37 / 70
EP 7
駄女神ルチアナ、帰還(パラサイト)
ギィィィッ……。
重厚な木扉を押し開け、僕はアルクス領の領主としての第一歩を、自身の寝室となるであろう最奥の部屋へと踏み出した。
当然、そこにはホコリを被った天蓋付きのベッドや、年代物のアンティーク家具が並んでいる……はずだった。
「…………え?」
部屋の中央。
そこには、中世ファンタジーの荘厳な空間を完全に破壊する、四角いテーブルに分厚い布団が掛けられた『謎の要塞』が鎮座していた。
……いや、どう見ても日本の冬の魔将軍、『コタツ』である。
そして、そのコタツからにゅっと突き出しているのは、絶望的にダサいエンジ色の『芋ジャージ』に包まれた二本の足。
上半身をコタツに突っ込み、ゴロゴロと寝転がりながら、手元の魔導端末(どう見てもスマホ)をポチポチとタップして謎の電子音を鳴らしている女がいた。
ピロリロリン♪(ガチャの確定演出の音)
「あーっ! また爆死! なんでこのSSR騎士、排出率0.01%なのよぉ!」
銀色の美しい髪をボサボサに散らかし、絶世の美女の顔をだらしなく歪めているその女を見て、僕は目を剥いた。
「あ、あの駄目女神!?」
僕をこの異世界に送り込み、ハズレスキル『100円ショップ』を適当に押し付けた張本人。
女神ルチアナだった。
僕の叫び声に気づいたルチアナは、コタツからヌルリと顔を出し、悪びれる様子もなく片手を上げた。
「やっほー、太郎。来ちゃった♡」
「来ちゃった♡、じゃないよ!! なんで神様が僕の領地の寝室にいるんだよ! しかもなんだそのコタツとジャージは!」
「いやー、天界の仕事がブラックすぎてさ。太郎が領主になって自分だけの『箱庭』を手に入れたって聞いたから、神の力(ワープ)でこっそり不法侵入したってワケ。……ふぁぁ」
ルチアナは大きなあくびをし、完全に腐りきったニートの顔で僕を見上げた。
「ここで食っちゃ寝ゴロゴロしたいんだわ。ほら、領主になったんだし、神様をしっかりもてなしなさいな。酒と柿ピーだして。もち、太郎のスキルから」
「出てけぇぇ!!」
僕は全力でツッコミを入れ、扉を指差した。
ただでさえセバスやゴルス、ガンドフといった濃い連中が集まってカオスになっているのに、ここにきて最高位の『ニート神』まで寄生(パラサイト)しに来るなんて冗談じゃない。
「神聖な領主の館を、実家の自室みたいにくつろぎやがって! 今すぐ天界に帰れ!」
僕が怒鳴ると、ルチアナはコタツ布団を頭から被り、バタバタと手足を暴れさせて子供のように駄々をこね始めた。
「あんだとコラ!! ここまで来るのに神力使い果たして、もう自力じゃ帰れないもんねーだ! 酒出す迄、絶対ここから動かないもんね! 一生コタツで生活してやるぅぅ!」
「この駄女神……っ!」
「タロウ? この無礼で下品な格好の女は一体……まさか、帝都で隠していた愛人!?」
ライザが剣の柄に手をかけ、般若のような顔で僕を睨みつける。
「ええっ!? タロウさん、こんなだらしない女の人が好みだったんですか!?」
サリーも涙目でショックを受けている。違う! 誤解だ!!
その後ろでは、セバスが「あぁ……また養わなければならない居候が……領地の財政が……」と白目を剥いて壁に手をついていた。
「あーもう、うるせぇ!!」
僕はブチギレながら、スキル『100円ショップ』を起動した。
食品・飲料コーナーの中から、限界まで安く、かつ最高に酔っ払えるヤバい代物を検索する。
ポンッ!
僕の手に現れたのは、アルコール度数9%を誇る悪魔の果実酒『ストロングゼロ(ドライ・500ml缶)』(約100円)と、おつまみの定番『柿ピー(小袋)』(100円)だ。
「ほらよ! これでも食って大人しくしてろ!!」
僕は容赦なく、ストゼロと柿ピーをルチアナの顔面に向けて全力投球した。
「ふぎゃっ!?」
見事に顔面で缶をキャッチしたルチアナだったが、そのパッケージを見るや否や、神様とは思えないほどの満面の笑みを浮かべた。
「ひゃっほう!! 脳髄を直接溶かす神の酒(ストゼロ)キター!! 太郎、お前最高! 生涯お前を推すわ!!」
プシュッ! と小気味よい音を立てて缶を開け、芋ジャージ姿の駄女神が真昼間から酒を煽る。
かくして。
僕のアルクス領には、頼もしい仲間たちと共に、絶対に働かない『ストゼロをキメる駄女神』という最悪の守り神(ニート)が居座ることになってしまったのだった。
ギィィィッ……。
重厚な木扉を押し開け、僕はアルクス領の領主としての第一歩を、自身の寝室となるであろう最奥の部屋へと踏み出した。
当然、そこにはホコリを被った天蓋付きのベッドや、年代物のアンティーク家具が並んでいる……はずだった。
「…………え?」
部屋の中央。
そこには、中世ファンタジーの荘厳な空間を完全に破壊する、四角いテーブルに分厚い布団が掛けられた『謎の要塞』が鎮座していた。
……いや、どう見ても日本の冬の魔将軍、『コタツ』である。
そして、そのコタツからにゅっと突き出しているのは、絶望的にダサいエンジ色の『芋ジャージ』に包まれた二本の足。
上半身をコタツに突っ込み、ゴロゴロと寝転がりながら、手元の魔導端末(どう見てもスマホ)をポチポチとタップして謎の電子音を鳴らしている女がいた。
ピロリロリン♪(ガチャの確定演出の音)
「あーっ! また爆死! なんでこのSSR騎士、排出率0.01%なのよぉ!」
銀色の美しい髪をボサボサに散らかし、絶世の美女の顔をだらしなく歪めているその女を見て、僕は目を剥いた。
「あ、あの駄目女神!?」
僕をこの異世界に送り込み、ハズレスキル『100円ショップ』を適当に押し付けた張本人。
女神ルチアナだった。
僕の叫び声に気づいたルチアナは、コタツからヌルリと顔を出し、悪びれる様子もなく片手を上げた。
「やっほー、太郎。来ちゃった♡」
「来ちゃった♡、じゃないよ!! なんで神様が僕の領地の寝室にいるんだよ! しかもなんだそのコタツとジャージは!」
「いやー、天界の仕事がブラックすぎてさ。太郎が領主になって自分だけの『箱庭』を手に入れたって聞いたから、神の力(ワープ)でこっそり不法侵入したってワケ。……ふぁぁ」
ルチアナは大きなあくびをし、完全に腐りきったニートの顔で僕を見上げた。
「ここで食っちゃ寝ゴロゴロしたいんだわ。ほら、領主になったんだし、神様をしっかりもてなしなさいな。酒と柿ピーだして。もち、太郎のスキルから」
「出てけぇぇ!!」
僕は全力でツッコミを入れ、扉を指差した。
ただでさえセバスやゴルス、ガンドフといった濃い連中が集まってカオスになっているのに、ここにきて最高位の『ニート神』まで寄生(パラサイト)しに来るなんて冗談じゃない。
「神聖な領主の館を、実家の自室みたいにくつろぎやがって! 今すぐ天界に帰れ!」
僕が怒鳴ると、ルチアナはコタツ布団を頭から被り、バタバタと手足を暴れさせて子供のように駄々をこね始めた。
「あんだとコラ!! ここまで来るのに神力使い果たして、もう自力じゃ帰れないもんねーだ! 酒出す迄、絶対ここから動かないもんね! 一生コタツで生活してやるぅぅ!」
「この駄女神……っ!」
「タロウ? この無礼で下品な格好の女は一体……まさか、帝都で隠していた愛人!?」
ライザが剣の柄に手をかけ、般若のような顔で僕を睨みつける。
「ええっ!? タロウさん、こんなだらしない女の人が好みだったんですか!?」
サリーも涙目でショックを受けている。違う! 誤解だ!!
その後ろでは、セバスが「あぁ……また養わなければならない居候が……領地の財政が……」と白目を剥いて壁に手をついていた。
「あーもう、うるせぇ!!」
僕はブチギレながら、スキル『100円ショップ』を起動した。
食品・飲料コーナーの中から、限界まで安く、かつ最高に酔っ払えるヤバい代物を検索する。
ポンッ!
僕の手に現れたのは、アルコール度数9%を誇る悪魔の果実酒『ストロングゼロ(ドライ・500ml缶)』(約100円)と、おつまみの定番『柿ピー(小袋)』(100円)だ。
「ほらよ! これでも食って大人しくしてろ!!」
僕は容赦なく、ストゼロと柿ピーをルチアナの顔面に向けて全力投球した。
「ふぎゃっ!?」
見事に顔面で缶をキャッチしたルチアナだったが、そのパッケージを見るや否や、神様とは思えないほどの満面の笑みを浮かべた。
「ひゃっほう!! 脳髄を直接溶かす神の酒(ストゼロ)キター!! 太郎、お前最高! 生涯お前を推すわ!!」
プシュッ! と小気味よい音を立てて缶を開け、芋ジャージ姿の駄女神が真昼間から酒を煽る。
かくして。
僕のアルクス領には、頼もしい仲間たちと共に、絶対に働かない『ストゼロをキメる駄女神』という最悪の守り神(ニート)が居座ることになってしまったのだった。
あなたにおすすめの小説
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!