異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

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第二章 神竜の守護者

EP 49

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公開処刑、レモンサワーと生ハムの罠
気まずい沈黙が、アルニアで一番ナウい『BARダイニング・月光』のボックス席を支配していた。
その空気を破壊したのは、やはりこの男、元魔王サルバロスだった。彼は、この状況ですら楽しむ余裕があるのか、あるいはただ早く酒が飲みたいだけなのか、大きなメニューをテーブルに広げた。
「さて、と!堅苦しい話は抜きだ!まずは飲み物でも注文しようではないか!お主たちは、何を飲む?」
サルバロスが、女性陣ににこやかに尋ねる。
その問いに、最初に答えたのは、意外にも、最も厳格なはずのヴァルキュリアだった。
「では、わたくしは……この『れもんさわー』という物を頂こうかしら。さっぱりとしていそうですし」
「ほう、良い選択だ」
その言葉に、つい、マモルの口から、元の世界の常識が滑り出た。
「ああ、レモンサワーはな。この店の名物でもある『鶏の唐揚げ』に、よく合うんだ」
その、何の気なしの一言が、地雷だった。
「まあ、そうなのですか」ヴァルキュリアは、少し意外そうに、しかし興味深そうにマモルを見つめた。「マモル様は、お食事にもお詳しいのですね。素晴らしいですわ。是非、じっくりとお話を聞いてみたいものです」
最強の聖騎士からの、純粋な尊敬の眼差し。
しかし、その瞬間、マモルは、テーブルの向かい側から、二つの強烈なプレッシャーを感じた。
じーーーーっ……。
フィリアとエルミナが、真顔で、一切の感情を消した表情で、マモルを凝視していた。
(え!?なんで!?俺、ただ唐揚げに合うって言っただけだぞ!?なんでそんな、親の仇を見るような目で!?)
マモルは、背筋を氷の槍で貫かれたかのような悪寒に襲われた。
「え、えっと……!エ、エルミナさんと、フィリアは、何にするんだ?」
彼は、必死に話題を逸らそうとする。
「……わたくしたちは、こちらの『果実酒』で、お願いしますわ」
エルミナが、抑揚のない声で答える。
「うん、果実酒、美味しいもんね」
フィリアも、にっこりと微笑んだ。しかし、その目は、全く笑っていなかった。
「――ねぇ、マモル?」
「は、はい!?」
「果実酒には……何が合うの?」
それは、尋問だった。
マモルの脳内は、フル回転を始める。
(やばいやばいやばい!ここでまたスラスラ答えたら、絶対に『女慣れしてる』って思われる!でも、知らないフリも不自然だ!どうする、どうするんだ俺!?)
「そ、そうだな……!」マモルは、必死に記憶の引き出しを探った。「この、『生ハム』とかどうだろう?塩気のあるハムと、甘い果物は、昔から相性が良いって言うし……。一緒に食べたら、きっと美味しいぞ?」
それは、彼が持ちうる食の知識を総動員してひねり出した、完璧な回答のはずだった。
しかし、その答えは、さらなる深淵への扉を開けただけだった。
「へぇ~……」エルミナは、感心したように、しかしその瞳の奥に冷たい光を宿して言った。「マモル様、本当に、お詳しいですのね。このような『手合い』は、随分と慣れていらっしゃるようですわ」
「そうそう!私たち、マモルがそんなに物知りだって知らなかったよー!」
フィリアの言葉には、もはや隠す気もない棘があった。
マモルは、完全に詰んでいた。
(誰か、助けてくれぇ……!)
彼が、助けを求めるように視線を送った先では、デュラスが、この世の全ての不幸を凝縮したかのような主君の姿を、最高の酒の肴にして、静かに、そして優雅に、ワイングラスを傾けていた。
(――フン。公開処刑とは、よく言ったものだ。せいぜい楽しませてもらうとしよう)
マモルの、人生で最も長い夜は、まだ始まったばかりだった。
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