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EP 29
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封印解除。極大爆裂スナイプ!
「……ライザ、サリー。奴の動きを一瞬でいい、止めてくれ!」
僕の叫びに、二人は背中越しに迷うことなく頷いた。
「太郎! 私達が奴を引き止める! だから!」
ライザが、刃のこぼれた愛剣を両手で上段に構え直す。彼女の体から立ち昇る赤い闘気が、これまでにないほど激しく、まるで彼女自身が炎となったかのように燃え盛った。
「分かった!」
僕は深く息を吸い込み、弓に漆黒の金属弾頭を添える。
「闘気よ! 全て持っていけ! 剣技――『闘牙衝(とうがしょう)』!!」
ライザが剣に全闘気を乗せ、渾身の力で振り下ろした。
それは神速の抜刀術である『閃光』とは対極に位置する、純粋な力の奔流だった。圧縮された闘気の嵐が不可視の巨大な牙となって空間を削り、魔狼の巨体に真っ向から激突する。
『ガァァァァッ!?』
圧倒的な質量の暴力。炎の毛皮の防御すら押し切る物理的な衝撃が、魔狼の巨体を大きく後退させた。
「今! 地よ凍れ! 『アイス・フィールド』!!」
すかさずサリーが高々と杖を掲げた。
彼女が新たに習得していたのは、風や光だけではなかった。炎と熱に支配されていたポポロ村の空間に、極寒の魔力が撃ち込まれる。
ミシミシッと音を立てて魔狼の足元の地面が急速に凍りつき、その巨体を一瞬だけ、分厚い氷の枷で大地に縫い留めた。
『グルルルオォォォォォッ!!』
魔狼の放つ異常な熱量によって、氷の枷は数秒と持たずに溶け始めている。
だが、その「数秒」さえあれば十分だった。
必殺の時が来た。
僕は『必殺の矢』を弓に番え、弦を限界まで引き絞った。
単眼鏡(スコープ)の十字の先に、燃え盛る魔狼の眉間を正確に捉える。100円のジャンクパーツと、異世界の軍事魔法素材。二つの世界の理が交わる特異点が、今ここで解き放たれる。
ヴォルフさんの「戦場を変えてしまう」という警告が脳裏をよぎるが、迷いはない。僕の大切な人たちを、この村を理不尽に奪おうとするなら、戦場ごと灰にしてやる。
「行くぞ!」
僕は、指を離した。
シュッ!!
空気を切り裂き、必殺の矢が放たれた。
一直線に飛翔した矢は、まるで魔狼の放つ圧倒的な熱と魔力に吸い込まれるように、その巨大な顔面へと届いた。
カチッ。
弾頭に仕込まれた圧電素子が着弾の衝撃で作動し、青白い火花が散る。
導線を伝ったその微小な光が、火花鉱を起爆し――精霊石が、そのエネルギーを数百倍に増幅して暴走させた。
ドガガガアアアアアアアアアンン!!
天地を揺るがす極大の轟音。
真昼の太陽すら霞むほどの、強烈な閃光と爆炎が巻き起こった。
魔狼の炎など比較にならないほどの絶対的な破壊のエネルギーが空間を埋め尽くし、巨大な異形の獣の悲鳴すら掻き消して、その巨体を爆炎の渦の中へと完全に飲み込んでいった。猛烈な爆風が村の防護柵を揺らし、僕たちは身を伏せてただその嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
「……ライザ、サリー。奴の動きを一瞬でいい、止めてくれ!」
僕の叫びに、二人は背中越しに迷うことなく頷いた。
「太郎! 私達が奴を引き止める! だから!」
ライザが、刃のこぼれた愛剣を両手で上段に構え直す。彼女の体から立ち昇る赤い闘気が、これまでにないほど激しく、まるで彼女自身が炎となったかのように燃え盛った。
「分かった!」
僕は深く息を吸い込み、弓に漆黒の金属弾頭を添える。
「闘気よ! 全て持っていけ! 剣技――『闘牙衝(とうがしょう)』!!」
ライザが剣に全闘気を乗せ、渾身の力で振り下ろした。
それは神速の抜刀術である『閃光』とは対極に位置する、純粋な力の奔流だった。圧縮された闘気の嵐が不可視の巨大な牙となって空間を削り、魔狼の巨体に真っ向から激突する。
『ガァァァァッ!?』
圧倒的な質量の暴力。炎の毛皮の防御すら押し切る物理的な衝撃が、魔狼の巨体を大きく後退させた。
「今! 地よ凍れ! 『アイス・フィールド』!!」
すかさずサリーが高々と杖を掲げた。
彼女が新たに習得していたのは、風や光だけではなかった。炎と熱に支配されていたポポロ村の空間に、極寒の魔力が撃ち込まれる。
ミシミシッと音を立てて魔狼の足元の地面が急速に凍りつき、その巨体を一瞬だけ、分厚い氷の枷で大地に縫い留めた。
『グルルルオォォォォォッ!!』
魔狼の放つ異常な熱量によって、氷の枷は数秒と持たずに溶け始めている。
だが、その「数秒」さえあれば十分だった。
必殺の時が来た。
僕は『必殺の矢』を弓に番え、弦を限界まで引き絞った。
単眼鏡(スコープ)の十字の先に、燃え盛る魔狼の眉間を正確に捉える。100円のジャンクパーツと、異世界の軍事魔法素材。二つの世界の理が交わる特異点が、今ここで解き放たれる。
ヴォルフさんの「戦場を変えてしまう」という警告が脳裏をよぎるが、迷いはない。僕の大切な人たちを、この村を理不尽に奪おうとするなら、戦場ごと灰にしてやる。
「行くぞ!」
僕は、指を離した。
シュッ!!
空気を切り裂き、必殺の矢が放たれた。
一直線に飛翔した矢は、まるで魔狼の放つ圧倒的な熱と魔力に吸い込まれるように、その巨大な顔面へと届いた。
カチッ。
弾頭に仕込まれた圧電素子が着弾の衝撃で作動し、青白い火花が散る。
導線を伝ったその微小な光が、火花鉱を起爆し――精霊石が、そのエネルギーを数百倍に増幅して暴走させた。
ドガガガアアアアアアアアアンン!!
天地を揺るがす極大の轟音。
真昼の太陽すら霞むほどの、強烈な閃光と爆炎が巻き起こった。
魔狼の炎など比較にならないほどの絶対的な破壊のエネルギーが空間を埋め尽くし、巨大な異形の獣の悲鳴すら掻き消して、その巨体を爆炎の渦の中へと完全に飲み込んでいった。猛烈な爆風が村の防護柵を揺らし、僕たちは身を伏せてただその嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
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