田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

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第十六章 月兎の初陣と、鬼神の深夜食堂

EP 5

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【強敵】重装甲ジェネラル・リザードの脅威
​ズシン……ズシン……。
​大地を揺らしながら現れたのは、通常の個体の三倍はある巨体、ジェネラル・リザードだった。
全身を覆うのは、黒光りする重厚なミスリル製のフルプレートアーマー。その厚みは、並大抵の攻撃では傷一つ付かないだろう。
​『退け、雑魚ども。……俺が遊んでやる』
​ジェネラルが巨大な戦斧(バトルアックス)を肩に担ぎ、ニヤリと笑う。
その威圧感に、周囲の空気が重くなる。
​「……少し、硬そうですね」
​キャルルは警戒して距離を取った。
だが、引くわけにはいかない。彼女の背後にはカイトの農場があり、そして何より、龍魔呂へのアピールチャンスがかかっているのだ。
​「速さで撹乱して……関節を狙う!」
​キャルルが再び加速する。
ピンク色の残像となり、ジェネラルの死角である背後へと回り込んだ。
​「月影流・鐘打ちッ!」
​ガァァァァンッ!!!
​鉄芯入りの安全靴が、ジェネラルの膝裏の装甲を捉えた。
しかし、響いたのは硬質な金属音のみ。
装甲は凹むどころか、傷一つ付いていない。
​「うそっ!? 硬っ!?」
​キャルルの足裏に、蹴った反動で痺れが走る。
​『カカカッ! 痒いなァ、ウサギ!』
​ジェネラルが裏拳で戦斧を振り回す。
ブォンッ!!
暴風のような一撃。キャルルはバックステップで辛うじて回避したが、頬を風圧が掠めた。
​『どうした? 自慢のスピードも、通じなければただの徒労だぞ?』
​ジェネラルが一歩踏み出す。それだけで地面が陥没する。
​「くっ……! トンファーも、この装甲じゃ弾かれる……!」
​キャルルは焦った。
彼女の戦闘スタイルは、スピードと手数で圧倒するタイプだ。これほど相性の悪い「重装甲タイプ」は天敵と言える。
​『終わりか? つまらねぇ』
​ジェネラルが鼻を鳴らし、キャルルを見下した。
​『所詮は亜人の小娘か。……その貧弱な脚じゃ、俺の最高級ミスリル鎧に傷一つ付けられねぇよ!』
​その言葉が、夜空に響いた瞬間。
​ピタリ。
​キャルルの動きが止まった。
​「…………今、なんと?」
​彼女の声から、感情の色が消えた。
うさ耳がゆっくりと持ち上がる。
​『あ? 聞こえなかったか? その細っこい、貧弱な脚じゃ役に立たねぇと言ったんだよ!』
​「……ひんじゃく?」
​キャルルがゆっくりと顔を上げた。
その赤い瞳は、昏く、静かに燃え上がっていた。
​「……私の脚が、貧弱?」
​彼女の脳裏に、今朝の光景が蘇る。
憧れの鬼神・龍魔呂が、自分の頭を撫でて言ってくれた言葉。
​――『中々、筋が良いぞ』
――『その脚力、期待しているぞ』
​あの人が認めてくれた。あの人が褒めてくれた、自慢の脚。
それを、このトカゲごときが、愚弄した。
​「…………許さない」
​キャルルの周囲の空気が、ビリビリと震え始めた。
彼女は、安全靴の踵(かかと)を、地面に強く打ち付けた。
​カチリ。
​靴底に仕込まれた特殊なギミックが起動する音がした。
​「よくも……よくも、龍魔呂さんとの大切な思い出を汚しましたね……?」
​バチッ……バチバチッ……!
​キャルルの足元から、青白い火花が散り始めた。
靴底に埋め込まれた『電竜石(エレキ・ドラゴン・ストーン)』が、彼女の怒りの闘気に呼応して覚醒する。
​『あァ? なんだその光は……?』
ジェネラルが怪訝な顔をする。
​キャルルは深く息を吸い込み、クラウチングスタートの構えを取った。
その姿は、もはや可憐なウサギではない。
解き放たれるのを待つ、雷神の化身だった。
​「後悔なさい……。その自慢の鎧ごと、消し炭にしてあげますから!!」
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