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第二章 勇者魔王公爵
EP 37
『始祖竜の成長痛と、消滅した島』
とある昼下がり。
マモルたちは、昨晩のゲーム大会の疲れを癒やすように、リビングでまどろんでいた。
「……んぅ」
マモルの膝の上で昼寝をしていた幼女、アルカが小さく唸った。
最初は寝言かと思ったが、次第に彼女の身体が小刻みに震えだす。
「おい、アルカ? どうした? 怖い夢でも見たか?」
マモルが頭を撫でようとした瞬間。
カッ!!
「うわっ!?」
アルカの小さな身体から、直視できないほどの神々しい光が溢れ出した。
ただの魔力ではない。空間そのものが軋むような、圧倒的な「始祖」の力だ。
「わ、わかん……ない……。あつい……からだが、あついよぉ……!」
アルカが苦しげに胸を押さえる。体温計など一瞬で溶けそうな熱量だ。
「た、大変! お熱!? お医者様を呼ばないと!」
フィリアが慌てて救急箱を探す。
「いや、これは病気じゃないだろ! 魔力暴走か!? ていうか竜だぞ、獣医師か!? いや、そんなんじゃなくて……!」
マモルが混乱している間に、アルカの光は限界を超えた。
「うぅ……だめ、でちゃう……! おうち、こわれちゃう……!」
アルカはマモルの膝から飛び降りると、ふらつく足取りでテラスへと走った。
「アルカ!?」
彼女が庭に飛び出し、空を見上げた瞬間。
ドオオオオオオオンッ!!
光の柱が天を貫いた。
幼子のシルエットが、光の中で急激に膨張していく。
翼が広がり、鱗が形成され、その威容が世界を覆う。
「グオオオオオオオオオッ!!」
光が収まると、そこにはアルニア城よりも巨大な、白銀に輝く『神竜(完全体)』が顕現していた。
かつてドラグニールが「理を超越している」と評した、真の姿だ。
『アツイ……! チカラガ……!!』
神竜アルカは、体内に渦巻くエネルギーを逃がすため、海の方角へと首を向けた。
その口元に、恒星のような輝きが収束する。
『ハァァァァァッ!!』
放たれたのは、火炎でも雷撃でもない。
純粋な「破壊の光」による、究極のブレスだった。
ヒュン……。
音が消えた。
光線は水平線の彼方へ一直線に伸び、そこにあった岩礁の無人島に接触した。
カッ!!!!
視界が白で塗りつぶされる。
数秒後、遅れてやってきた衝撃波が、マモルの家の窓ガラスをビリビリと震わせた。
「……」
「……」
マモルたちが恐る恐る顔を上げると、海の上にはキノコ雲だけが残り、そこにあったはずの島は、影も形もなくなっていた。
地図から島が一つ消滅した瞬間だった。
「な、なんて威力だ……」
デュラスが戦慄してグラスを落とした。
「次元が違う。あれに比べれば、我々魔族の魔法など子供の火遊びだ」
「神……魔王……全てを凌駕する一撃ですわ」
エルミナも顔面蒼白だ。あの光を受ければ、最高位天使といえど魂ごと蒸発していただろう。
世界を終わらせかねない力の奔流。
しかし、ブレスを吐ききった神竜は、急速に縮んでいった。
『はぁ、はぁ……もとに……もど……れ……』
シュウゥゥゥ……。
光が収束し、庭には再び、ちょこんとした幼女の姿が戻っていた。
「ア、アルカ……」
マモルが庭へ駆け寄る。
アルカは肩で息をしていたが、振り返った顔はケロリとしていた。
「うん! スッキリした! もう力を制御出来るよ! マモル~♡」
「うわっと!」
アルカは満面の笑みで飛びつき、マモルの首に抱きついた。
その体温は、もう熱くない。ただの温かい子供の体温だ。
「びっくりしたぁ……。急におっきくなるんだもん」
「えへへ、ごめんね。なんかムズムズして、ドカーンってしたくなっちゃったの」
「ムズムズで島を消し飛ばさないでくれ……」
マモルはアルカを抱きしめ返しながら、背筋が凍る思いだった。
この腕の中にいるのは、世界最強の核弾頭だ。
育児の難易度が、また一つ(物理的に)上がったことを痛感するマモルだった。
とある昼下がり。
マモルたちは、昨晩のゲーム大会の疲れを癒やすように、リビングでまどろんでいた。
「……んぅ」
マモルの膝の上で昼寝をしていた幼女、アルカが小さく唸った。
最初は寝言かと思ったが、次第に彼女の身体が小刻みに震えだす。
「おい、アルカ? どうした? 怖い夢でも見たか?」
マモルが頭を撫でようとした瞬間。
カッ!!
「うわっ!?」
アルカの小さな身体から、直視できないほどの神々しい光が溢れ出した。
ただの魔力ではない。空間そのものが軋むような、圧倒的な「始祖」の力だ。
「わ、わかん……ない……。あつい……からだが、あついよぉ……!」
アルカが苦しげに胸を押さえる。体温計など一瞬で溶けそうな熱量だ。
「た、大変! お熱!? お医者様を呼ばないと!」
フィリアが慌てて救急箱を探す。
「いや、これは病気じゃないだろ! 魔力暴走か!? ていうか竜だぞ、獣医師か!? いや、そんなんじゃなくて……!」
マモルが混乱している間に、アルカの光は限界を超えた。
「うぅ……だめ、でちゃう……! おうち、こわれちゃう……!」
アルカはマモルの膝から飛び降りると、ふらつく足取りでテラスへと走った。
「アルカ!?」
彼女が庭に飛び出し、空を見上げた瞬間。
ドオオオオオオオンッ!!
光の柱が天を貫いた。
幼子のシルエットが、光の中で急激に膨張していく。
翼が広がり、鱗が形成され、その威容が世界を覆う。
「グオオオオオオオオオッ!!」
光が収まると、そこにはアルニア城よりも巨大な、白銀に輝く『神竜(完全体)』が顕現していた。
かつてドラグニールが「理を超越している」と評した、真の姿だ。
『アツイ……! チカラガ……!!』
神竜アルカは、体内に渦巻くエネルギーを逃がすため、海の方角へと首を向けた。
その口元に、恒星のような輝きが収束する。
『ハァァァァァッ!!』
放たれたのは、火炎でも雷撃でもない。
純粋な「破壊の光」による、究極のブレスだった。
ヒュン……。
音が消えた。
光線は水平線の彼方へ一直線に伸び、そこにあった岩礁の無人島に接触した。
カッ!!!!
視界が白で塗りつぶされる。
数秒後、遅れてやってきた衝撃波が、マモルの家の窓ガラスをビリビリと震わせた。
「……」
「……」
マモルたちが恐る恐る顔を上げると、海の上にはキノコ雲だけが残り、そこにあったはずの島は、影も形もなくなっていた。
地図から島が一つ消滅した瞬間だった。
「な、なんて威力だ……」
デュラスが戦慄してグラスを落とした。
「次元が違う。あれに比べれば、我々魔族の魔法など子供の火遊びだ」
「神……魔王……全てを凌駕する一撃ですわ」
エルミナも顔面蒼白だ。あの光を受ければ、最高位天使といえど魂ごと蒸発していただろう。
世界を終わらせかねない力の奔流。
しかし、ブレスを吐ききった神竜は、急速に縮んでいった。
『はぁ、はぁ……もとに……もど……れ……』
シュウゥゥゥ……。
光が収束し、庭には再び、ちょこんとした幼女の姿が戻っていた。
「ア、アルカ……」
マモルが庭へ駆け寄る。
アルカは肩で息をしていたが、振り返った顔はケロリとしていた。
「うん! スッキリした! もう力を制御出来るよ! マモル~♡」
「うわっと!」
アルカは満面の笑みで飛びつき、マモルの首に抱きついた。
その体温は、もう熱くない。ただの温かい子供の体温だ。
「びっくりしたぁ……。急におっきくなるんだもん」
「えへへ、ごめんね。なんかムズムズして、ドカーンってしたくなっちゃったの」
「ムズムズで島を消し飛ばさないでくれ……」
マモルはアルカを抱きしめ返しながら、背筋が凍る思いだった。
この腕の中にいるのは、世界最強の核弾頭だ。
育児の難易度が、また一つ(物理的に)上がったことを痛感するマモルだった。
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