『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』

月神世一

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EP 10

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ポポロ村からの旅立ちと、最強の100均チートの幕開け
​「サリィィィィィィィィッ!! 嘘だと言ってくれぇぇぇ!!」
​翌朝。ポポロ村の入り口にある停留所には、村長サンガの地響きのような慟哭が響き渡っていた。
普段は屈強な元Cランク冒険者の彼だが、今は地面に突っ伏し、滝のような涙と鼻水を流して地面をバンバンと叩いている。
​「お父さん、みっともないですよ! 私はもう16歳の大人なんです。外の世界を見て、薬師として、それに……タロウさんのサポートとして頑張りたいの!」
​旅支度を整え、お気に入りの若葉の杖を握りしめたサリーが、ビシッと父親に言い放つ。
その横で、僕は居心地の悪さに冷や汗をダラダラと流していた。
​「タロウゥゥゥゥッ!!」
「ひぃっ!?」
​サンガさんが血走った目で僕を睨みつけ、立ち上がった。その全身から、ゴブリンどころかロックバイソンすら一撃で粉砕した恐るべき『闘気』が陽炎のように立ち上る。
​「……いいか、タロウ。我がポポロ村を救ってくれた恩は一生忘れん。だが! 娘の純潔は別の話だ! もし旅の道中でサリーに指一本でも、いや、変な目でチラッとでも見やがったら……!」
​サンガさんは背負っていた愛用の鍬を地面に突き立て、僕の胸ぐらをガシッと掴んだ。
​「地の果てまで追いかけて、その自慢の弓ごと貴様を三枚におろしてやるからな!!」
「わ、分かってます! 絶対に指一本触れませんし、僕が命に代えてもサリーを守りますから!」
​僕が必死に叫ぶと、サンガさんはふっと闘気を収め、「……その言葉、違えるなよ」と静かに頷いた。
親バカの奥底にある、本物の父親としての顔だった。
​「ブルルルルォォォォン……」
​そんな感動的(?)な別れを遮るように、低い地響きと共に巨大な影が近づいてきた。
路線バスの役割を担う巨大な家畜魔獣、『ロックバイソン』だ。
背中には木造の立派な客室が乗せられており、御者台に座るおじさんが「ルナミス行き~、乗るかい?」と声をかけてきた。
​「はい、大人2名です」
​僕は尻ポケットから財布を取り出し、ついにあの『ピン札の1万円』を引き抜いた。
「帝都ルナミスまで、一人3000円。合わせて6000円だね。おっ、兄ちゃん景気がいいねぇ! ピン札の諭吉なんて久しぶりに見たよ」
「お釣り、ちゃんとくださいね」
​ファンタジー世界の巨大な岩牛のバスに乗り込むのに、日本銀行券の1万円札で運賃を払い、4000円のお釣りをもらう。
何度経験しても脳がバグりそうになるが、この狂った経済システムこそが、僕の最大の武器だ。
​「それじゃあ、お父さん、村のみんな! 行ってきます!」
「サリーちゃん、元気でなー! タロウ様、またいつでも寄ってくだされー!」
​村人たちが大きく手を振る中、ロックバイソンがゆっくりと歩き出す。
窓の外の景色が、少しずつ、確実に後方へと流れていく。
見えなくなるまで鍬を振り回して号泣していたサンガさんの姿も、やがて森の木々に隠れて見えなくなった。
​「……行っちゃいましたね」
サリーが少しだけ寂しそうに、でもワクワクしたような笑顔で僕を見た。
「うん。でも、ここからが本番だ」
​僕は自分のステータスウィンドウをこっそりと開いた。
昨日、村を出る前に不要な魔獣の素材を限界までチャージした結果、現在のスキル残高は【12,500円】。
帝都までの数日間の生活費(100均の食料や便利グッズ)と、いざという時の迎撃用アイテムを出すには十分な弾薬だ。
​「タロウさん。帝都に着いたら、まずはどうするんですか?」
「そうだね。まずは『冒険者ギルド』か『商業ギルド』に登録しようと思ってる。僕のこの『100円ショップ』のアイテム……例えばこのプラスチックの容器や、ハサミなんかを、帝都の商人たちにプレゼンしてみるんだ」
​僕の言葉に、サリーは目を輝かせた。
「タロウさんの出す不思議な道具なら、きっと帝都の貴族様たちも驚きますよ!」
​(驚くどころじゃないさ。この世界の経済と技術のバランスを、根底からひっくり返せる)
​武力で頂点を目指すんじゃない。
僕は僕の戦い方――経済力と、現代の100円アイテムの圧倒的なコストパフォーマンスで、このアナステシア世界を成り上がってみせる。
​「……はっくしょん!」
​その頃。
天界のコタツ部屋で、女神ルチアナは盛大にくしゃみをした。
「うー、寒っ。なんか嫌な予感がするわね……ま、いっか。おっ、ソシャゲのガチャ更新キタコレ! さーて、私の可愛い天使ちゃんたちから巻き上げた税金(円)で、天井まで回しますかねぇ~!」
​自分が適当に投げ渡したスキルと、めんどくさいからと放置した『日本円』の通貨システムが、一人の平凡な大学生の手によって、自らが定めた『三竦みの世界の均衡』を完膚なきまでに破壊することになろうとは。
ダメ女神はまだ、知る由もなかった。
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