『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~

月神世一

文字の大きさ
41 / 95

EP 41

輝く笑顔と歯磨き革命
​村の復興も進み、穏やかな昼下がり。
勇太たちが昼食(サンドイッチ)を食べていると、キャルルが不思議そうに鼻をひくつかせた。
​「……くんくん。ユウタさんの息って、いつも森の朝みたいに爽やかですね」
​「えっ、そ、そう?」
​「はい。それに、歯も真珠みたいに白いです。……何か『清浄の魔法』でもかけてるんですか?」
​リーシャも、勇太の口元をまじまじと観察する。
エルフは潔癖な種族だが、それでも食事の後には独特の生活臭が残るものだ。だが、勇太にはそれがない。
​「魔法じゃないよ。毎日『歯磨き』をしてるからさ」
​「ハミガキ……? 塩で擦るアレですか?」
​「いや、もっと科学的なやつさ。……みんな、自分の口の中が綺麗だと思ってる?」
​勇太はニヤリと笑い、ボードを展開した。
【購入完了:歯垢染色剤(フルーツ味・錠剤タイプ)×10】
【購入完了:手作り歯磨き講座(書籍)、超極細毛歯ブラシ(見本)】
​「これを噛んでみてください。汚れている部分が『赤く』染まる薬です」
​「へぇ、面白そう!」「ふふ、私はエルフよ? 穢れとは無縁だわ」
​キャルルとリーシャ、イグニスが錠剤を口に放り込み、ガリガリと噛み砕く。
そして、互いの顔を見合わせた瞬間。
​「「「ギャアアアアアアッ!!?」」」
​悲鳴が上がった。
キャルルの前歯、イグニスの牙、そしてあろうことかリーシャの美しい歯並びまでもが、鮮血のように真っ赤に染まっていたからだ。
​「な、なによこれぇぇぇ! 私の口が血まみれに!?」
​「違うよリーシャさん。それが『歯垢(プラーク)』……虫歯や口臭の原因になる細菌の塊だ」
​「さ、細菌!? 私の口の中に虫が!?」
リーシャが白目を剥いて卒倒しかける。
プライドの高いエルフにとって、自分の口が菌の温床だったという事実は、クリスタルタートルのブレス以上のダメージだった。
​「だ、助けてユウタさん! 口の中の虫を追い出してぇ!」
キャルルが涙目で勇太にすがりつく。
​「任せて。……そのための『武器』を作ろう」
​勇太は村の素材を集めた。
研磨剤として**「細かく砕いた貝殻のパウダー」。
殺菌・清涼剤として「ハッカ草の精油」。
そして、泡立ちを生む「サボン草の根のエキス」。
これらを蜂蜜で練り上げ、特製の『ミント・ペースト』**を完成させた。
​ブラシは、弾力のある植物の繊維を束ね、木の柄に植え込んだ「特製・豚毛風ブラシ」だ。
​「さあ、これで赤く染まった部分を重点的に磨いて!」
​三人は必死の形相でブラシを動かした。
シャカシャカシャカ……。
小気味よい音が響く。
​「んむ!? 口の中が……泡だらけに!?」
キャルルが驚いて目を見開く。
​「この泡が汚れを包み込んで剥がすんだ。そして……」
​「……スースーする! 冷たい風が口の中を吹いているようだわ!」
リーシャも、未体験の爽快感に驚きつつ、赤色が落ちていく鏡の中の自分に安堵する。
​そして、イグニス。
彼は誰よりも真剣だった。
​ガリッ! ゴリッ! シャカッ!
​「おお……! 取れる! 肉の繊維も、こびりついた血の味も! 俺様の自慢の牙が、研ぎ澄まされていくのを感じるぞ!」
​竜人にとって、牙はナイフであり槍だ。
彼は歯磨きを「武器の手入れ(メンテナンス)」として楽しんでいた。
​数分後。
川の水で口をゆすごうとした時、最大の感動が訪れた。
​「「「あーーーっ!!」」」
​舌で歯を触った感触。
これまでの「ザラザラ」が消え、陶器のような**「ツルツル(キュッキュッ)」**に変わっていた。
​「すごい! 歯がツルツルです! 息を吸うと、口の中が涼しい!」
「見て、私の歯……雪のように真っ白に戻ったわ! 輝いてる!」
​キャルルとリーシャが、白い歯を見せてニカッと笑い合う。その笑顔は、どんな化粧品よりも彼女たちを魅力的に見せた。
​イグニスは、キラリと光る鋭利な犬歯を見せつけ、近くのリンゴを皮ごと齧った。
シャクッ! といい音が響く。
​「へっ……切れ味抜群だぜ。これなら硬い肉も骨ごとイケるな」
​その夜、ルナキャロット村には、シャカシャカという軽快な音が響き渡った。
勇太の指導により、「朝晩の歯磨き」が村の新たな習慣として定着したのだ。
​【ピンポンパンポーン♪】
​【ルナキャロット村の衛生革命(オーラルケア)に成功しました】
【村人たちの健康寿命が大幅に延びるでしょう】
【貢献ボーナス: 200 P 加算】
【現在所持ポイント: 16205 P】
​勇太は、月明かりの下で輝くみんなの笑顔を見ながら、深く満足した。
健康な体、美しい髪、そして輝く歯。
彼らに贈れるものは、もう全て贈った。
​「……よし」
​勇太はポケットの中の「魔石(クリスタルタートルの核)」を握りしめた。
ポイントは16,000Pオーバー。資金も潤沢。
旅立ちの準備は、完璧に整った。
​「明日の朝……出発だ」
​勇太は静かに決意し、眠りについた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

ダンジョン銭湯 ~鎧は脱いでお入りください~

こまちゃも
ファンタジー
祖父さんから受け継いだ銭湯ごと、ダンジョンに転移してしまった俺。 だがそこは、なぜか”完全安全地帯”だった。 風呂に入れば傷は癒え、疲れも吹き飛ぶ。 噂を聞きつけた冒険者たちが集まり、宿やギルドまでできていく。 俺には最強の武器もスキルもないがーー最強のヒーラーや個性豊かな常連たちに囲まれながら、俺は今日も湯を沸かす。 銭湯を中心に、ダンジョンの中に小さな拠点が広がっていく。 ――ダンジョン銭湯、本日も営業中。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?