『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』

月神世一

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EP 14

太郎の野望。あの『黄色い看板』をもう一度
​帝都での夜遊び(キャバクラ)の代償は、あまりにも大きかった。
​「……すまない、ライザ、サリー。二度と黙って夜遊びはしません」
「私のエルフ……じゃなくて、私の忠誠心は常にアルクス領にありますぅぅ……」
​翌日の昼下がり。
サリーの慈愛に満ちた『ヒール』によって物理的な外傷は完治したものの、僕とセバス(と巻き添えを食らったゴルス&ガンドフ)は、館の広間で正座をさせられ、完全に魂が抜けた顔をしていた。
​「分かればいいのよ。タロウは領主なんだから、もっと自覚を持ちなさい」
「もう、心配したんですよ? もし次やったら、今度は足の小指だけを焦がしますからね」
​腕を組んで冷たく言い放つライザと、ニコニコ笑顔で恐ろしいことを言うサリー。
逆らえば命はない。僕たちは深く、深く頭を下げた。
​「……よし。説教はここまでにして、お昼ご飯にしましょう。領民の方が、お礼にと特産品のお肉を持ってきてくれたんです」
サリーが機嫌を直して、厨房から大きな皿を運んできた。
​皿に乗っていたのは、こんがりと焼かれた厚切り肉のステーキ。
アルクス領で家畜化が進んでいる魔獣、『シープピッグ(羊豚)』の肉だ。
​僕は二日酔いと精神的疲労で重い胃を引きずりながら、フォークで肉を切り分け、一口食べた。
​「……ん?」
​その瞬間、僕の脳内に電流が走った。
羊のようにフワフワした見た目からは想像もつかないほど、強烈な豚の旨味。そして何より、噛み締めた瞬間にジュワッと溢れ出す『脂(アブラ)』の圧倒的な甘みとコク。
​「タロウさん? どうしました、急に動きを止めて」
「サリー……このお肉、めちゃくちゃ美味しいよ。でも、この脂の甘さ……そして、この余った骨(ガラ)を見てたら……」
​僕は、皿の端に避けられていたシープピッグの太い骨と、分厚い背脂の塊を凝視した。
​二日酔いの気怠さ。
肉体的な疲労。
そして、この極上の豚骨と背脂。
​これらが揃った時、健全な日本人男子の脳裏にフラッシュバックする光景は、ただ一つしかない。
​(……黄色い看板。黒と赤の極太文字。山のように盛られたモヤシとキャベツ。暴力的なまでに主張する刻みニンニク。そして、ワシワシと喰らう極太のオーション麺……!)
​「食べたい」
僕の口から、無意識のうちにその言葉が漏れていた。
​「え? お肉ならまだありますよ?」
「違うんだサリー。僕の魂が、地球のソウルフードを……『二郎系ラーメン』を激しく求めているんだ!!」
​ガタッ! と椅子を蹴立てて立ち上がった僕に、ライザたちがギョッとして後ずさる。
​「じ、じろうけい……らーめん?」
「タロウ、また頭を打ったの?」
​「ライザ、サリー! 僕は今から、この世界で誰も食べたことがない『神の食べ物』を作る!」
僕は血走った目で叫び、スキル『100円ショップ』を連続で起動した。
​ポンッ! ポンッ! ポンッ!!
​広間のテーブルの上に、見慣れない巨大な銀色の鍋――『ステンレス製・特大寸胴鍋』(100均の500円商品ライン)が姿を現す。
さらに、銀色のハンドルがついた奇妙な機械――『手回し式パスタマシン』(同じく高額商品ライン)。
そして、大量の『キッチンタイマー』や『湯切りザル(テボ)』など、ラーメン屋の厨房設備が次々と召喚されていく。
​「な、なんだこのバカでかい鍋は!? 坊主、また爆弾でも作る気か!?」
二日酔いで寝ていたガンドフが目を覚まして飛び起きた。
​「爆弾よりヤバい代物だよ! ガンドフさん、裏庭にこの寸胴鍋をセットできる頑丈なカマドを作ってくれ! ゴルスさんは、領地中から『ネタキャベツ』と『ニンニク』、それにシープピッグのガラと背脂を限界までかき集めてきてくれ!!」
​僕の異常な熱量に押され、悪友二人は「お、おう! よく分かんねぇが任せろ!」と走り出していった。
​「タロウ様……その『二郎系』とやらは、一体どのようなお料理なのですか?」
セバスが恐る恐る尋ねてくる。
​「一言で言えば、『食べる暴力』だ。カロリーと塩分と脂で、人間の脳みそを直接ぶん殴るような食べ物さ」
僕はパスタマシンのハンドルを回しながら、ニヤリと笑った。
​このアナステシア世界には、カレーはある。パンもある。
だが、あの『黄色い看板』の麻薬的な魅力はまだ存在しない。
過酷な筋トレ(破壊と再生)で塩分とカロリーに飢えきっている『アルクス・ビルダーズ』の連中にあれを食わせたら、一体どうなるか。
​「待っていろ……俺の愛したソウルフード。この異世界で、完璧に再現してやる!」
​二日酔いも説教のダメージも完全に吹き飛び、太郎のラーメン魂が業火のように燃え上がった。
究極の一杯に向けた、果てしない試行錯誤(仕込み)が、今まさに始まろうとしていた。
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