102 / 134
第二章 勇者魔王公爵
EP 43
『聖なる葉と枝豆、そして若さという名の暴力』
「よ~し! トークも盛り上がってきたな(地獄だが)! 次のワードだ!」
サルバロスは空気を読まず、次のお題カードをめくった。
「『菜園』!」
スッ。
マモルと、ヴァルキュリア。そして、不穏な笑みを浮かべたフィリアの手が挙がった。
(じ、地獄じゃないかよ……。またこのメンバーか……)
マモルは天を仰いだ。
「ほう、ヴァルキュリアもやるのか?」
サルバロスが振ると、ヴァルキュリアは背筋を伸ばして答えた。
「ええ。私は趣味で**『天上の聖葉(セイント・リーフ)』**と言う植物を育ててまして。成長すると赤い実がなり、いかなる傷や病も治せますの」
「す、凄い植物ですね……! 流石は天界」
「はい。これを煎じて薄めて、人間の方々に配るのも私の趣味ですの。慈愛の精神ですわ」
ヴァルキュリアが聖母のような微笑みを浮かべる。完璧だ。完璧すぎて眩しい。
マモルは自分の庶民的な菜園事情を話すのが恥ずかしくなった。
「素敵だ……。俺なんて、庭に**『枝豆』**を植えて、夏のビールのツマミにする事しか考えて無くて……」
「えだまめ……?」
ヴァルキュリアがキョトンとする。
「まぁ! ホホホ! 枝豆なんて初めて聞きましたわ。可愛い響きですこと」
「あ、良かったら今度、苗をお裾分けしますよ。育てやすいですし」
「まぁ、マモル様ったら優しいのですね! ではお礼に、私の天上の聖葉もマモル様に……」
二人の距離が再び縮まりかけた、その時。
「はいはい!」
フィリアが割り込んだ。
「私もハーブ育ててます~! 植物のことなら任せてください! 私がヴァルキュリア様の天上の聖葉を、マモルの代わりに育てますっ!」
フィリアは「マモルと貴女の交換日記(苗のやり取り)はさせない」という鉄の意志を目に宿していた。
「まぁ、そうなのですか? フィリアさんが?」
ヴァルキュリアは善意と受け取ったが、マモルは冷や汗を拭った。
(ヤバい、ヤバい……。フィリアの『私がやる』は『お前は手を出すな』の隠語だ……)
その攻防を眺めながら、デュラスは優雅にグラスを揺らした。
(あぁ……他人の修羅場で飲む酒が、こんなに旨いとは)
***
ここで、沈黙を守っていたエルミナが動いた。
彼女は艶やかに髪をかき上げ、とろんとした目でマモルを見た。
「そういえば~、この前マモルさんと新作ゲームしてたら~、熱中しすぎて『徹夜』しちゃって~、そのまま朝を迎えて遊んだんですよね~♡」
エルミナがいきなりの爆弾投下。
「朝まで一緒だった(ゲームだけど)」という既成事実の強調だ。
「えっ? あ、ああ。楽しかったな、あれは」
マモルは素直に答える。
「そ~そ~! 楽しかったわ~! 修学旅行みたいで!」
フィリアも即座に同調し、矛先をヴァルキュリアに向けた。
「ヴァルキュリア様は、『徹夜』とか出来ます~? やっぱりお肌に悪いから無理ですかぁ~?」
「……ッ!?」
ヴァルキュリアの眉がピクリと動いた。
「年齢的にキツイでしょ?」という遠回しな挑発。
「……不健康な。私は規律正しい生活を心がけておりますので」
「え~! そんな~! 私達~『若い』から~、徹夜とかへっちゃらですわ!」
エルミナが悪魔的な笑顔で「若い」を強調する。
ヴァルキュリアのこめかみに青筋が浮かんだ。
「くっ……。わ、私は『永遠の17歳』ですのよ? 徹夜など造作もありませんわ!」
そこへ、何も考えていないサルバロスがガソリンを注いだ。
「お~、確かにエルミナやフィリアは肌が綺麗だな~。ツヤッツヤじゃないか」
「あ、分かります~? 元魔王様♡」
エルミナが得意げに自分の腕を撫でる。
「毎日、マモルマートで買った『専用のボディソープ』と『高級保湿クリーム』を塗っていますから! 天界の石鹸とは潤いが違いますのよ」
「そうそう! でも何よりも~、やっぱり素材が『若い』からかな~♡」
フィリアとエルミナがハイタッチをする。
ヴァルキュリアは小刻みに震え始めた。
「ボ? ボディソープ? 保湿クリーム? ……(何なのその知らない単語は!? それにさっきから若い若いって何なのよ! 私は設定上17歳なんだもん! 実年齢の話は禁止カードでしょうが!)」
未知の美容用語と、圧倒的な「若さアピール」の暴力。
族長ヴァルキュリア、精神的ダメージにより撃墜寸前であった。
「よ~し! トークも盛り上がってきたな(地獄だが)! 次のワードだ!」
サルバロスは空気を読まず、次のお題カードをめくった。
「『菜園』!」
スッ。
マモルと、ヴァルキュリア。そして、不穏な笑みを浮かべたフィリアの手が挙がった。
(じ、地獄じゃないかよ……。またこのメンバーか……)
マモルは天を仰いだ。
「ほう、ヴァルキュリアもやるのか?」
サルバロスが振ると、ヴァルキュリアは背筋を伸ばして答えた。
「ええ。私は趣味で**『天上の聖葉(セイント・リーフ)』**と言う植物を育ててまして。成長すると赤い実がなり、いかなる傷や病も治せますの」
「す、凄い植物ですね……! 流石は天界」
「はい。これを煎じて薄めて、人間の方々に配るのも私の趣味ですの。慈愛の精神ですわ」
ヴァルキュリアが聖母のような微笑みを浮かべる。完璧だ。完璧すぎて眩しい。
マモルは自分の庶民的な菜園事情を話すのが恥ずかしくなった。
「素敵だ……。俺なんて、庭に**『枝豆』**を植えて、夏のビールのツマミにする事しか考えて無くて……」
「えだまめ……?」
ヴァルキュリアがキョトンとする。
「まぁ! ホホホ! 枝豆なんて初めて聞きましたわ。可愛い響きですこと」
「あ、良かったら今度、苗をお裾分けしますよ。育てやすいですし」
「まぁ、マモル様ったら優しいのですね! ではお礼に、私の天上の聖葉もマモル様に……」
二人の距離が再び縮まりかけた、その時。
「はいはい!」
フィリアが割り込んだ。
「私もハーブ育ててます~! 植物のことなら任せてください! 私がヴァルキュリア様の天上の聖葉を、マモルの代わりに育てますっ!」
フィリアは「マモルと貴女の交換日記(苗のやり取り)はさせない」という鉄の意志を目に宿していた。
「まぁ、そうなのですか? フィリアさんが?」
ヴァルキュリアは善意と受け取ったが、マモルは冷や汗を拭った。
(ヤバい、ヤバい……。フィリアの『私がやる』は『お前は手を出すな』の隠語だ……)
その攻防を眺めながら、デュラスは優雅にグラスを揺らした。
(あぁ……他人の修羅場で飲む酒が、こんなに旨いとは)
***
ここで、沈黙を守っていたエルミナが動いた。
彼女は艶やかに髪をかき上げ、とろんとした目でマモルを見た。
「そういえば~、この前マモルさんと新作ゲームしてたら~、熱中しすぎて『徹夜』しちゃって~、そのまま朝を迎えて遊んだんですよね~♡」
エルミナがいきなりの爆弾投下。
「朝まで一緒だった(ゲームだけど)」という既成事実の強調だ。
「えっ? あ、ああ。楽しかったな、あれは」
マモルは素直に答える。
「そ~そ~! 楽しかったわ~! 修学旅行みたいで!」
フィリアも即座に同調し、矛先をヴァルキュリアに向けた。
「ヴァルキュリア様は、『徹夜』とか出来ます~? やっぱりお肌に悪いから無理ですかぁ~?」
「……ッ!?」
ヴァルキュリアの眉がピクリと動いた。
「年齢的にキツイでしょ?」という遠回しな挑発。
「……不健康な。私は規律正しい生活を心がけておりますので」
「え~! そんな~! 私達~『若い』から~、徹夜とかへっちゃらですわ!」
エルミナが悪魔的な笑顔で「若い」を強調する。
ヴァルキュリアのこめかみに青筋が浮かんだ。
「くっ……。わ、私は『永遠の17歳』ですのよ? 徹夜など造作もありませんわ!」
そこへ、何も考えていないサルバロスがガソリンを注いだ。
「お~、確かにエルミナやフィリアは肌が綺麗だな~。ツヤッツヤじゃないか」
「あ、分かります~? 元魔王様♡」
エルミナが得意げに自分の腕を撫でる。
「毎日、マモルマートで買った『専用のボディソープ』と『高級保湿クリーム』を塗っていますから! 天界の石鹸とは潤いが違いますのよ」
「そうそう! でも何よりも~、やっぱり素材が『若い』からかな~♡」
フィリアとエルミナがハイタッチをする。
ヴァルキュリアは小刻みに震え始めた。
「ボ? ボディソープ? 保湿クリーム? ……(何なのその知らない単語は!? それにさっきから若い若いって何なのよ! 私は設定上17歳なんだもん! 実年齢の話は禁止カードでしょうが!)」
未知の美容用語と、圧倒的な「若さアピール」の暴力。
族長ヴァルキュリア、精神的ダメージにより撃墜寸前であった。
あなたにおすすめの小説
虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!
竜鳴躍
ファンタジー
気が付いたら転生していました。
でも王族なのに、離宮に閉じ込められたまま。学校も行けず、家庭教師もつけてもらえず、世話もされず。社交にも出られず。
何故なら、今の王様は急逝した先代の陛下……僕の父の弟だから。
王様夫婦には王子様がいて、その子が次期王太子として学校も行って、社交もしている。
僕は邪魔なんだよね。分かってる。
先代の王の子を大切に育てたけど、体が弱い出来損ないだからそのまま自分の子が跡を継ぎますってしたいんだよね。
そんなに頑張らなくても僕、王位なんていらないのに~。
だって、いつも誰かに見られていて、自分の好きなことできないんでしょ。
僕は僕の好きなことをやって生きていきたい。
従兄弟の王太子襲名の式典の日に、殺されちゃうことになったから、国を出ることにした僕。
だけど、みんな知らなかったんだ。
僕がいなくなったら困るってこと…。
帰ってきてくれって言われても、今更無理です。
2026.03.30 内容紹介一部修正
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。