田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

文字の大きさ
145 / 180
第十四章 熱闘!男達の炒飯対決

EP 5

しおりを挟む
【納豆】ネバネバの魔物と、意外な中毒性
​翌日の朝食時。
カイト農場の食堂に、不穏な空気が漂っていた。
​「……カイト様。先ほどから、何か妙な匂いがしませんこと?」
​風紀委員長リベラが鼻をひくつかせた。
腐敗臭とも、古い靴下の匂いともつかない、独特の芳香が厨房の方から流れてくる。
​「あら、リベラも気づいた? 私、てっきり昨日のリュウの靴下が置きっぱなしなのかと思ったわ」
ルチアナが顔をしかめる。
​「俺じゃねぇよ!」
リュウが即座に否定する。
​その時、厨房からカイトが満面の笑みで現れた。
彼の手には、藁(わら)で編まれた小さな包みが乗ったお盆がある。
​「みんな、おはよう! すごいものができたよ!」
​カイトがテーブルの中央にその包みを置いた瞬間、匂いの濃度が急上昇した。
​「うっ……! カイト、何それ!? 腐ってるの!?」
リーザが鼻をつまんで後ずさる。
​「腐ってないよ! 『発酵』だよ!」
​カイトは目を輝かせながら説明した。
​「昨日、炒飯で使った『ダンジョン大豆』が余ったでしょ? あれを茹でて、裏山の『聖なる稲藁』に包んで、一晩保温しておいたんだ。そしたら……見て!」
​カイトが藁の包みを開いた。
中には、茶色い豆が詰まっている。
カイトが箸を入れて持ち上げると――。
​ネバァァァァァ…………ッ!
​白く、太く、力強い糸が引いた。
Sランク大豆とSランク藁菌の融合により、粘り気もSランク級だ。
​「ヒィィッ!? 糸引いてるわよ!? 完全に傷んでるじゃない!」
ラスティアが絶叫する。
​「これは……生物兵器か?」
デュークも警戒して身構える。
異世界(ファンタジー)の住人たちにとって、納豆は未知の恐怖だった。
​だが、この匂いに反応した男たちがいた。
​「……!!」
​元日本人サラリーマン・リュウと、和の心を持つ鬼神・龍魔呂である。
二人はガタッと椅子を蹴って立ち上がり、納豆の前に詰め寄った。
​「こ、この香りは……まさか……」
リュウの声が震える。
​「……『納豆』か」
龍魔呂が目を細めた。
​「なっ、納豆!? あの極東の島国の、伝説の発酵食品ですか!?」
リベラが驚く。
​「そうだ。……カイト、醤油と辛子はあるか?」
「あるよ! あと刻みネギも!」
​「でかした!」
​リュウが納豆の器を受け取り、慣れた手つきでかき混ぜ始めた。
カッカッカッカッ……!
空気を含ませるように、高速で攪拌する。
糸が白くなり、ふんわりとした泡立ちが生まれる。
​「くっ……! なんて強力な粘りだ! 箸が重い!」
​「そこに醤油を垂らせ。……香りが爆発するぞ」
龍魔呂が指示を出す。
​醤油を入れた瞬間、独特のアンモニア臭が、芳醇な食欲をそそる香ばしさへと変化した。
そこに辛子の黄色と、ネギの緑が彩りを添える。
​「完成だ……。これぞ日本の朝!」
​リュウが、炊きたての白米(Sランク米)の上に、トロリと納豆をかけた。
​「い、いくわよ……毒見よ……」
​恐る恐る、リベラがスプーンを伸ばした。
彼女は意を決して、ネバネバご飯を口に運ぶ。
​「……ん?」
​リベラの動きが止まった。
​「……臭くない? いえ、口に入れると……旨味が……」
​Sランク大豆の濃厚なコク。
発酵によるアミノ酸の爆発的な旨味。
それが白米の甘みと絡み合い、口の中でとろけていく。
​「……美味しいですわ!!」
​リベラが開眼した。
​「なんですかこれ! チーズのような濃厚さと、豆の甘み! ご飯が止まりませんわ!」
​「嘘でしょ? ……私も一口」
ルチアナも食べる。
「あら! 本当だわ! 糸が引くのが面白いし、肌にも良さそう!」
​「俺にもよこせ!」
デュークも一口で平らげる。
「ぬう……。見た目は最悪だが、味は一流だ。力が漲る気がする」
​「でしょ!? 納豆は体にいいんだよ!」
カイトが嬉しそうに笑う。
​結局、最初は悲鳴を上げていた女性陣も、「意外とイケる」「ご飯泥棒だわ」と納豆の虜になった。
食堂には、ズルズルと納豆ご飯をすする音が響き渡る。
​だが、この成功がカイトの「発酵熱」に火をつけてしまった。
​「納豆がいけるなら……『あれ』もいけるかも!」
​カイトが不穏なことを呟いた。
納豆など序の口。
世界最臭と恐れられる、あの「海の生物兵器」に手を出すことを、まだ誰も知らなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

転生辺境の雑用兵、知らぬ間に世界最強になっていた件 〜追放されたけど美女たちに囲まれて安寧生活〜

eringi
ファンタジー
辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。

異世界で無自覚に最強だった俺、追放されたけど今さら謝られても遅い

eringi
ファンタジー
「お前なんかいらない」と言われ、勇者パーティーを追放された青年ルーク。だが、彼のスキル【成長限界なし】は、実は世界でも唯一の“神格スキル”だった。 追放された先で気ままに生きようとした彼は、助けた村娘から崇められ、魔王を片手で倒し、知らぬ間に国家を救う。 仲間だった者たちは、彼の偉業を知って唖然とし、後悔と嫉妬に沈んでいく── 無自覚な最強男が歩む、ざまぁと逆転の異世界英雄譚!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

最弱職〈祈祷士〉だった俺、実は神々の加護持ちでした~追放されたけど無自覚チートで世界最強~

eringi
ファンタジー
パーティから「役立たず」と言われ追放された祈祷士ルーク。だが彼の祈りは神々に届いており、あらゆる奇跡を現実にする「神の権能」だった。本人は気づかぬまま無双し、救った相手や元パーティの女性たちから次々想いを寄せられる。裏切った者たちへの“ざまぁ”も、神の御業のうちに。無自覚チート祈祷士が、神々さえも動かす伝説を紡ぐ──!

処理中です...