『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』

月神世一

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EP 24

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試行錯誤の一週間。現代化学×ファンタジーの融合
​ゴルド商会の裏ルートから、軍事物資である『火花鉱』と『精霊石』を調達した僕たちは、すぐさま帝都の地下深くにあるガンドフの工房へとトンボ返りした。
​「ガンドフさん、材料揃いましたよ!」
僕が布袋に入った赤い鉱石と、青白く光る澄んだ石を乱暴な作業台の上に広げると、ガンドフは目を血走らせて飛びついてきた。
​「おおおおっ!! まごうことなき純度100%の火花鉱と精霊石じゃねぇか! あの成金商会、よくこんな上物をタダで吐き出しやがったな!」
「色々ありまして。……さぁ、これで役者は揃いました。始めましょうか」
​僕は、100円のジャンク品として出した『ライターの圧電素子(カチッと押すと火花が出る部品)』と『細い導線』、そして昨日徹夜で書き上げた設計図をガンドフに見せた。
​「いいですか、ガンドフさん。矢の先端(弾頭)にこの圧電素子を仕込みます。着弾の物理的な衝撃で素子が作動し、火花が発生する。その火花が導線を伝って、細かく砕いた『火花鉱』に引火し、初期爆発を起こすんです」
「なるほど。魔法の詠唱なしで、純粋な『衝撃』だけで火花鉱を起爆させるわけだ。……だが坊主、それだけじゃ火ボヤで終わるぞ」
​「そこで、この『精霊石』の出番です」
僕はニヤリと笑った。
「初期爆発のエネルギーをトリガーにして、精霊石の魔力増幅効果を暴走させる。つまり、小さな火薬の爆発を、魔法の力で数十倍……いや、数百倍の『大爆発』に変換するんです!」
​地球の物理学・化学の『着火システム』と、異世界の『魔法増幅素材』の悪魔合体。
僕の狂った理論を聞いたガンドフは、髭を震わせ、ヒヒヒッと悪党のように笑い出した。
​「傑作だ! 帝都の魔導士どもが聞いたら泡吹いて倒れるぞ! よし、俺のドワーフの誇りにかけて、お前のそのイカれた理論を形にしてやる!」
​こうして、僕とガンドフの地獄の開発合宿が幕を開けた。
​     * * *
​開発は、予想以上に難航した。
火花鉱と精霊石の配合比率、そして何より「着弾するまで絶対に暴発しない安全性」と「着弾時に確実に起爆する感度」のバランスを取るのが至難の業だったのだ。
​「坊主! 導線の位置が1ミリずれてるぞ!」
「ああっ、すいません! ガンドフさん、精霊石の粉末、少し多すぎませんか!?」
「馬鹿野郎、これくらい盛らねぇと威力が……あっ」
​ドボォォォォンッ!!
​「ゴホッ、ゲホッ!?」
「うわぁぁぁぁっ!」
​工房の中に小規模な爆発が響き渡り、僕とガンドフは顔面を真っ黒なススだらけにして壁まで吹き飛ばされた。髪の毛がアフロのようにチリチリになっている。
​「……タロウさん、またですか? はい、『ヒール』」
工房の隅で待機していたサリーが、呆れ顔で回復魔法をかけてくれる。この一週間、彼女の仕事はもっぱら、爆発で吹っ飛ぶ僕たちの治療(と、時々差し入れの炊き出し)だった。
​「ごめんサリー、助かるよ……」
「まったく。騎士道から外れるにも程があるわ。地下が爆発するたびに、お父様(ギルドマスター)が胃薬を飲んでいるのを知っているの?」
ライザは腕を組みながら、呆れ半分、呆れ半分(全部呆れている)で僕たちを見下ろしていた。
​だが、失敗を繰り返すたびに、確実にデータは蓄積されていった。
地球の理論と、ドワーフの神業的な金属加工技術。
二つの世界の叡智が、一本の矢の中で徐々に、そして完璧に噛み合い始めていた。
​そして、工房に篭りきりになってからちょうど一週間が経った日の、明け方。
​「……できた」
​目の下に濃いクマを作ったガンドフが、震える両手で「それ」を万力から外した。
​全長約80センチ。
柄の部分は通常の矢と変わらないが、先端の弾頭部分が、黒光りする金属の筒状に少しだけ膨らんでいる。
一見すると不格好でいびつな矢だ。だが、その無骨な金属の奥に、どれほど恐ろしい破壊エネルギーが圧縮されているか、設計した僕には痛いほど分かった。
​「……すげぇ。本当に作りやがった」
僕の知識と、ガンドフの技術の結晶。
魔力を一切使わずに放つことができ、着弾と同時に広範囲を爆炎で飲み込む、異世界における戦術兵器の完成形。
​「タロウさん、ガンドフさん……お疲れ様です!」
サリーが、感動したように両手を組み合わせる。ライザも、その矢が放つ異様な威圧感に気圧されたのか、息を呑んで見つめていた。
​「坊主……こいつの名前は、どうする?」
ガンドフが、布で丁寧に矢を拭きながら僕に尋ねた。
​ランボー・アロー、爆裂矢、色々と考えたが、僕はこの矢の本質を表す、一番シンプルで恐ろしい名前をつけることにした。
​「……『必殺の矢』だ」
僕は矢を受け取り、その重みを手に刻み込んだ。
「これを撃ち込まれて生きている生物は、この世界にはいない。必ず殺す……『必殺の矢』だよ」
​「ヒヒッ、物騒で最高に良い名前じゃねぇか」
ガンドフが油まみれの顔で笑う。
​「よし! 理論上は完璧だ。だが、実際に撃ってみねぇと本当の威力は分からねぇ」
僕は弓を背負い、サリーとライザを振り返った。
​「二人とも、行くよ。帝都の外で、こいつの『試し撃ち』だ」
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