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第十二章 ファミレス12時間耐久レース
EP 7
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【遭遇】帰ろうとしたら、カイトたちがダンジョン掘ってた
朝日が眩しい『デモンズ・ガスト』の駐車場。
そこには、財布の中身が空になり、真っ白な灰になった風紀委員長の姿があった。
「……私のお金が……。へそくりが……」
リベラが膝から崩れ落ちる。
35万ゴールド。Sランク肥料が山ほど買える金額だ。
「リベラちゃん、あざっす! いやー、他人の金で食うパフェは格別ね!」
創造神ルチアナが、爪楊枝をシーハーさせながら軽い調子で礼を言った。
悪魔よりもタチが悪い女神である。
「さぁて……帰って寝ましょうか。タクシーのポチは……」
不死鳥フレアが駐車場を見渡すが、あの巨大なドラゴンの姿がない。
「あら? 居ないわ」
「何処に行ったのかしら?」
魔王ラスティアとアイドル・リーザが首を傾げる。
あんな目立つ巨体が消えるはずがない。
「……飽きて居なくなったのかしら? 12時間も待たせては当然ね」
リベラが涙を拭いながら呟く。自分なら30分で帰る自信がある。
だが、オーナーのルナが、駐車場の隅にある看板を指差して無慈悲な事実を告げた。
「あのですねぇ、ここは天魔窟ですよぉ? 時間制ですのよ」
「え?」
「駐車料金は、最初の1時間は無料。以降、1時間ごとにチャージ料が金貨5枚発生しますぅ。……ポチさんは12時間以上停まっていた上、巨体で枠をはみ出していたので……」
ルナは遠い目をした。
「『駐禁』でドナドナされました」
「ドナドナぁ!?」
全員が絶叫する。
始祖竜がレッカー移動(強制連行)される光景を想像し、戦慄した。
「そ、それでポチは何処へ?」
「地下の『魔物収容所(ダンジョン)』ですぅ。違反金を払うまで出てこれませんよぉ」
「つまり……天魔窟のダンジョンを突破しないと、地上のカイト農場に帰れないってこと!?」
ルチアナが青ざめる。
ポチ(タクシー)がいない今、徒歩で帰るしかない。しかも地下ダンジョン経由で。
パフェで膨れた腹を抱えて歩くなど、神としてあり得ない。
その時だった。
「――おーい! みんなー!」
上空から声がした。
見上げると、竜王デュークが飛来し、着地した。
その背中には、ツルハシを持ったカイトがおぶさっている。
「もう! 何処に行ってたのさ? 探したよ!」
カイトがデュークから降りて駆け寄ってくる。
どうやら、脱走した彼女たちを連れ戻しに来たらしい。
だが、女性陣の目はカイトを見ていなかった。
彼女たちの瞳は、カイトの後ろにいる「屈強なドラゴン(デューク)」にロックオンされていた。
「デューク! (新しいタクシーが来た!)」
ルチアナの目が輝く。
「ねぇカイト」
ラスティアが素早くカイトに詰め寄った。
「ポチって、カイトの所有物よね?」
「え? 所有物っていうか……ポチは友達だけど?」
カイトがキョトンとして答える。
その純粋な答えを聞いた瞬間、リベラが眼鏡をカチャリと押し上げた。
「……言質を取りましたわ」
「え?」
「素晴らしいですわ、カイト様。友情、美しいですわね。……つまり、友人の不始末は友人の責任。ポチの駐車違反金・金貨60枚(60万円)は、飼い主……いえ、友人のカイト様支払いということでよろしいですわね?」
「ええええっ!?」
カイトがのけ反る。
いきなり60万の借金を背負わされた。
「さあデューク! 貴女の主(カイト)の借金返済のためにも、私たちを乗せて働きなさい!」
ラスティアがデュークの背中を叩く。
デュークは「やれやれ」と肩をすくめると、瞬時に変身した。
ボォォォォォンッ!!
黄金の鱗を持つ、巨大なドラゴン形態へ。
ポチより一回り小さいが、乗り心地は抜群の高級車だ。
「わーい! 乗り心地良さそう!」
「お尻が痛くな~い!」
ルチアナ、ラスティア、フレア、リーザ、ルナ、そしてリベラが、素早い動きでデュークの背中に乗り込んだ。
あっという間に満員御礼だ。
「あ、あれ? 僕は? 僕の席は?」
カイトが地上でオロオロする。
デュークの背中は美女たちで埋め尽くされており、カイトが乗るスペースはない(ことになっている)。
「カイト。……じゃあ、はい」
ルチアナが、デュークの背中から「ボロボロのツルハシ」を放り投げた。
カランコロン。
カイトの足元に転がる鉄塊。
「……え、これ……?」
「こ、これで……」
ラスティアが満面の笑みで、サムズアップした。
「ここの地下はダンジョンになってるの。レアな鉱石とか魔物が沢山いるわ。……それを倒して換金しながら帰れば、60万なんてすぐよ!」
「えええええええ!?」
「頑張ってくださいねぇ~カイトさぁ~ん! 違反金払わないとポチさん出られませんからねぇ~!」
ルナが無慈悲に手を振る。
「では、参りましょうか。安全運転でお願いしますわ」
リベラが冷徹に告げると、デュークが大きく翼を広げた。
バサァァァッ!!
「行ってらっしゃ~い!」
「お土産よろしくね~!」
黄金のドラゴンは、カイトを残して優雅に空の彼方へ飛び去っていった。
残されたのは、ファミレスの駐車場の真ん中で、ツルハシを持って立ち尽くす農夫が一人。
「……ひどいよぉ……」
カイトは涙目でツルハシを握りしめた。
「ポチ……待っててね。僕が稼いで助けてあげるからね……!」
カイトは決意の表情で、駐車場のマンホール(ダンジョン入り口)を開けた。
こうして、カロリー消費のために掘るはずだったダンジョンは、「借金返済のための強制労働施設」へと変わったのだった。
朝日が眩しい『デモンズ・ガスト』の駐車場。
そこには、財布の中身が空になり、真っ白な灰になった風紀委員長の姿があった。
「……私のお金が……。へそくりが……」
リベラが膝から崩れ落ちる。
35万ゴールド。Sランク肥料が山ほど買える金額だ。
「リベラちゃん、あざっす! いやー、他人の金で食うパフェは格別ね!」
創造神ルチアナが、爪楊枝をシーハーさせながら軽い調子で礼を言った。
悪魔よりもタチが悪い女神である。
「さぁて……帰って寝ましょうか。タクシーのポチは……」
不死鳥フレアが駐車場を見渡すが、あの巨大なドラゴンの姿がない。
「あら? 居ないわ」
「何処に行ったのかしら?」
魔王ラスティアとアイドル・リーザが首を傾げる。
あんな目立つ巨体が消えるはずがない。
「……飽きて居なくなったのかしら? 12時間も待たせては当然ね」
リベラが涙を拭いながら呟く。自分なら30分で帰る自信がある。
だが、オーナーのルナが、駐車場の隅にある看板を指差して無慈悲な事実を告げた。
「あのですねぇ、ここは天魔窟ですよぉ? 時間制ですのよ」
「え?」
「駐車料金は、最初の1時間は無料。以降、1時間ごとにチャージ料が金貨5枚発生しますぅ。……ポチさんは12時間以上停まっていた上、巨体で枠をはみ出していたので……」
ルナは遠い目をした。
「『駐禁』でドナドナされました」
「ドナドナぁ!?」
全員が絶叫する。
始祖竜がレッカー移動(強制連行)される光景を想像し、戦慄した。
「そ、それでポチは何処へ?」
「地下の『魔物収容所(ダンジョン)』ですぅ。違反金を払うまで出てこれませんよぉ」
「つまり……天魔窟のダンジョンを突破しないと、地上のカイト農場に帰れないってこと!?」
ルチアナが青ざめる。
ポチ(タクシー)がいない今、徒歩で帰るしかない。しかも地下ダンジョン経由で。
パフェで膨れた腹を抱えて歩くなど、神としてあり得ない。
その時だった。
「――おーい! みんなー!」
上空から声がした。
見上げると、竜王デュークが飛来し、着地した。
その背中には、ツルハシを持ったカイトがおぶさっている。
「もう! 何処に行ってたのさ? 探したよ!」
カイトがデュークから降りて駆け寄ってくる。
どうやら、脱走した彼女たちを連れ戻しに来たらしい。
だが、女性陣の目はカイトを見ていなかった。
彼女たちの瞳は、カイトの後ろにいる「屈強なドラゴン(デューク)」にロックオンされていた。
「デューク! (新しいタクシーが来た!)」
ルチアナの目が輝く。
「ねぇカイト」
ラスティアが素早くカイトに詰め寄った。
「ポチって、カイトの所有物よね?」
「え? 所有物っていうか……ポチは友達だけど?」
カイトがキョトンとして答える。
その純粋な答えを聞いた瞬間、リベラが眼鏡をカチャリと押し上げた。
「……言質を取りましたわ」
「え?」
「素晴らしいですわ、カイト様。友情、美しいですわね。……つまり、友人の不始末は友人の責任。ポチの駐車違反金・金貨60枚(60万円)は、飼い主……いえ、友人のカイト様支払いということでよろしいですわね?」
「ええええっ!?」
カイトがのけ反る。
いきなり60万の借金を背負わされた。
「さあデューク! 貴女の主(カイト)の借金返済のためにも、私たちを乗せて働きなさい!」
ラスティアがデュークの背中を叩く。
デュークは「やれやれ」と肩をすくめると、瞬時に変身した。
ボォォォォォンッ!!
黄金の鱗を持つ、巨大なドラゴン形態へ。
ポチより一回り小さいが、乗り心地は抜群の高級車だ。
「わーい! 乗り心地良さそう!」
「お尻が痛くな~い!」
ルチアナ、ラスティア、フレア、リーザ、ルナ、そしてリベラが、素早い動きでデュークの背中に乗り込んだ。
あっという間に満員御礼だ。
「あ、あれ? 僕は? 僕の席は?」
カイトが地上でオロオロする。
デュークの背中は美女たちで埋め尽くされており、カイトが乗るスペースはない(ことになっている)。
「カイト。……じゃあ、はい」
ルチアナが、デュークの背中から「ボロボロのツルハシ」を放り投げた。
カランコロン。
カイトの足元に転がる鉄塊。
「……え、これ……?」
「こ、これで……」
ラスティアが満面の笑みで、サムズアップした。
「ここの地下はダンジョンになってるの。レアな鉱石とか魔物が沢山いるわ。……それを倒して換金しながら帰れば、60万なんてすぐよ!」
「えええええええ!?」
「頑張ってくださいねぇ~カイトさぁ~ん! 違反金払わないとポチさん出られませんからねぇ~!」
ルナが無慈悲に手を振る。
「では、参りましょうか。安全運転でお願いしますわ」
リベラが冷徹に告げると、デュークが大きく翼を広げた。
バサァァァッ!!
「行ってらっしゃ~い!」
「お土産よろしくね~!」
黄金のドラゴンは、カイトを残して優雅に空の彼方へ飛び去っていった。
残されたのは、ファミレスの駐車場の真ん中で、ツルハシを持って立ち尽くす農夫が一人。
「……ひどいよぉ……」
カイトは涙目でツルハシを握りしめた。
「ポチ……待っててね。僕が稼いで助けてあげるからね……!」
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