『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~

月神世一

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EP 17

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勝利の夜と未知の武器
​魔獣ガルムが崩れ落ち、リザードマンの群れが闇へと消え去った後。
一瞬の静寂を経て、ルナキャロット村は爆発的な歓喜に包まれた。
​「勝った……勝ったぞぉぉぉ!!」
​村人たちは武器を放り出し、互いの肩を抱き合い、涙ながらに無事を確かめ合う。
勇太も、熱を持った薙刀を杖代わりにし、大きく息を吐き出した。
全身の筋肉が悲鳴を上げているが、心地よい疲労感だ。
​「やったな、ユウタ!」
「ええ、やりましたね」
​隣では、キャルルとリーシャが、互いの健闘を称えるようにハイタッチを交わしている。
ふと、キャルルの視線が勇太の右手に留まった。
そこには、まだ硝煙の匂いを漂わせる黒い鉄の塊――グロック20が握られている。
​「ねえユウタさん。……その武器は、一体?」
​キャルルが興味津々に、スライド部分を指さした。
先ほどの雷のような轟音と、魔獣の装甲を貫いた威力。魔法とも弓とも違う、未知の力。
​「あ、えっと……これは……」
​勇太は言葉に詰まった。
「地球製の自動拳銃です」と言っても通じないだろうし、説明すれば長くなる。
どう誤魔化すべきか。
​その時、杖を支えに息を整えていたリーシャが、冷静な――しかし研究者のような鋭い瞳で、グロックを覗き込んだ。
​「見たことのない形状ね。……魔力回路が見当たらないけれど、精巧な金属加工。グリップの素材も未知のものだわ」
​リーシャは顎に手を当て、ブツブツと考察を始める。
​「もしかして、噂に聞く**『魔導砲(マギ・カノン)』**の小型版かしら? 都のドワーフ職人が、火薬と魔法を組み合わせて、杖を使わずに攻撃する筒を作っていると聞いたことがあるけれど……」
​(魔導砲!? ドワーフ!?)
​勇太にとっては初耳だが、これ以上ない助け舟だ。
​「あ、ああ……! さすがリーシャさん、博識ですね。……まあ、そんな感じです。僕の国の技術で作られた、鉄の筒です」
​勇太は、嘘はつかずに(肯定もせずに)、曖昧に笑って頷いた。
​「へぇー! ドワーフさんの技術なんだ! 鉄の筒であんな凄い音と力が出るなんて、ユウタさんの国ってすごいんだね!」
​純粋なキャルルは、目をキラキラさせて納得してくれた。
リーシャはまだ少し疑念――というより、術式への純粋な探究心――があるようだが、今は追求する場ではないと判断したのか、ふっと笑みをこぼした。
​「いずれにせよ、あんな強力な切り札(アーティファクト)を持っているなんてね。……貴方、本当に底が知れないわ」
​その言葉には、呆れと共に、深い信頼の色が混じっていた。
​「よし! 感動の再会はそこまでだ! 野郎ども、ぐずぐずするな!」
​ラトルの野太い号令が飛んだ。
​「盗賊は追い払ったが、まだ仕事は残ってるぞ! ガルムの素材は宝の山だ、血が固まる前に解体しろ! 牙、爪、そして魔石! 一つも無駄にするなよ!」
​「おうッ!!」
​村人たちは勝利の余韻を断ち切り、テキパキと動き出した。
松明の明かりの下、ナイフを持った男たちがガルムの巨大な死体に群がる。
ウルジ爺さんが、ガルムの剥がれた鱗を拾い上げ、「ほう……こいつはいい防具になるぞ」と職人の目で吟味している。
これが、異世界のリアルだ。戦利品は、明日を生きるための糧になる。
​「怪我人は広場の中央へ! ユウタ、頼めるか!?」
​「はい、任せてください!」
​勇太は、黒い破壊の道具(グロック)を空間収納へしまい込むと、代わりに白衣の戦士としての武器――医療キットを取り出した。
さらに、貯まったポイントで追加の薬品も購入する。
​「大丈夫ですか? 傷を見せてください」
「うう……リザードマンの剣で、肩を……」
​リザードマンの錆びた武器による裂傷、打撲、火傷。
勇太は一人一人の傷を見極め、洗浄、消毒、縫合を行っていく。
​「バイタル安定。次は火傷の処置だ。リーシャさん、そっちの人の止血をお願いできますか?」
「ええ、分かったわ。『ヒール』!」
​現代医療と回復魔法のハイブリッド治療。
手当てを受けるたび、村人たちの苦悶の表情が安堵へと変わっていく。
​【村人の裂傷を縫合しました。 20 P 加算】
【重傷者の感染症を防ぎました。 50 P 加算】
【村の防衛と、戦後処理に大きく貢献しました。 100 P 加算】
​視界の端でポイントが増えていく。
だが今の勇太にとって、それは単なる数字でしかなかった。
​「……ありがとう、ユウタ先生。あんたがいなきゃ、死んでたよ」
「俺たちの村を守ってくれて、ありがとう……」
​震える手で握り返される温もり。涙ながらの感謝の言葉。
それこそが、彼が命を懸けて戦った、本当の報酬だった。
​東の空が白み始める頃。
ルナキャロット村には、心地よい疲労感と、生き残った喜び、そして明日への希望が満ち溢れていた。
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