て、観念するしかなかった。
仕上がった自分の顔を、エルミナが差し出した手鏡で見た瞬間、ヴァルキュリアは絶句した。
ほんのりと頬が色づき、目元が強調され、いつもより格段に柔和で、そして……可愛い。
「こ、これが……わたくし……?」
「次は口紅ですわね!」
エルミナは、宝石のような容器から真紅のそれを繰り出し、セラフィナの唇に、そっと引いていく。
「まあ……」
セラフィナは、鏡に映る、いつもより艶やかで華やかな自分の姿に、驚きと、そして隠しきれない喜びの声を漏らした。
「「キャッキャッ♡」」
神王も、最強の騎士も、見習い聖騎士も、その身分を忘れ、ただの少女のように、未知の「お化粧」という文化に夢中になっていた。
そこへ、買い物を終えたフィリアがやってきた。
「あ、みんな、何してるのー?わー、二人とも、すっごく綺麗!」
そして、彼女はマモルから「暇な時にでも読んでみて」と渡された、異世界の「雑誌」を取り出した。
「見て見て!この本に書いてあったんだけど、最近の流行りの『まにきゅあ』は、こういう『花柄』みたいだよ!」
雑誌には、美しいモデルの指先が、色とりどりの花のアートで彩られている写真が載っていた。
「まあ!爪に絵を描くのですか!?」「なんて繊細で美しい……!」「どうやってやるのかしら!?」
三人の「女子トーク」は、さらに熱を帯びていく。
「こんなに綺麗になったら、素敵なお洋服も着てみたくなりますわね!」
エルミナの一言が、彼女たちの次なる行動を決定づけた。
「城下に、最近できた『ブティック』があるの!行ってみようよ!」
フィリアに案内され、三人が向かったのは、ユリアンがプロデュースした、最新の流行を取り入れた服が並ぶ店だった。
そこからは、もはやカオスだった。
「フィリアさん、このワンピース、あなたに似合いそうですわ!」
「えー、でも、エルミナさんこそ、こっちのフリフリのブラウス、絶対可愛いよ!」
「ヴァルキュリア、貴女はいつも鎧ばかりなのですから、たまにはこのような柔らかな素材のドレスをお召しなさい。……あら、なかなか……似合いますわね」
「せ、セラフィナ様まで……!おやめください、このような格好、恥ずかしくて……!」
試着室を何度も行き来し、鏡の前でポーズを取り、互いを褒め合い、そして笑い合う。
彼女たちはもう、それぞれの使命も、立場も、完全に忘れていた。ただ、おしゃれを楽しむ、普通の女の子に戻っていた。
その日の午後。
すっかり人間界のファッションに身を包み、買い物袋をいくつも抱えたセラフィナとヴァルキュリアが、満足げに街を歩いていた。
そこへ、前方から、見覚えのある二人の王がやってきた。魔王サルバロスと、竜王ドラグニールだ。
サルバロスは、目の前を歩く、見たこともないほど華やかで、楽しそうな二人の女性(セラフィナとヴァルキュリア)に気づき、思わず足を止めた。そして、隣のドラグニールに小声で尋ねる。
「……おい、ドラグニール。あの見慣れん美女たちは、一体、誰だ?」
その言葉に、ドラグニールは、目を凝らして二人を見つめ、やがて、信じられないというように、絶句した。
「……サルバロスよ。あれは……あれこそが、神王セラフィナ、その人だ……」
「何!?」
「……セラフィナに、このような一面があったとはな……」
二人の王は、ただただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。
自分たちが、世界の覇権を巡って、あるいは一族の存亡を賭けて、必死に駆け引きをしている、その相手。
アルカシア大陸で最も気高く、最も厳格であるはずの神王セラフィナが、まるで普通の街娘のように、買い物袋を抱えて、満面の笑みを浮かべているのだ。
マモルがもたらした「文化」という名の、あまりにも強力で、そして平和的な「力」。
それは、どんな軍勢よりも、どんな魔法よりも、雄弁に、この世界の常識が、そしてパワーバランスが、根底から変わりつつあることを、二人の王に知らしめていた。
セラフィナは、二人の視線に気づき、はっと我に返ると、顔を真っ赤にして、買い物袋の後ろに隠れるのだった。
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