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EP 17
悪魔的マリアージュ。ストゼロとラーメンと駄女神
「ふぅ……」「昇天(ととの)った……」「俺の筋肉(なか)で、シープピッグが暴れ回ってやがるぜ……」
広場に急造された黄色い屋台『豚神屋』の周辺は、さながら激戦の後の野戦病院のような有様だった。
極限まで追い込まれた肉体に、致死量のアブラと塩分、そして炭水化物をぶち込まれたマッスル兵士(アルクス・ビルダーズ)たちは、全員が満腹という名の絶対的な幸福感に包まれ、地面に転がって恍惚の表情を浮かべている。
彼らの体からは異常な熱気が立ち昇り、はち切れんばかりの大胸筋がピクピクと脈打っていた。確実にバルクアップしている。恐るべし二郎系。
「ふふふ……俺のラーメンが、異世界の筋肉を育てている……」
僕が厨房で腕を組み、心地よい疲労感と達成感に浸っていた、その時だった。
「ふぁぁぁ……ちょっと太郎。なによこの、脳髄を直接ぶん殴るような凶暴な匂いは」
ズルッ、ズルッ、とだらしないサンダルの音を響かせて、屋台に近づいてくる影が一つ。
万年寝不足のような目を擦り、エンジ色の芋ジャージを着こなした駄女神、ルチアナだ。
「なんだルチアナ。お前にはこの『漢の食べ物』は重すぎるぞ。コタツに戻って寝てろ」
僕がシッシッと手で払うと、ルチアナは鼻をヒクヒクと動かし、寸胴鍋から漂う狂暴な豚骨臭に目をギラリと輝かせた。
「馬鹿言わないで。天界のブラック労働をストゼロと柿ピーで乗り切ってきた、このあたしのジャンクフード耐久値を舐めないことね。……それ、一杯出しなさい」
ドンッ! とルチアナがカウンターを叩く。
「いいだろう。神の胃袋、試させてもらうぞ」
僕はニヤリと笑い、麺をテボ(湯切りザル)に放り込んだ。
カエシを注ぎ、乳化スープを張り、茹で上がった極太麺をブチ込む。
「ニンニク、入れますか?」
「常識でしょ。全部限界まで乗せなさい!」
「あいよ! ヤサイマシマシニンニクアブラカラメッ!!」
僕は容赦なく、ネタキャベツの山に雪のような背脂をぶっかけ、拳大の刻み生ニンニクを叩きつけた。
「おおおおっ……! なにこれ、暴力の結晶体じゃない!」
目の前に置かれた山盛りのラーメンを見て、ルチアナがゴクリと喉を鳴らす。
「……で? 太郎。まさかこの圧倒的なアブラと塩分の塊を、ただ『水』で流し込めとでも言うつもり?」
ルチアナは箸を割る手を止め、流し目で僕を見た。
「……分かってるよ。お前が何を求めているかなんてな」
僕はため息をつきながら、スキル『100円ショップ』を起動した。
ポンッ! と僕の手の中に現れたのは、キンキンに冷えた銀色のロング缶。
アルコール度数9%。果実の風味と強烈な炭酸、そしてドライな喉越しで、あらゆるストレスを無に帰す魔法の液体。
『ストロングゼロ(ドライ・500ml缶)』(約100円)だ。
「ひゃっほう!! 分かってるじゃない太郎!」
ルチアナはラーメンの前にストゼロをドンッと置き、プシュッ! と小気味よい音を立ててプルタブを開けた。
そして、いよいよ悪魔の儀式が始まる。
ルチアナは箸を突き立て、天地返しで極太麺を引っ張り出した。
アブラとニンニクがねっとりと絡んだ麺を、豪快に啜り込む。
ズズズズズズズッ!!!
「…………ッ!! んんんんんんんっ!!!」
ルチアナの目がカッと見開かれた。
シープピッグの暴力的な豚の旨味、醤油草のキレ、そしてニンニクのパンチ力が、彼女の味覚を容赦なく蹂躙する。
ワシワシと麺を噛み砕き、分厚いブタ(肉)に食らいつき、口の中が濃厚なアブラと塩分で限界まで満たされた、その瞬間!
彼女は、キンキンに冷えたストゼロの缶を煽った。
ゴキュッ、ゴキュッ、ゴキュッ……!
「かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
ルチアナが、天を仰いで絶叫した。
「な、なんなのこれ!? 濃密すぎるシープピッグのアブラを、強烈な炭酸とドライなアルコールが、一瞬にして洗い流していくわ!! そして口の中がリセットされた瞬間、またあの狂暴なニンニクと塩分が恋しくてたまらなくなる!!」
ズズズズッ! ワシワシ!
ゴキュッ! プハァァァァッ!!
「ストゼロのドライなアルコール感が、ラーメンのジャンクさを何倍にも引き上げてる! これは……これは単なる食事じゃないわ! カロリーとアルコールによる、無限の快楽ループ(永久機関)よ!!」
芋ジャージの駄女神が、涙と鼻水と汗を流しながら、一心不乱にラーメンとストゼロを交互にキメていく。
その姿は、神々しさなど微塵もなく、ただの休日の限界おっさんそのものだった。
「美味い……美味すぎるわ太郎……っ! あたし、天界に帰らなくて本当に良かった……ここが、ここが本当の天国(ヘヴン)だったのね……っ!!」
「天国じゃなくて、ただのカロリーの地獄だよ」
あっという間に麺を平らげ、スープまで飲み干したルチアナの体から、ポンッ! と淡い神々しい(?)光が放たれた。
どうやら、圧倒的なカロリーとアルコールによって、枯渇していた彼女の『神力』が全回復してしまったらしい。
「ふぅ……最高。太郎、ストゼロのおかわりと、あと食後の黒烏龍茶出して」
完全に仕上がった顔で、爪楊枝をくわえながら要求してくる駄女神。
ラーメン二郎とストロングゼロ。
地球が生んだ最凶のジャンクフード・マリアージュは、異世界の神様をも一瞬で堕落させる、恐るべき破壊力を秘めていた。
そして、この光景(美味そうに食う姿)を遠巻きに見ていた領民たちの間に、「あの黄色い看板の店には、神様すら虜にするヤバい料理がある」という噂が、爆発的に広まることになるのだった。
「ふぅ……」「昇天(ととの)った……」「俺の筋肉(なか)で、シープピッグが暴れ回ってやがるぜ……」
広場に急造された黄色い屋台『豚神屋』の周辺は、さながら激戦の後の野戦病院のような有様だった。
極限まで追い込まれた肉体に、致死量のアブラと塩分、そして炭水化物をぶち込まれたマッスル兵士(アルクス・ビルダーズ)たちは、全員が満腹という名の絶対的な幸福感に包まれ、地面に転がって恍惚の表情を浮かべている。
彼らの体からは異常な熱気が立ち昇り、はち切れんばかりの大胸筋がピクピクと脈打っていた。確実にバルクアップしている。恐るべし二郎系。
「ふふふ……俺のラーメンが、異世界の筋肉を育てている……」
僕が厨房で腕を組み、心地よい疲労感と達成感に浸っていた、その時だった。
「ふぁぁぁ……ちょっと太郎。なによこの、脳髄を直接ぶん殴るような凶暴な匂いは」
ズルッ、ズルッ、とだらしないサンダルの音を響かせて、屋台に近づいてくる影が一つ。
万年寝不足のような目を擦り、エンジ色の芋ジャージを着こなした駄女神、ルチアナだ。
「なんだルチアナ。お前にはこの『漢の食べ物』は重すぎるぞ。コタツに戻って寝てろ」
僕がシッシッと手で払うと、ルチアナは鼻をヒクヒクと動かし、寸胴鍋から漂う狂暴な豚骨臭に目をギラリと輝かせた。
「馬鹿言わないで。天界のブラック労働をストゼロと柿ピーで乗り切ってきた、このあたしのジャンクフード耐久値を舐めないことね。……それ、一杯出しなさい」
ドンッ! とルチアナがカウンターを叩く。
「いいだろう。神の胃袋、試させてもらうぞ」
僕はニヤリと笑い、麺をテボ(湯切りザル)に放り込んだ。
カエシを注ぎ、乳化スープを張り、茹で上がった極太麺をブチ込む。
「ニンニク、入れますか?」
「常識でしょ。全部限界まで乗せなさい!」
「あいよ! ヤサイマシマシニンニクアブラカラメッ!!」
僕は容赦なく、ネタキャベツの山に雪のような背脂をぶっかけ、拳大の刻み生ニンニクを叩きつけた。
「おおおおっ……! なにこれ、暴力の結晶体じゃない!」
目の前に置かれた山盛りのラーメンを見て、ルチアナがゴクリと喉を鳴らす。
「……で? 太郎。まさかこの圧倒的なアブラと塩分の塊を、ただ『水』で流し込めとでも言うつもり?」
ルチアナは箸を割る手を止め、流し目で僕を見た。
「……分かってるよ。お前が何を求めているかなんてな」
僕はため息をつきながら、スキル『100円ショップ』を起動した。
ポンッ! と僕の手の中に現れたのは、キンキンに冷えた銀色のロング缶。
アルコール度数9%。果実の風味と強烈な炭酸、そしてドライな喉越しで、あらゆるストレスを無に帰す魔法の液体。
『ストロングゼロ(ドライ・500ml缶)』(約100円)だ。
「ひゃっほう!! 分かってるじゃない太郎!」
ルチアナはラーメンの前にストゼロをドンッと置き、プシュッ! と小気味よい音を立ててプルタブを開けた。
そして、いよいよ悪魔の儀式が始まる。
ルチアナは箸を突き立て、天地返しで極太麺を引っ張り出した。
アブラとニンニクがねっとりと絡んだ麺を、豪快に啜り込む。
ズズズズズズズッ!!!
「…………ッ!! んんんんんんんっ!!!」
ルチアナの目がカッと見開かれた。
シープピッグの暴力的な豚の旨味、醤油草のキレ、そしてニンニクのパンチ力が、彼女の味覚を容赦なく蹂躙する。
ワシワシと麺を噛み砕き、分厚いブタ(肉)に食らいつき、口の中が濃厚なアブラと塩分で限界まで満たされた、その瞬間!
彼女は、キンキンに冷えたストゼロの缶を煽った。
ゴキュッ、ゴキュッ、ゴキュッ……!
「かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
ルチアナが、天を仰いで絶叫した。
「な、なんなのこれ!? 濃密すぎるシープピッグのアブラを、強烈な炭酸とドライなアルコールが、一瞬にして洗い流していくわ!! そして口の中がリセットされた瞬間、またあの狂暴なニンニクと塩分が恋しくてたまらなくなる!!」
ズズズズッ! ワシワシ!
ゴキュッ! プハァァァァッ!!
「ストゼロのドライなアルコール感が、ラーメンのジャンクさを何倍にも引き上げてる! これは……これは単なる食事じゃないわ! カロリーとアルコールによる、無限の快楽ループ(永久機関)よ!!」
芋ジャージの駄女神が、涙と鼻水と汗を流しながら、一心不乱にラーメンとストゼロを交互にキメていく。
その姿は、神々しさなど微塵もなく、ただの休日の限界おっさんそのものだった。
「美味い……美味すぎるわ太郎……っ! あたし、天界に帰らなくて本当に良かった……ここが、ここが本当の天国(ヘヴン)だったのね……っ!!」
「天国じゃなくて、ただのカロリーの地獄だよ」
あっという間に麺を平らげ、スープまで飲み干したルチアナの体から、ポンッ! と淡い神々しい(?)光が放たれた。
どうやら、圧倒的なカロリーとアルコールによって、枯渇していた彼女の『神力』が全回復してしまったらしい。
「ふぅ……最高。太郎、ストゼロのおかわりと、あと食後の黒烏龍茶出して」
完全に仕上がった顔で、爪楊枝をくわえながら要求してくる駄女神。
ラーメン二郎とストロングゼロ。
地球が生んだ最凶のジャンクフード・マリアージュは、異世界の神様をも一瞬で堕落させる、恐るべき破壊力を秘めていた。
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